第二話:昼休み1
「失礼しました」
軽く会釈しながら職員室のドアを閉める。
襟まで止めていたガクランのボタンを外し、一つ息を吐く。
―斎藤について何かしらないか―今担任に聞かれた言葉が頭のなかを巡る。
先日の行方不明事件の被害者が斎藤だった。
よく遊んでいたし、親友といえた間柄かもしれない。
ポケットに入っている携帯を取出し着信履歴を調べたが、斎藤からの電話やメールは事件前日にはなかった。
こちらからかけてもいなかった。
最後に見たのは、事件前日。
発見されたとき胸には大きな穴が開いていたという。
携帯の画面を待受画面に戻すと12:50を回っていた。
人一人が死んだくらいじゃびくともしない世界…自分が居てもいなくてもいいような気さえする。
ゆっくり吐息をはいてのんびりと教室までの道を歩いていく。
−いい天気だなそんなことを考えさせるほど今の天気は雲一つ無い快晴だった−
…と、自分の教室のある別館の方から騒ぎ声が聞こえてきた。
辺りに響く蝉の声に負けないぐらい喧しい声は、俺のよく知る声だった。
同じクラスの二人組の声だった。
この暑い日にあんな騒ぎのもとは確実にここよりも温度が高いだろう…
考えただけで汗が噴き出しそうだ。
俺は方向転換し、日陰を求めてあるきだした。
今はたとえわずかでもいいから涼しい場所へ行くことが何よりも大切なような気がしている。
−暑い。
−暑い。
−…暑い。
…なんとか日陰を見つけて腰掛ける。
このまま、汗が引くのを待つことにしよう。
壁に寄り掛かり少し休むことにした(それを一般にサボルトイウ)




