第11話 遭遇
今までのより少し長い程度になりました。文章と文章の間が空くのは、視点が代わった(主人公が代わった)という目印です。
ピンポーン…ピンポーン
玄関のチャイムは虚しく響く。
明かりは点いている。
だが、物音がしない。
「いないのか?」
「明かりが点いてるだろ」
明かりが点いていて物音がしない状況…
「寝てるとか?」
「…だといいけどな」
―同感。
ただ寝ているだけならチャイムを数回鳴らして呼び出せばいいだけのことだ。
ピンポーン……
家のなかに虚しく響く。
鍵は開いているのだろうか?
ふと、玄関に手を掛けてみる。
―開かなければそれでよし、そのまま帰ろう。
「…」
かちゃ…―あっ……開いた…いとも簡単にドアは開いた。
後ろで息をのむ音が聞こえた。
予想できなかったのだろうか?―うわうわうわ、開いちゃったよ、どうするよ?。
ゆっくりと開いた隙間から何だか匂いがした。
生臭いとゆうか、鉄っぽいというか?―鉄っぽいってなんだ?自分につっこむ。
あまり考えたくないものが頭に上った。
「お邪魔しまーす…」
といいながらおっかなびっくり上がり込む。……?
本当に留守なのか?
「お邪魔しまーす!」
大きな声でも、反応がない。
さすがにこれ以上勝手に上がり込むのは悪い気がする。
オレ達は、しばらく玄関で返事を待っていた。
「…」
「…誰も居ないみたいだな」
ぽつりと言って、
「帰ろう」
と言おうとした―
『お帰り』
「!!」
「お!☆×▽→( ̄□ ̄;)!!」
―やべ、とんでもない声が出た。
自分の声に驚いた。
確実に人の聞こえる周波数は軽く越えたな…
その声に驚いたのは俺たちだけで、他に驚いた様子の音や気配が聞こえない。
声のしたほうは、誰も動く様子がない。
顔を見合わせて渋々上がり込む。
誰かいることはわかった。
「お邪魔します」
と一言加えて上がり込む。
目の前に黒い絨毯を引いた階段。
声のした部屋は、障子で隔たれている。
障子に手を掛ける。
―開けないで帰ったほうがいいんじゃないか?
―ここから先はみちゃいけないんじゃ?
頭の思考がまとまらない。
一つ深く息をついて、素早く開けた。
そこは居間らしく、テレビやコタツなどがあった。
椅子のうえに腰掛ける人影がある。
「あの…」
返事がの代わりにゆっくりと首が回ってきた。
―なんだ、人がいるじゃないか。
障子を開けた先にいた人は、こちらに背を向けて椅子に腰掛けていた。
「あの…」
という呼び掛けに反応しない。
―返事が無い、ただの屍のようだ。
頭に浮かんだ言葉を飲み込んだ時。
ゆっくりと首がこちら側をむいた。
意外と体がやわらかいらしく、首だけを真後ろに向けている。
―人間の首ってそんなに回ったっけ?
せいぜい稼働限界が90度だと思っていたが、軽く180度回った。
『お帰り』
同じ言葉を言う。
そのまま180度をこえて回りだす。―360度回っちゃったよ…
それでも回る。
回る。
回り続ける。
ぶち…ぶちぶちぶち…
ごと…
落ちた…
頭は回転しながら体から落ちて、こちら側に転がってくる。
血は流れていない。
―人形か?
もしそうだとしたらかなり趣味が悪い。
首が回転してしかも
「もげる」
なんて見た目が最悪だ。
―斎藤はこんなのが趣味なのか?
脅かした腹いせに蹴りたくなるが、生々しすぎてやめた。
がちゃ…
「!」
「!」
いきなりドアの開く音、部屋の臭気が増した気がした。
玄関に立っていたのは―
「斎藤…」
死んだはずの
「斎藤涼」
だった…




