77:お父さんとドライブに出かける…2
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「はい!……」
父さんが缶コーヒーを投げてきて、俺はぎりぎりでキャッチした……
しばらく車を走らせた後、父さんはサービスエリアに車を停めて……缶コーヒーを奢ってくれた
「俺がミルク入りコーヒー好きだって、どうしてわかったんですか?」
「私も好きだからな……」
なるほど……
「それで……母さんのことなんですけど……父さんとは高校の時に出会ったんですか?」
「ああ……昔は俺と母さんの家が近所だったんだ……よく一緒に遊んでたよ……でも小学校に上がる頃に、彼女は市内に引っ越していってな……俺は秋田で小学校と中学校を続けることになった……」
秋田……青山家の二番目の屋敷がある場所だ……東京にある最初の屋敷は、今ではサラヤシキ家のお嬢様の個人資産になってしまっている……かつての当主、つまり俺の祖父が、代々受け継がれてきたその古い屋敷を、フタバお嬢様の父親に売り渡して、当時進めていた事業の資金繰りに充てたのだという……
「でも、お前も知ってるだろう……青山家がどんな一族か……」
「はい……」
青山の家系には、代々どの世代にも必ず現れる、ある奇妙な特徴があった……本家であろうと分家であろうと関係なく……
つまり、家に子供が生まれて、それが複数人いる場合……そのうちの一人が必ず、一族の誰もが口を揃えて「さすが青山だ」と言うような性格になるのだ……
その子供というのは、おしゃべりで、ずる賢くて、だらだらと話し続けて、口数が多くて、性格が悪くて……そして何より……遊び人のように見えて、実は一途な人間だった……
これがずっと代々続いてきて……俺の代にまで来た……そして俺自身も、そういう人間だった……
俺の父さんもそうだった……妹もそうだ……ただ妹は俺よりずっと性格が良くて、俺ほどぺらぺら喋らない……不思議だろう?
ああ……それともう一つ、周りからよくからかわれる点があった……
「青山らしい」性格を持つ人間は、みんな声が神谷浩史さんに似ていて、女性の場合はみんな早見沙織さんに似た声をしているということだ……面白いだろう?
「その後、俺はお前の叔父にあたる池田兄さんのところに身を寄せさせてもらって……高校からは東京で学ぶことになった……そこで母さんと出会ったんだ、でもあの頃は学校が別々でな……俺は普通の高校に通ってて……母さんは宮島に通ってた……」
「……………」
まさか母さんもあそこに通っていたとは……でも、少なくとも手がかりが一つ増えたわけだ……
「あの日……母さんはクレープが食べたかったんだが……財布のお金を落としてしまってな……それで俺が代わりに払ってやったんだ……最初は母さんも俺のことなんて覚えてなかったよ……あとになって思い出したのは、お前が生まれてからだった……」
「そこから二人で話すようになって……あの頃はもう携帯電話も出始めてたから……メールをしたり、電話をしたりしてたんだ……」
「それから一年が経って……六月のある頃……普通にデートをしてたんだが……あの日はちょうど、母さんの排卵日だったんだ……」
「まあ……若さゆえの短気ってやつでな……我慢できなかった……」
父さんはふと昔を思い出したような顔をしながら、少し申し訳なさそうな視線も送ってきた……
「母さんは一日中、俺に甘えてきてな……俺も必死に自分を抑えようとしたんだが……結局、抑えきれなかった」
「いざその、そういうことをしようとした時、彼女が腕を伸ばしてきて言ったんだ……今日はゴムをつけなくていいよ、って……」
「結局二週間後には……母さんは妊娠していた……」
父さんは缶コーヒーを飲み干すと、正確にゴミ箱へ投げ入れた……それから立ち上がって、また新しい缶コーヒーを買いに行った……
「今でも、お前を生んでもらったことを悪く思ったことはない……ただ時々、母さんの将来を丸ごと奪ってしまったのは自分だったんじゃないかって、申し訳なく思うことがあるんだ……」
「父さんがそうしなかったら、俺はこの世に生まれてなかったんですけどね……」
俺は空き缶をゴミ箱に投げ入れた……
「父さんは……あのことでもう十分に罰を受けてるじゃないですか……俺だって、そのことで父さんを憎んでるとは、はっきり言えませんよ……」
俺はもう一本、缶コーヒーを買いに歩いていった……
「そうだな……あんな話を聞かせて悪かったな……」
「いいですよ……今、俺と美冬は母さんを探してるところなんです……父さんが話してくれたことは、それなりに手がかりになりますから……」
「……なら……俺も一緒に探させてくれ……」
「そうですか?……いいですよ……父さんが母さんの居場所について調べてくれるなら……」
俺はまたコーヒーを飲み干して……もう一度、空き缶をゴミ箱に投げ入れた……
「ああ……そうだ……」
父さんは車のほうへ歩いていくと……グローブボックスを開けて……一枚の写真を取り出して俺に見せてきた……
一人の女性の写真だった……とても可愛らしい顔立ちの……
黒髪で肩までのショートヘア……アイドルみたいに可愛らしい顔立ちで……宮島高校の昔ながらの女子制服を着て、ずる賢そうな顔をした男の子の肩に寄りかかっている……
「うわぁ……」
「綺麗だろう?……こんな顔だったから、俺は母さんのことをずっと忘れられなかったんだろうな……」
でも、それにしても……17歳の頃の父さんって、俺にそっくりだな……ただ髪が長くて、ピアスもしていないだけで……
「そうですね……母さん、すごく綺麗ですね……」
「せっかくだし、俺にも娘と、義理の娘になる子の顔を見せてくれよ?」
俺はサちゃんと美冬の写真を開いて見せた……
「おお……肌が白いなあ……体も小さいし……母さん似だな、間違いなく……」
「でも少なくとも俺は、父さんみたいに未成年に手を出したりはしてませんから……」
「何だと!?……このバカ息子が!……」
父さんは美冬の写真を見つめながら、何かを思い出したような表情を浮かべた……
「俺の娘……ナナカによく似てるな……」
ナナカ……母さんの名前だ……
「まったく……お前と話せば話すほど……ナナカに会いたくなってくるよ……」
「じゃあ、これから俺たち親子三人で、力を合わせて母さんを探しましょうよ……」
俺は笑いながら言った……
「ああ……お前の母さんが見つかったら……俺たち四人で、また家族として一緒に暮らせるな……」
父さんは立ち上がると……空き缶をゴミ箱に投げ入れた……
「俺は……自分で壊してしまった家族を、もう一度作り直したいんだ……」
俺は父さんに笑いかけて……立ち上がって彼の後についていった……
「そうですね……」
「よし……車に乗れ……ホテルまで送ってやる……」
「はい……」
そうして俺たちは……道中ずっと話し続けた、十七年間一度も味わったことのない幸せを感じながら……
それは……誰にでもあるはずの、ちょっとしたことから生まれる幸せだった……でも俺は、ようやく今になって、それを初めて感じることができた……
家族の……幸せというものを……




