第二十六話 学生証発行
俺たちは魔法の試験の時に使った試験会場と同じくらいの広さの教室にいる。
「全員に行き渡ったな! ギルドに登録したやつなら分かるだろうが、それに魔力を流してくれ。あと成績順位が出るだろうが、それは、ツバサ学園合格者の中での試験結果の順位だ」
俺たちが渡されたのは、白紙のカードだった。俺たちは、白紙のカードに魔力を流すとギルドカードと同じように、カードが光り文字が浮き出てきた。
ツバサ学園 学生証
カナタ・ソラ 所属クラス 1−S
年齢 16歳 性別 男
種族 ヒト族 出身 日本
魔力量 80000
適正属性 火、水、風、光、闇、無、回復
成績順位 魔法 1位 筆記 9999位
上記の者は、本学生であることを証明する
俺は魔力量が増えた事と、魔法の成績が1位だったのは、嬉しかったのだが……
(筆記順位が9999位って……)
この学園の合格生徒数は、確か全部で10000人だ。俺は学年の中で下から2番目なのだ。それでも最下位ではないという事は……
(俺より、点数が悪いやつがこの学園にいるのか? うぁ〜めちゃくちゃ気になる)
ツバサ学園は、この世界で一番の名門校だとシルドさんから聞いた。普通……俺より筆記試験の点数が悪いやつは、この学園には受からないだろう。俺の様に魔法の試験で上級魔法を使わない限りは……
「あっ!!」
俺は一人だけ思い当たる人物がいた。俺が声を上げたことで、その人物が俺に話しかけてきた。
「どうしたのソラ? いきなり大声を出して」
「別に何でもないよ。それより、仲良くなる為に学生証を見せ合おうよ。ほら……何か話の話題が出来るかもしれないし」
その人物の順位を確認する為に、誘導させる提案すると、他の人がくいついた。
「そうよ。この天才美少女魔法使いの私より成績が良かったやつは誰よ! ……えっと? カナタ・ソラだっけ? 見てよ私の学生証!」
そう言って、天才美少女魔法使いペリル様は俺に学生証を渡した。
ツバサ学園 学生証
ペリル・ナナタリー 所属クラス 1−S
年齢 16歳 性別 女
種族 ヒト族 出身 ルーブビレ
魔力量 15000
適正属性 光、無、回復
成績順位 魔法 5位 筆記 2位
上の者は本学生であることを証明する
(同い年だったのか、筆記順位2位って! やっぱり、本物の成績上位者は凄いな)
ついでに言うと、偽物の成績上位者は、俺の事だ。
「この私が、5位と2位なのよ!! 絶対おかしいでしょ! 」
天才美少女魔法使いペリル様には、この高順位の成績でも納得がいかないらしい。
すると、カカリさんが一歩だけ後ずさった。それを見逃さなかった、天才美少女魔法使いペリル様は、カカリさんに詰め寄った。
「今、後ずさったでしょ! あなたの学生証を見せなさい」
カカリさんは、無言で首をブルブルと横に振るが、天才美少女魔法使いペリル様に、睨まれて泣く泣く、学生証を渡した。
「えっ!? カカリ・ディアナってあの!?」
天才美少女魔法使いペリル様は、驚きの声を上げた。
(さっき自己紹介しただろ。何で驚いているんだよ)
天才美少女魔法使いペリル様は自己紹介を聞いていなかったようだ。
「天才美少女魔法使いペリル様、どうしたんだよ?」
「何よその長ったらしい名前は! あと様付けをするならディアナ様にしてよ」
(ディアナ様?)
