78:ただいま
079
路地の入り口でタクシーを降りた…前に話した、アパートや商店が立ち並ぶあの路地だ。
もし年初めの頃の私だったら…周りの全てが暗い世界のように思えただろう。
でも今回は、世界の見方が少し変わった。
周りの人たち、そして周りの全てに、以前より笑顔を向けるようになった。
たとえ世界が私に微笑み返してくれなくても…。
「ただいま…」
誇らしげにそう言いながら、靴棚を見渡した。そこには靴があちこちに散乱していた。
以前はたった2足しかなかったのに…。
私は一人で微笑み、家の中にいる皆にも微笑みかけた。
「やあ…」
温かく挨拶すると、皆が声を揃えて答えた。
「おかえりなさい!!」
私は満面の笑みを浮かべた…これまでずっと他人の幸せを願ってきた私だったけれど…これからは…幸せになるのは…私自身…
「はい…お土産…」
買ってきたお菓子を二人に投げ渡すと、二人は映画を見ながらそれを食べた…
「あ…そういえば、今日の模型は完成したの?」
キッチンに入り、冷蔵庫を開けて、冷たい水をボトルごと飲み干した…
「あとは模型のデザインだけ…」
ハルと話しながら絵を描いているアキラちゃんをちらりと見た…この二人が付き合っているなんて信じられない…
「あ…まゆりん…」
「はい?」
「今日は5人目のメンバーを売り出す準備をして…」
「わかった!」
夕食の食材を冷蔵庫に入れようとキッチンに入ると、彼女が後からついてきた。
「おかえり…」
「おかえり…」
彼女は僕に近づいてきた。
「あのね…ほら…2週間も会ってなかったから…すごく寂しかったんだ…だから…それで…」
彼女は僕の言いたいことを察したように、少しニヤリと笑った。
「あの…キスを2回してもいいかな?」
「アキくん…愛情表現が苦手みたいね?」
僕はまた笑った。
「じゃあ、どう愛情表現すればいいの?」
僕は彼女に顔を近づけた…
「何か甘い言葉を言ってくれたら…キスさせてあげるよ…」
少し考えて…甘い言葉が頭に浮かんだ…
「世界で一番可愛い彼女がいるのに、キスできないなんて…すごく残念だよ…」
「ベタすぎる…ダメ…」
「お願いだよ、ダーリン…一生懸命頑張ってきたんだから…キスくらいしてもいいかな?」
僕はしつこく彼女に迫った…
「どうせ毎日キスしてるじゃない…」
「あれは頬に軽くキスしただけ…キスしたのは一度だけ…」
「まるで子犬みたい…じゃあ…目を閉じて…」
言われた通りに目を閉じると…突然…
彼女は僕のシャツを引っ張り、情熱的にキスをした…
「!!」
「……」
柔らかそうな唇がゆっくりと…僕の唇に触れた…5秒間…
それから彼女はゆっくりと僕を離した…彼女の顔は真っ赤だった…
「サちゃん……」
僕は彼女を抱きしめ、再び情熱的にキスをした…
サちゃんは僕のシャツをぎゅっと掴んだ…僕より背の低い彼女は、ゆっくりとダイニングテーブルまで歩いて行き、腰を下ろした…
「アキくん……」
彼女は僕の顔を見つめ…そして優しく僕の首筋を噛んだ…
「うっ……」
彼女はもっと強く噛んだ…もっと強く…そしてまた僕の顔を見つめた…
「ずっと前からこうしたかったんだ……」
僕の唇から血が滲み出て、彼女の唇にも移った…だから僕は再び彼女にキスをした…
彼女の唇、舌、唾液、そして血が混じり合った…
「もし君が20歳だったら、とっくに君の処女を奪っていたのに……」
「ふふ……未成年を奪わないでね、私の愛しい彼氏さん~♡」
僕はますます挑発されて、彼女の首筋にキスを重ねた…
そして、強く吸い付いた…
「あぁ~~♡」
「君…」
すると、サジャンが私の耳元で囁いた…優しく…そして力強く…
「ふふ…私たちのキスマーク…だから…」
彼女は顔を私の方に近づけた。
「他の誰とも行かないでね?…私の愛しい彼氏~~♡」
「絶対に…」
私はそう断言した。今日のサジャンの様子がなぜか変だった…
「今日はすごくセクシーだよ…」
彼女の首筋に顔をうずめると、彼女は僕のシャツをさらに強く握りしめた…
「たぶん、ずっとアキくんのことばかり考えてたから…」
そして彼女は僕に囁いた…もう我慢できなくなりそうだった…
「もう…アキくんとエッチすることしか考えられない…」
「君は…今まで…自慰したことある?…」
彼女は少し間を置いて…小さく頷いた…
「あるわ。アキくんと付き合い始めてから…3回…した…」
僕は彼女をテーブルに押し倒した…彼女は僕に微笑みかけた…
しかし…
「待って…サちゃん…今日は何曜日…?」
彼女は立ち上がり…キッチンのカレンダーを確認した…
「今日は11月14日…どうして?」
やっぱり…危なかった…父さんみたいに小児性愛者になるところだった…
「今日は君の排卵日だよ…」
「あ…」
サちゃんの顔は真っ赤になり…慌てて両手で顔を覆った…
危なかった…逮捕されるところだった…
お互いの目を見ることができず…いつものように彼女の頬にキスをして、キッチンを出た…
「…」
みんなの視線が私たちに注がれていた…美冬は肩をすくめてテレビを見始めた…
その視線…すぐに分かった。みんなが「あぁ、なんておバカなカップル…」って言ってるのだと。
「じゃあ、先にシャワー浴びてくるね…」
「うん…」
こうして私たちは別れた…
くそ…あと3年…3年…
シャワーを終えて…それから彼らと一緒に映画を見始めた…




