第三十三話 ドンマイ
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俺がツバサ寮に帰ると、リビングにみんなが集まっていた。テーブルには多くの料理が並べられている。
「遅いわよ! せっかくカカリがソラの為に作ってくれたのよ」
俺が今まで全ての食事を作ってきたが、今日は俺の模擬戦の勝利を祝って、カカリが食事を作ってくれたそうだ。
「これを全部カカリが……」
「はい。私が作らせてもらいました。みんな……料理ができないそうで……」
俺がカカリ以外の三人を見ると、
「私はいつもパパが作ってくれたから……料理をした事がないの! 悪かったわね!」
「料理するのは……嫌い」
「わっ私はやろうと思えば……料理ぐらいいつでもでにるよ。前にも言ったかもしれないけど、私はやればできる子だから」
三人が三人、理由はあれだが、リラにはいつかご飯を作らせようと心に決めた。
「「「「「いただきます」」」」」
俺が料理を食べていると、チラチラとカカリに見られていることに気がついた。
「美味しいよ。カカリの作った料理」
カカリはカーッと顔を赤くして、
「よっ良かったです……家族以外に食べさせたことが無かったので、ソラ君の口に合うか心配だったんです」
カカリは王族だからだろうか、こんなに美味しい料理なのに家族以外に食べさせた事がないらしい。
「へー『ソラ君の』ねー。私たちは後回しみたいね」
「ちっ違いますよ。私はただ……」
ペリルはいつもカカリを茶化している。カカリが下を向き、耳がショボーンとなった。
「ごっごめんって! ちょとからかっただけだから……そんな泣きそうな顔をしないでよ……」
ペリルが慌てふためく
「嘘ですよペリルちゃん。いつものお返しです」
どうやら今のは、カカリの演技だったようだ。
「あっ! そう言えば、ソラ君は同時に魔法を発動できるんですね。それも『異質型』を……」
魔法の同時発動は、同じ属性の魔法を使う『同一型』と、異なった属性の魔法を使う『異質型』の二種類ある。
同時発動は成功させる事態が難しいが、『同一型』の方が簡単で、この世界の最上級冒険者たちは『同一型』を使っている。
『異質型』は、勇者ツバサにしか成功できないと言われている。
「俺も……さっき会長さんに同時発動には二種類あるって初めて聞いたんだよね……」
(それだけなら良かったんだけど……)
「あれ? ソラ何かあったの?」
先程までもぐもぐ料理を食べていたリラが、手を止めて聞いてきた。
「ちょっとね……」
模擬戦が終わり、シルドさんに学園長室に呼ばれた後の事だ。
『やっと見つけましたわ! カナタ・ソラ』
後ろから名前を呼ばれた。それに聞いた事のある声……会長さんだ。
何か言われるだろうなと思いながら振り返る。
会長さんは、息を切らしながら俺の目の前に止まった。
『会長さん。何かようですか?』
『模擬戦は私の完敗でしたわ』
(答えになってない!?)
それでも会長さんは言葉を続ける。
『まさか貴方が、同時に魔法が扱えるなんて驚きましたわ。しかも異質型ですのよ』
『異質型ですか?』
『知らないですの!? それなら、この私がお教えしますわ」
ここで初めて俺は、魔法を同時に発動させる、同一型と異質型の事を知ったのだ。
(勇者ツバサしか成功した事がないって……)
『貴方は勇者様ですの? あの場にはいなかったと思いますが……』
会長さんが言うあの場とは、勇者召喚が成功して何日か経った後、王都リフホーネで盛大な『勇者お披露目会』が行われたそうだ。
しかし、その中には美咲はいたが、俺はいなかった。
『それは……ですね……』
俺は返事に困っていると、
『まぁ、そんな細かいことはどうでもいいですわ』
そう言って会長さんが俺に近づき、
『カナタ・ソラ! 生徒会に入りなさい! これは命令ではなく強制ですわ』
俺は一瞬、会長さんに何を言われたのかわからなかった。
『ちょっと待ってください! いきなり生徒会に入れって……』
『私は貴方が欲しいのですわ』
会長さんが熱いまなざしで見つめてくる
『私は貴方が欲しいのですわ』
大事なことなので二回言ったようだ。
(あれ? 生徒会の話だよな……)
『えっと……すみませんこの後用事があるんで!』
俺は走ってその場を後を逃げ出した。
「……てことがあったんだけど。これからどうすればいいかみんなに聞きたいんだけど……」
会長さんの勧誘と告白? を断るための対策を聞いたが、
「観客席でもみんな色々言ってたわよ。私からはドンマイとしか言えないわね」
「えっとですね……ドンマイでした」
「ドンマイ」
「ドンマイ。頑張ってね!」
殆どドンマイと言うだけで、他には何も言ってくれなかった。