「わっ私の事は、カカリでいいですょ〜さっ様付けなんて、やっやめてくださぃ」
状況が読み込めていないのは、俺だけなのかとリラと美咲を見ると、美咲は分かっているようだが、リラは分からないって顔をしている。
俺は美咲はカカリさんがどういう人なのかを聞いた。
「彼女はディアナ王国のお姫様」
「お姫様ってあの大きな城に住んでいる?」
「そう」
ディアナ王国は、獣人族の王である獣王が納めている国で、カカリさんは、そこの第二王女だそうだ。
俺たちの会話が聞こえていたのか、カカリさんが俺たちの方へやってきた。
「カカリさんじゃなくて、カカリ様どうしたんですか?」
俺がカカリ様と呼ぶと泣きそうな顔になり、猫耳が垂れ下がった。
「ソッソラさんまで……こっこれから、一緒に勉強すゅ……する仲間なんですから、カカリと呼び捨てで呼んでくださいよ」
このままでは本当に泣かせてしまうと思った俺は……
「じゃ、カカリこれからよろしく。あと、俺の事もそらと呼んでくれ」
カカリの耳がピンとなって尻尾がフリフリしている。喜んでいるのだろう。
ツバサ学園 学生証
カカリ・ディアナ 所属クラス 1−S
年齢 15歳 性別 女
種族 獣人 出身 ディアナ王国
魔力量 13000
適正属性 水、風、闇
成績順位 魔法 4位 筆記 3位
上の者は本学生であることを証明する
俺は、カカリの学生証を見せて貰った。
(すげぇー。本物のお姫様だ)
俺がカカリを見て感動していると、美咲が俺に学生証を渡した。
「そら、私のもみて」
ツバサ学園 学生証
ホリイ・ミサキ 所属クラス 1−S
年齢 16歳 性別 女
種族 ヒト族 出身 日本
魔力量 35000
適正属性 火、水、風、無
成績順位 魔法 3位 筆記 1位
(さすが、美咲だな。筆記試験1位だなんて)
美咲の魔力量と適正属性は、同じ勇者でも俺より少なかった。
俺が美咲の学生証を見ていると……
「魔力量! さっ35000に適正属性4つ!? さすが勇者様ね。さすがの私でもかなわないわ」
天才美少女魔法使いペリルは、何ともないように言っているが、カカリと美咲の学生証の順位を見て、少し涙目になって居るのは気のせいだろうか?
天才美少女魔法使いペリルは、自分のことを天才と言っているのに、魔力量と適正属性数はカカリと一緒。さらに美咲には、どちらとも負けている。順位はいい勝負だが、天才美少女魔法使いペリル的には、負けていると感じているのだろう。
そしてまだ、俺が、学生証を見ていないのは、あと一人だけになったのだが……
「リラも見せてくれよ」
リラは学生証を後ろに隠している。
「私の見ても、笑わないでよ」
ツバサ学園 学生証
リーラ・レイシャン 所属クラス 1−S
年齢 17歳 性別 女
種族 エルフ 出身 ロナテーナ
魔力量 55000
適正属性 水、風、光、闇、回復
成績順位 魔法 2位 筆記 10000位
「リラも魔力量が上がったな……ふっ……なんとかなるって言って、筆記最下位って」
やっぱりリラが筆記テストの順位は最下位だった。
「笑わないで言ったじゃん」
俺たちが話していると、俺以外の視線がリラに集まった。すると、天才美少女魔法使いペリルが、
「えっ!? なんで筆記最下位の人が特待生になれるのよ! 」
先程から俺たちの様子を見ていた、フリップ先生がこたえた。
「レイシャンは、魔法の試験で上級魔法を使ったんだ。ナナタリーも噂で聞いてるだろ」
天才美少女魔法使いペリルは、噂ってなんだって顔をしている。ついでに、俺とリラも噂なんで知らない。
「先生それは……試験中に上級魔法を使って室内を燃やして凍らせた受験者の話ですか?」
何故か、わざと室内を燃やし、凍らせたことになっていた。
「ディアナそれは、レイシャンではなくカナタだ。レイシャンは、人形をバラバラにした方だ」
カカリは、俺を見てブルッと震えた。俺は誤解を解こうとカカリに話しかけようとした時……
「なんなのよ!! 」
急に後ろから、天才美少女魔法使いペリルの叫び声が聞こえた。
「天才美少女魔法使いペリルどうしたんだよ。今度は?」
俺が、天才美少女魔法使いペリルを見ると、床に座り込み泣いていた。
「わっ……私は……天才じゃ……なかったんだ。ぱっ……パパの嘘つき……才能がある天才だって……言ったくせに……」
ペリルは、ペルスさんに天才と言われて育ってきたみたいだ。
「ソラ何とかしてよ」
リラが俺に、天才美少女魔法使いペリルを、なんとかしろと耳元で言ってきたが、天才美少女魔法使いペリルは、いつの間にか体操座りになりブツブツと何かを言っていた。
(俺にどうしろと……)
他の人も俺が何とかしろと目で訴えてくる。
俺は、天才美少女魔法使いペリルのところまで行き……
「なぁ、天才美少女魔法使いペリル。お前は、ここに何をしに来たんだよ」
「私は……強く……強くなる為に……ツバサ学園に来た」
「なら、俺たちと一緒じゃないか、俺とリラだって、強くなる為にここの試験を受けたんだから」
俺は、上級魔法をもっと覚えて、剣技を教わる為にこの学園に来た。
リラも俺に強くなりたいそういった。
「一緒に強くなろう」
美少女魔法使いペリルは涙を拭き立ち上がる。
「ペリル……私の事は、ペリルでいい」




