第23話 抵抗
粉塵爆発。
文字通り粉塵に火を点けて起こる爆発現象。
白煙立ちこめる体育用具室、出入りは入り口のみ。
そこを閉めて少しでも火を起こすようなら、そこは即座に爆弾と化す。
南 太一の取った行動はただ一つ。
中に入りとにかく火を起こすこと。
手持ちでライターなどは持っていない。
ならば、火花をおこせばいい。
足元に転がる何かを拾い上げ振り回す。
質感からそれは金属特有のひやりとした感触。
わかったことはそれだけ。
だけどそれで十分。
大切なことは、今この手にに金属の棒を持っていること。
手探りで入り口付近の壁をさすり、ボタンを押す。
…カチリ。
乾いた音がした。
視界がわずかに明るくなった気がする。
目の前が真っ白なため実際はとうなのかわからないが。
そして真上に棒をふり、蛍光灯を破壊する。行き場を突然断たれた電流は、そこで不満を表すかのように火花を散らせる。
火花は、充満している石灰にぶつかり、瞬く間に広がっていく。
石灰粉が燃え、それがまたまわりの粉に燃え移りそれがまた…
一瞬で密閉された部屋中に詰まっている粉塵が燃えた。
いや、体育用具室という爆弾が弾けた。
唯一の出入口をふさいでいたドアが吹き飛び、中にいた一人が勢い良く部屋から弾き出された。
勢い良く飛び出たそれは、転落防止用に作られたであろう手摺りに背中からぶつかり、仰け反るように手摺りをこえて落下。
まともに受け身もとれずに
「ゴシャッ」
という音と共に床にぶつかった。
そのまま、まったく動かず、その場が静止画のように部屋全体から動きが消えた。
………
……
…
ひゅう…
小さく、何か空気が通り抜けるような音がした。
ひゅう、ひゅう、ひゅう…
「げほっ、ごほ、ごほ、」
ぴくりともしなかった南が急にむせ返る。
ごほ、ごほ、ごほ…
病人のようにむせる口から赤い飛抹が飛び散る。
それが床に赤い斑点つくる。
「きもち、悪……」
ぼそりと呟く。
左右の手足を踏張って立ち上がろうとするが、踏張れずに仰向けになるだけだった。
視界の端にある体育用具室を見つめた。




