第二十八話 第一回ツバサ寮ミーティング
部屋割りを決めた後に、学園側から一人一人に、ベットやクローゼット、共通用に大きなテーブルと人数分の椅子が届いた。
そして今俺は、先程決まった自分の部屋で、サフィークから色々なものを取り出して並べている。ロナテーナで買った物の中で、使えるものはないか探しているのだ。
するとペリルがノックもせずにドアを開けて、部屋の中に入ってきた。
「ソラ! リビングに集合よ……って!? どこらか出したのよこんなに 」
ペリルは、俺の部屋に並べてある料理器具や魔道具を指をさす。
「これに入れていたんだよ」
俺はペリルにサフィークの説明をして、渡した。
「こんな袋が便利な魔法具なのね。丁度良かったわ。下に行くわよ」
部屋に料理器具などをそのままにして、階段を下り、リビングに向かった。そこには、リラ、美咲、カカリの三人が椅子に座っていた。
みんなも、これから何をするのか知らないようだ。 俺とペリルも椅子に座ると、ペリルがテーブルを叩き……
「今から、『第一回 ツバサ寮ミーティング』を開始するわよ」
「ミーティング? 」
「そうよ。今日はこの寮に足りないものを話し合って、後で買いに行くのよ」
ツバサ寮には家具や物が少ない。ペリルによると、買うものを決めずに買いに行くより、買うものを決めて買いに行く方が、効率がいいそうだ。
すると美咲が……
「机と椅子、勉強できる道具が欲しい」
「それは……みんな必要ね。特にリラは……」
ペリルが紙にメモを取った後、リラを見た。リラは筆記試験の順位が最下位だったから、勉強しなさいと、ペリルは言いたそうな視線を送っている。
「私は……石鹸やシャンプーが欲しいなー。ほら、ここのお風呂にはないから……」
リラは、ペリルから目をそらして言った。ついでに言うと、俺の順位はまだ誰にもばれていない。
「わっ私も欲しいです。あと料理器具と食器も買いましょうよ」
「料理器具なら俺が沢山持っているから大丈夫だよ」
すると、リラが手をポンッと叩き、
「そういえばソラは、無駄に沢山持ってたよね」
(無駄にってひどい)
リラは、俺が料理をできることをまだ信じていないようだった。未だに俺は、リラに手料理を作っていないし、料理器具も一度も使っていないので、何も言えないが……
「それじゃ、今日の夜ご飯は俺が作ろう」
「私も……そらの料理が食べたい」
美咲が俺の意見に賛成してくれた。
「期待してるわよ」
「そっその時は、私もお手伝いしますね」
カカリは、俺を怖がっているのにも関わらず、手伝ってくれると言ってくれた。
(いい子だなぁー。カカリは)
リラをギャフンと言わせるために、ペリルの期待に応えるために、カカリの俺への恐怖をなくすために、俺は美味しいご飯を作らないといけない。
「他にいる物はあるか? 」
みんな考えているが、何も浮かばないようだ。結局、欲しい物ができたらまた買いに行けばいい、という事になったので、俺たちは店が集まっている場所、商売区に向かった。
勇者である美咲と王族であるカカリに視線が集まる中、俺たちは商売区を歩いている。
「まずは、どこに行くんだ? 」
俺は、ツバサ寮のまとめ役となりつつある、ペリルに聞いた。
「そうね……ここから一番近いのは、石鹸やシャンプーが売っている店ね」
そうやって俺たちは、目当てのものを買っていった。美咲とカカリは、サフィークに出し入れされる物を見て驚いていた。二人にサフィークがどこに売ってあるのか聞かれたが、サフィークはこの世界に一つしかない事を伝えると、あの美咲でさえショボンとしていた。
そして夜……
「できたぞー」
俺とカカリは、キッチンで作った料理をテーブルに運んでいく。
「何よこれ!? 食べれるの? 」
ペリルが、俺の作った料理を見て驚き、リラは、俺が本当に料理を作ったのか疑ってる目だった。
「これはオムライス。そらの作ったオムライスは、美味しいから大丈夫」
ペリルの疑問に美咲が答えた。オムライスが出来上がった時は、カカリも初めて見たといって驚いていた。
「凄かったですよ。ソラ君の料理の手際の良さは、手伝うと言ったのに、私は何もできなかったですけど……」
なんと俺は、料理中にカカリと打ち解けることができたのだ。
「美味しいわね」
「美味しい! 本当に料理できたんだソラって!?」
ペリルは素直に美味しいと言ってくれたが、リラはまだ、俺が料理をできる事を疑っていたようだ。まぁ美味しいとってくれたから良いけど……
俺が作ったオムライスは、愛情たっぷりとまでは、いかないが、みんなの事を思いながら作ったものだ。不味いと言われたら、そこそこへこんでいたと思う。みんな、俺の作ったオムライスを完食した後、ペリルが俺と美咲を見て、
「さっき美咲が、ソラが作ったオムライスだっけ? それを前にも食べたことがあるみたいな事を言っていたけど、どういう事? 」
ペリルたちになら話しても良いと思ったので、俺が勇者であることを話すことにした。
「実は、俺もこの世界に召喚された勇者なんだよ。まぁ俺は、リフホーネじゃなくて、ロナテーナの近くにある、オズタートって場所に召喚されたんだけど」
ペリルとカカリの口が大きく開く、そのまま二人は固まった。
「私が倒れているソラを見つけたんだよ。あの時は本当に重かったよ」
リラは一人で、俺と聖剣アルダートを持ってロナテーナまで運んだのだ。
それから俺は、ルーブビレでシルドさんに勧誘を受けて、ここにきたことを話した。
「それじゃあ二人とも、ルーブビレであったこと知ってる!? 」
ペリルが椅子から立ち上がった。
「フーライラのこと? 」
リラが俺の方を向いて言った。
「そう! 一人の少年と少女がルーブビレを救った話。伝説の魔物フーライラに向かっていった少年と街に取り残された人々を救った少女のことを知らない? 」
「知っていると言うか何て言うか………」
どうみてもこれは、俺とリラのことだ。
このルーブビレを救った少年と少女の話は、この学園でも有名な話だ。特に、光り輝く少年の姿は、勇者ツバサの再来と呼ばれている。
カカリも気になっているようで、俺たちの話に耳を傾けている。
「知ってるのね! 私に包み隠さず教えなさい! 」
すると美咲が……
「私もここに来てから、ずっと気になってたことがある」
美咲がそう言って俺に近づいた。
「勇者ツバサは、ソラの祖父のツバサさんなの? 」




