第二十三話 学園の名前は?
「やっと……着いたよ」
リラが魔車から降りて背伸びをする。俺もリラに続き魔車から降りた。
「これが……全部学園なのか!?」
目の前にあるのは、学園って言うより街にしか見えなかった。
シルドさんはこの広い街全体が学園そのものだと言っていた。
学園の生徒が快適に暮らせるように年々改良していったら、いつの間にか街の大きさまで拡大したらしい。
(この学園の名前は……何ていうんだ?)
結局、ルーブビレでは誰も学園名を教えてくれなかったのだ。
別れの際も……
『ザルーガさん、動いて大丈夫なんですか? 包帯グルグルじゃないですか』
今日は俺たちがルーブビレを旅立つ日だ。見送りには、ザルーガさん、ジーラさん、フランさん、ペルスさんに宿屋のおばちゃんの姿まであった。シルドさんは、やっておくことがあると言って先に学園に向かった。
『大丈夫だ。ペルスのお陰で見た目よりは元気に動ける様になったんだ。お前らの旅立ちの時ぐらい見送らせろ』
ジーラさんがザルーガさんの足を軽く蹴った。ザルーガさんが痛そうに足を押さえている。
『ジーラなにすんだ! 』
『…………』
ジーラさんはそっぽを向いて、ザルーガさんを無視した。そんな二人の姿を見て、周りの人たちがが笑う。
『ジーラさんとザルーガさんも、学園の卒業生だとシルドさんに聞いたんですが、学園の名前を教えてくれませんか? 』
シルドさんには、学園の名前をはぐらかされたままなのだ。
『すまねぇがそれは言えねぇ、シルドの野郎に口止めされてんだ』
ザルーガさんたちは、この街の援助金をシルドさんから貰う条件が、俺に学園の名前を教えない事だそうだ。
ワールブレスレットを調べようとしても、場所が分からないので調べれない。
こうして俺たちは、名も知らない学園へと、コズッケの引く魔車で向かうことになったのだ
そして今俺たちは、学園街の中で、この学園の名前が書いてあるものを探しているのだが、どこにも書いていない。街の学生に聞いても、『今日は学園名に関することを言ってはいけない』と、シルドさんに言われていると言われて、教えてくれなかった。
ワールブレスレットで学園の名前を確認しようにも、今はリラが持っているので確認する事ができない。 ルーブビレを出発前に、ジーラさんにワールブレスレットをリラに渡しとく様に言われたのだ。
(シルドさん……どれだけこの学園の名前を知られたくないんだよ)
俺たちは校舎の前に着いた。門の前には学園名が書かれた物が有ったであろう場所があった。明らかにそこだけ白いのだ。
門の中から一人の人物が出てきた。
「やあやあ、お待ちしておりましたよ。ソラくんにリーラさん。どうです? この街は良いところでしょう。生徒の為に開拓された街、それがこのツバサ学園です」
(つっ! ツバサ学園!? )
やっとの事で、この学園の名前を知る事ができたのに、それが……
「冗談ですよね? シルドさん」
リラが、俺にワールブレスレットを返してくれた。直ぐに魔力を注いで、ワールブレスレットを起動させた。
そこには、
ツバサ学園と書かれていた。
シルドさんが何かを持って話し始めた。すると……シルドさんの声が、ツバサ学園に響き渡った。
「『第一回ツバサ学園名前隠し大作戦』を、ここに終了する事を宣言します。ご協力いただいた生徒の皆さんや従業員の皆さんありがとうございます。お陰で見事大成功しました」
(ここまでして、学園の名前を隠す必要があったのか?)
「ソラ! ツバサ学園だってー。私たちって、ここに通う事になるんだよね」
正直、この学園に通いたくはない。
「ソラくんそんな嫌そうな顔をしないで下さいよ。別に良いじゃないですか、学園の名前がソラくんの祖父と同じ名前でも、大体この世界には、子供の名前をツバサって付ける人は多いいですよ。このツバサ学園だけでも何人いるか……」
(やだなー……それは……)
もしかしたら、祖父と同じ名前の人と同じクラスになるかも知れないのだ。
そもそも試験に受からないと、ツバサ学園には入学することさえできない。
「シルドさん。試験はいつあるんですか?」
俺たちは、ツバサ学園の入学試験の日程について何も知らないのだ。
「明日ですね。すでに他の受験者もこの学園に着いていますよ。あと、あなたたち二人の試験の手続きは、私が済ませておきましたので、安心して試験に挑んでください。まぁ、お二人なら適当に受けても受かると思いますが……」




