第19話sideB-暗闇-
真っ暗だった。
何もない中空を漂う感覚。
音も、臭いも、触覚さえ感じない空間に横になっていた。
空気があるのかどうかさえ分からない。
目を開けているのか?
それとも閉じたままなのか?
思考だけはしっかりとしている。
立ちたくとも、体が動かない。
指一本動かない・・・いや、動かし方が分からない。
ただただ暗い空間が目の前に広がっている。
―ここは、どこだ?
声も出せないらしく、心の中で呟く。
声が出ないのか、空気がなく真空なのか・・・どっちにしろ声が聞こえない点では一緒だ。
―あれからどうなった?
あの時俺は突き飛ばされて体育用具庫に突っ込んでいって・・・
気を失った・・・のか?
―これは・・・気絶しているために見る夢・・・・か?
分からない。
分からないが、頭のどこかで「違う」と答えを出している自分がいる。
どう違うのかは分からない。
現に俺は体育用具庫に倒れているはずだ。
・・・多分。目の前真っ暗だけど・・・
体動かないけど・・・・
・・・・
・・
・・
息してないんですけど・・・
いまさらながらに気が付いた。
呼吸している感じがしない。
むしろ仕方を忘れた。
横隔膜なんてどうやって動かすんだっけ・・・?
何度か呼吸をしてみようと心がけて止めた。
苦しくならないから。
普段何となくしていることっていざやり方忘れるとできないもんだな。
などと一人感心してまた振り出しに戻る。
・・・ここはどこだ?
延々と俺は一人でこんなくらいところでこんなこと考え続けるんだろうか・・・?
ふと、胸のあたりが熱くなっているのに気がついた。
ちょうど奴に突き飛ばされた場所だ。
その熱は徐々に高い温度になっていき、俺の胸を焦がすほどになった。
あちちちちちちちちちち!!!
暴れようにも体が動かない。
あちちちちちちち!!!!
熱はどんどんと体を包み込んでいく。
それと同時に目の前が白んできた。
それは太陽のようにまぶしく、俺の視界を白一色に染めていった。
次の瞬間俺は体育用具室の中に横たわっていた。




