第一話:吸血鬼の再来
オレンジ色の光がカーテンを付き抜け部屋を橙色に染めあげる。
整然と並べられた、しかし各個人差のある机と椅子のペアが40弱いずれもカーテンと同じ色に染まっている。
日中のうだるような暑さが嘘のように今は暖かい光がそこを照らしている。
窓からさしこんでいる光の柱の下に壁によりかかるようにして座っている男が一人。
手足を投げ出し、だらっとした体勢で一見眠っているようにも見える。
暖かい光がさしこむ教室で軽く一眠り・・・
といったところに見えなくもないが、それは彼のからだの前に赤黒い水溜まりが否定する。
鉄のような金属臭を放ち、ねばっこく、ぬめり気のあるそれは、大量の血液。
橙色の光の柱に照らされ、赤というより黒ずんだ印象を受ける。赤黒いそれは徐々に床を侵食し領土を広げていく。
(…あぁ、眠い…な)
首を上げる力もないらしく、ずっとうなだれている。
閉じるか閉じないか、微妙な視界は流れ出す源泉を捉えている。
大きく空いた穴。
学生服を突抜、肉を突抜、背中を預けている壁が見えている。
そこから溢れ出している液体。
(…あーあ、こんなに出血しちまって…)
どこか夢心地で自らに空いた穴を眺める。
領土を広げていた液体はふと、障害物にぶつかり行き場を失う。
真っ白な布地をじわりじわりと赤く染めあげようとする。
白い布地は二カ所にあった。
夕日に染めあげられ薄いオレンジ色になっていたが、逆にだからこそ元の色も容易に想像がつく。そう。それは学校指定の上靴だ。
ただ白いだけで飾り気もなにもない。
だからこそ。
それを履いているのは、同じ学校の生徒のはず。
胸に風穴を開けた生徒の前にただ立ち、その様子を観察しているように見える。
その立たず舞いには動揺のいろなど欠片も感じられない。
上靴の上は学校指定のハイソックス。
そこから夕陽に照らされ染まった膝が覗く。
ゆっくりと。
まるで花を摘むかの様に自然な動作で膝を折り赤黒い池にその華奢な体をついた。
ぴちゃ。
ぴちゃ。
ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ。
いつの間にか聞こえなくなった運動部の掛け声が消えた静寂の中に、犬が水を飲むような音が響く。
最初は控え目に。
徐々に激しく。
ずず、ずず、ずず、ずず。
食わず嫌いだった食べ物が思いの外美味だと知ったかのように。一心不乱にむさぼる。
ごくん。
ー…っはぁ。
一息つき再び作業を再開。
太陽が沈み、すっかり暗くなった頃には男子生徒の姿も女子生徒の姿も、当然血の跡も綺麗に消えていたという。
どうでしたでしょうか? 初めての執筆なものでかなり下手だと思いますが、感想などいただければ幸いです




