第二十五話 再開と新たな出会い
「みなさん、ツバサ学園に入学おめでとうございます。とある事情により、急遽筆記テストが後日に延期という前代未聞のハプニングもありましたが、こうして無事に入学式を迎える事ができました」
俺とリラは、ツバサ学園の制服を着て特待生として入学式に参加している。シルドさんが言ったとある事情とは、俺の魔法が原因だ。
一週間前の試験の日、フリーズで火を消すことには成功したが……今度は、フリーズの連発の影響で、室内を全て凍らせてしまったのだ。室内にいた受験者と試験官は、靴を凍らせただけで済んだのが幸いだったのだが……このグループの魔法の試験が長引いた事により、全体の試験時間が大幅にずれたので、筆記試験が後日にすることになったのだ。
そして後日筆記試験が行われた。試験内容は、魔法についてとこの世界の歴史だった。これが難しく、自信満々だったリラも筆記試験が終わると、ショボンとしていた。
合格発表当日、不安だったが結果は合格、しかも、特待生だった。シルドさんに聞くと、上級魔法を扱える時点で、特待生として合格らしい。シルドさんが適当に受けても受かるといった理由は、これの事だったのだ。
そして今、シルドさんは学園長として挨拶をしている。日本の校長先生の話は長いと言われているが、シルドさんの話はもっと長い。
「私の話はこれで終わりますが、本当はもっと話したいんですが……次は新入生代表の挨拶です」
シルドさんと入れ替わるように、一人の少女がステージに現れた。それは俺のよく知っている人物……
「みっ! 美咲!? 」
この学園に入学が決まっていた勇者とは、堀井美咲彼女のことだったのだ。
美咲の登壇により一気に会場がざわめく。
「あれが勇者様の一人」「勇者様と同じ学園に通えるんだ」「初めて見たよ勇者様」
会場がざわめく中、美咲が話し始めようと口を開くと、一瞬にして会場が静かになった。
「新入生代表の堀井 美咲です。新入生代表として目標になれる生徒になりたいと思います」
それだけを言って、美咲はステージの裏側に戻っていった。
……………
(えっ! 終わり!? )
俺から見たら、寡黙少女の美咲にしてはよく話した方なのだが、シルドさんの話の後だと自己紹介をしている様にしか聞こえない。
こうして美咲の新入生代表の挨拶が終わった。
入学式も終わり、俺とリラはこれから勉強する事になる1のSの教室に向かった。教室の中に入ると既に、三人の少女が席に座っていた。
美咲が俺に気付いた。
「なんで……そらがここに……いるの?」
美咲は俺を見て驚いている。
「美咲久しぶりだな。俺もここの学園の試験を受けて、見事ここの生徒になったんだよ」
「そう言うことじゃない。なんで、この世界にいるの?」
美咲たちは、やっぱり俺がマフカースに召喚されたことを知らなかったようだ。
「俺は別の場所に召喚されたんだよ。詳しくは……時間ができたら話すよ」
美咲はリラの方を見た。
「彼女は、リーラ・レイシャン。俺と一緒に旅をしてるんだ」
リラは、美咲にお辞儀をした。
「リラって呼んでえっと……」
リラは美咲のことをなんて呼べばいいかわからない様だ。
「美咲でいい」
リラと美咲の挨拶が終わった後、一人の女性が教室に入ってきた。
「この後のことを説明するから、適当に席に着け」
俺たちは、余っている後ろの席に適当に座った。すると、女性がみんなにプリントを配った。
「これが今日の予定だ。まぁ見てくれ」
俺は配られたプリントを見る。
1,自己紹介
2,学生証発行
3,今後について
4,学生寮案内
5,その他
「見ての通り、まずは自己紹介からだ。ちなみに私はこのクラスの担任のフリップ・レターだ」
ここは特待生クラスなので、クラスの人数はたったの5人しかいない。席は前に二つと、後ろに三つある。
自己紹介はまずは、薄いピンク髪の女の子からだ。
「ペリル・ナナタリーよ。わたしのことは、ペリル様と呼びなさい。なんてたって私は、三属性の適性を持つ天才美少女魔法使いなのよ」
自分のことを天才美少女と名乗る女性。確かに美少女だが……
(……ナナタリーって!)
なんとペリル・ナタリーは、ペルスさんが溺愛している一人娘なのだ。
顔は全く似ていない。
次は猫耳を持った青髪の女の子だ。
「わっ私は……カカリ・ディアナです。カカリって呼んでください。あと……仲良くしてくれると嬉しいです」
カカリは猫の獣人で、内気そうな女の子だ。
「私は、リーラ・レイシャンだよ。得意属性は風属性です。リラって呼んでね」
「俺は奏多 そら。えっと……好きな食べ物はラーメンです……そらって呼んでくれ」
(好きな食べ物って……俺は小学生かよ)
美咲以外の人の頭の上に『ラーメン?』と浮かんでいる。
「堀井 美咲。美咲でいい」
やっぱり美咲の自己紹介は短かった。
それぞれ自己紹介が終わった後、学生証を発行する為に教室の移動を開始した。




