第四話:昼休み 2
昼休み1と同じ時間のお話です。主人公は名前が出てきませんが、1と2の主人公は別人です。混乱したらごめんなさい。ただ視点が違うという形です。
秋に向かって涼しくなっていく季節
「あちぃ…」
ぽつりともらした言葉は、昼休みの喧騒に呑まれてきえた。
こんなときはぼーっとして過ごすに限る。
へたに行動して体力を削るよりは、よっぽど賢いだろう…(つーか、九月の終わりに蝉ですか…)季節を間違えたらしい蝉が合唱をしていて、なおさら暑く感じる。
今日の昼飯は学校のパンだ。
いつも仲間内で買いに行くやつと、店を決める。
オレが負けたときなんか、片道10分もかかる店を指定されて、夏場チャリを全力疾走させたこともある。
ガラ…勢い良くドアを開けて、本日のパシリ君が登場。
「お帰りパシリ君」
俯せにしていた顔をドアに向けて彼をねぎらう。
…本日のパシリ君出席番号01相川 樹君…こいつよりもアイウエオ順で早い奴はいるんだろうか…?両手に下げられた袋からパンが顔を出している。
順番にその場所にいたやつに配っている。やっと教室の奥にいるオレの前にきた。
「ほい。」
パンの入った袋ごと放り投げる。
「ん。さんきゅ」
腹の虫を押さえながら袋のなかを覗くと…何ともうまそうな茶色をしたパンの耳が……って、をい!
「…なんだこりゃ?」
オレの問い掛けに相川は、いかにも
「何が?」
と言いたそうな顔をして振り向く。
「オレが頼んだのは何だっけ?」
少し考えてから、あぁ!と顔をほころばして、
「無かった」
「で、これは何かな?」
「食パンの耳」
「いくらだった?」
「五百円」
「…いくら渡したっけ?」
「六百円」
「そうか…」
一旦言葉を切り、相川がパンとともに仲間に渡していたジュースを指差して
「いくつ買った?」
「五本」
「誰の分?」
「上田、松本、自分、坂田、加藤」
「…オレの分は?」
「金が足りなかった」
「ジュース代渡したのか?」
上田を含む四人はみな顔を振る。
渡してないってことは、オレの金でみんなの飲み物を買ったって訳か…。
「わかった?」
顔を覗き込んでくる相川。
「よ〜く分かった」
「そうか。」
満足気に席に座ろうとするところを肩を捕まえて動きを止める。
「オレの金を使ってみんなの飲み物を買ったってことがな…」
「はぁ?何言ってんだよ、お前の分ならあるじゃんか」
「これか?」
パンの耳をもってみる。
「そうそれ」
「パンの耳が五百円もするか!」
「只のパンの耳じゃないぞ!」
「食パン十枚分か!?」
「二十枚分だ!」
少しづつ後退りする相川
「売店のおばちゃんに無理言って多めに詰めてもらったんだぞ!」
「十枚だろうが二十枚だろうがなぁ…」
「パンの耳が五百円もするか!」
その瞬間脱兎のごとく逃げ出す相川。予想していたため追い掛けるオレ。
「そのパンの耳食うから捨てるなよ!」
「食うのかよ!」
上田以下三人の突っ込みを背に相川を追い掛ける。
−いつもとかわらないどたばたとした、これがオレ達のいつも道理の昼休み−
二人の主人公の別々の視点ていうのをやってみたくて作ってしまいました。いくつか交錯するところがこれから出てくると思います。作者にそれだけの技量があればの話ですが… 感想、御指導等など受け付けておりますのでよろしくお願いします。




