第20話 -SideB-
突然視界が開けた途端胸に感じていた熱さは強烈な痛みとなって襲ってきた。
「がぁぁ!?ガッハッふぅぅぅぅ…!?」
言葉にもならない痛みというものを初めて実感した。
無駄だと解っていても体が勝手に悶える。
メチャクチャに。
生きていることを主張するように。
ただ、激しく動く。
「あ、アぁぁァァ阿ァAア合明ああ!?」
こだまする絶叫。
聞くものはいない。
ただただ叫ぶ。
痛みを紛らわすためか、生きるためか、何のためか?
体は痛みを拒否し生を望み死を拒む。
叫びは意識とは別にほとばしる。
体は液体の上をのたうち回る。
「あぁぁぁうぅぇぇぇ…!」
徐々に落ち着き痛みも自然と引いてきた。
いや、
「落ち着いた」
という表現は適切ではなかった。
−あぁ何か眠くなってきたな…
痛みよりも眠気の方が上回り始めていた。
全身の感覚が鈍くなり始めていたのだ。
ふと、首を横に倒しさっきから絡み付いてくる液体を見た。
―ぬる。
―べた。
はっとして、自分の痛みの中心に手を当ててみる。
−すかっ。
何もなかった。
手が空を切った。
頭が一瞬真っ白になる。
−あれ?
彼の中で時間が止まった。
−もしかして、俺、死ぬ?
当然のことが頭の中を駆け巡る。
痛イ、眠イ、苦シイ…
嫌だ、死にたくない!!
思い出したようにぶり返す痛み。
「おおおおぁぇぇぉぉ!」
時間が動きだした。
彼は気付いていなかった。
既に致死量を超える失血をしていたというのに、意識が逆に鮮明になりつつあるということを。




