第8話 公園
先ほど感じた悪寒はもう感じない。
なんだったのだろうか?
誰か恨みがあるやつとか?
…心当たりは、無い。
考え事をしていたためだろうか?
「………おぉ?」
いつのまにかかなり方向を間違えて来ていた様だ。
自動公園の近くで我に返る。
たいして大きくない公園だが、春には桜が満開になって薄桃色の吹雪が起こる。
桜を
「キレイ」
だと思ったことはなかったが、その時期に通りかかるとついつい足を止めてしまう。
普段は小学生やら幼稚園児たちが遊んでいるのだが、今日に限っては誰もいない。
いるのは俺と同じ年ぐらいの男が二人いるぐらい。
制服を片方は着ているが、どこの高校だかわからない。
…特にやることもないな。
紅葉せずまったく秋らしくない公園から再び来た道を戻る。
「…風邪、平気か?」
隣で
「あ〜」
とか
「う〜」
とかいいながら鼻をすすっている斎藤が気になる。
…かなりきつそうなんだが
本人は
「平気、平気」
と言っているので平気なんだろうが…
「なんか、学校で休んだこといってた?」
「いや?特に…連絡したのか?」
「いいや」
と首を振って答えるが、そのままふらつく。
…大丈夫なんだろうか?
「熱はないのか?」
「ずいぶん下がったから平気だろ」
そうは見えないんだって…
「今何度?」
「さっきはかったら40度」
「寝ろ」
何を考えてるんだこいつは…
「平熱37だから大したことないって」
簡単に言う…
「40…普通動けないだろ」
「40は平気、それ越えるときつい」
40の上とな?…それは41度とかですか?
「最初何度だった?」
「42度」
一瞬風が公園に吹いた。
サァァァァァ…
ざわめきが公園を支配する。
「ふおぉぉぉ…」
うめき声に振り向くとそこには、遠くに後退りした斎藤が…どうやら、今の風で流されたらしい。
…やっぱ馬鹿だ…
くそ!なんだこの貧弱な体は!?
なぜ風などに流される!?獲物は目の前だ!
一度首筋に噛み付けばそれでおわる!
それなのに、ふらふらするわ、力は入らないわ、なんなのだ!
獲物が何か言っている。
見舞い代わりにジュースをおごるだと…?
くく…もうこの体の持ち主の真似をする必要はないな。
後ろを向いたら噛み付いてやる…
右手の甲が軽く光を放ち、みるみるうちに犬歯が鋭くなり牙となった。
手足も血管が浮き出るほど太く大きく発達している。
一瞬、体に
「ため」
をつくり、一気に放つ。
獲物まで一飛で一瞬で辿り着き口を開ける。
がぽ
…がぽ?
なんだ?口に何かが入っている。
冷たい。
「あが…ご…おぉ?」
硬い
獲物が振り向き、表情を固める。
…
……
………
「…ぶ!」
いきなり笑いだしている。
こいつ…狙ってやったのか?
げらげらと笑っているそいつは、
「そんだけ元気なら大丈夫だな」
と言って肩を叩いている。
再び風が吹いてくる。
風にのって子供の声が聞こえてきた。
…人が増えてきたか。
今日は
「狩り」
はやめておくか。
目の前の獲物に
「もう帰るから」
と言って公園を出た。
なんか、急に元気になったな斎藤…
口に缶がはまってるのみたときは何かと思ったけど、おもしろかったな。
子連れの夫婦やら爺さん達が来て公園が騒がしくなった。
「俺も帰るか」
誰にいうでもなくぼそりと呟き、自転車にまたがった。
まだ、公園に秋の気配はない…
なんか、片方の主人公ほったらかしですね… どうしよう… さて、怪しい人も出てきたことで、やっとお話が動きそうです。 何せ初めての物書きなんで矛盾とかがあったら教えてください。 なおしようがないくらいすごい矛盾は素直に謝りますので。 では、次話をお楽しみに




