題22話 獣
――――なんだ?
彼は急に脱力感に襲われていた。
疲労とは違う。
全身から徐々に徐々に力を失っていくような感じがする。
とはいえ、それは大した影響力はなくいまだに破壊的な勢いで玉を投げ続けている。
投げる、投げる、投げる、投げる。
それにもいささか飽きた。
彼の胃は空腹を訴えていた。
食事をよこせ。
腹を満たせ。
――――・・・新鮮な血と肉をヨコセ
隠れて出てこないウサギよりも、食べごろの食事のことが頭をよぎる。
−あぁ、ソウカ、この脱力感は・・・・空腹だったカラカ・・・
姿だけでなく思考能力さえ人間では無くなってきていた。
赤い赤い血の滴る肉
若くて、やわらかく、噛めば噛むほど味の染み出る。
若者特有の味の強い血。
それを同じ人間の肉と一緒に飲む。
この上なく美味く。
そして、文字どうり彼の血肉となる。
肉を食いたい肉を肉を肉を
のどが渇いた・・・血が飲みたい・・赤くて、鉄臭くドロとした液体・・・
ハラガヘッタ
のどガカワイタ
一度空腹を認めてしまえば、彼の思考はそれのみに絞られていた。
ニクヲニクヲニクヲニクヲ・・・・
血が飲みたい血が飲みたい・・・・
肉肉肉肉肉にく!!!!
―くるりと、彼は向きを変えた。
いまだ血を流してい野村の方へと。
ひた、ひた、ひた、ひた・・・・
一歩一歩近づいていく。
―ハラガヘッタ・・・
彼の右腕は、刺青のような模様が淡く光を放っていた。
それは、彼が人間味を失っていくほど徐々に徐々にぼんやりとした光になっていく・・・・
まるで、それが彼の知性を表しているかのように。




