65:彼にご褒美をあげよう…
066
「皆さん、一ヶ月間の実習お疲れさまでした……おめでとうございます……」
五、六人の医師たちと、宮島大学の看護学部・医学部修士課程の学生たちが拍手で喜びを分かち合った……
「では……この後は皆さん次第です。この一ヶ月間の意気込みをどれだけ現実にできるか……皆さん、本当にありがとうございました……」
みんなが一斉に頭を下げた……
「今までありがとうございました!!」
11月2日の昼……学生たちは全員、大学のバスに乗って帰路についた……
シャーロットは間を置かず、すぐにユウタに電話をかけた
[よお……]
「今お昼休みなの?……」
[あ……うん……]
そこに割り込む声が聞こえた……
[誰なのユウタ?彼女?]
[あ!あの金髪の子か!……]
[黙ってて!]
それを聞いたシャーロットは電話を切ろうとした……でも――
「あら……これって彼氏くんの名前じゃない……こっそり連絡取り合ってたのね……」
「変な想像やめてよ、ルイ……あなたが思ってるようなことじゃないから……」
隣に座っていた親友がユウタのことを尋ねてきたが、シャーロットは必死にはぐらかそうとした……
「もう……あなたって日本に来て何年経つの?知らないの?連絡先を交換するってことは、すごく親しい関係だってことでしょ……」
シャーロットは目を見開いた……でもすぐに咳払いでごまかした
「ただの友達よ……それ以上でもそれ以下でもないから……」
「あら……ただの友達ねぇ……『ただの友達』って言う人って、結局最後は付き合うものよね……」
シャーロットは慌ててルイの口を塞いだ……声が大きすぎたから……恥ずかしさのあまり、思わず体が動いてしまった
「まだ黙らないなら……本当に殺すから……」
その圧のある眼差しに、ルイは思わず両手を上げて降参した……
「はいはい……ちょっとからかっただけだって……」
「もしもし……」
[あ……もしもし]
「モデルの件、どこまで進んだの?……」
[今はもう君がテストするだけだよ……]
「そう……本当にありがとうね……」
電話の向こうがしばらく沈黙した……
[ねえ……]
「何?」
[報酬のことなんだけど……もっとほしいって言ってもいい?]
シャーロットは少し困惑した。でも思い出した――モデル制作はチームでやっているから、報酬も分け合わなければならず、少なすぎるのかもしれないと……
「お金が足りないのね……いくら追加すればいい?……」
言い終わる前に……ユウタが小さな声で何かをささやいたので、彼女は思わずバスの中で大声を出してしまった
[違うんだ……その……君、看護師になりたいって言ってたよね……だから、一度でいいから看護師の服を着た君を見てみたいなって思って……]
「は!!!!!!!!」
彼女はバス中に響き渡るほどの「は!!」という叫び声を上げ、しかも思わず立ち上がってしまった……あまりの声の大きさに、運転手が思わずハンドルを切って道路脇にぶつかりそうになったほどだった……
「……………」
全員の視線が彼女に集中した……シャーロットはただ照れ笑いを浮かべるしかなかった……
「すみません……」
そして元の席に座り直した……
「ふふっ……」
隣に座っていたルイは、まるでファンタジー小説に出てくる悪女のように、手で口元を隠しながら笑っていた……
驚いていたみんなも、次第に静かになった
「黙りなさい……」
その脅し文句を聞くと……みんな彼女の言う通り、すぐに口を閉じた……
「まったく……このヘンタイ……」
マンション……
「ただいま帰りましたぁ……」
「おかえりなさぁい……」
アメリアはすぐに娘に駆け寄って抱きしめ、恋しさを込めて頭を撫でた……
「一ヶ月も会えなかったなんて……お母さん、すごく寂しかったのよ……うぅ……」
「泣かないでよお母さん……ほら……お菓子いっぱい買ってきたから……今夜は映画観ましょうね……」
彼女は左右を見回した……ユウタを探して……
「エモくんは?」
「ユウくんは部屋にいるわよ……」
彼女の体はふと硬直した……
「あら……どうしたの……顔真っ赤よ……具合悪いの?」
アメリアが額に手を当てようとすると、シャーロットはそれを振り払った
「違うの……別に具合悪くないから……」
彼女はしどろもどろで……そわそわと落ち着かない様子だった……アメリアはしばらく考えて……あるひらめきが浮かんだ
「あらあら……」
「絶対言わないでよね!言ったら本当にお母さんのこと嫌いになるから……」
「はいはい……お嬢様……さあ、先にお風呂入ってきなさい……」
彼女は娘の背中を押してから、夕食の続きを作りに戻った……
シャーロットは二階へ上がった……ユウタの部屋の扉が開いているのを見つけた……つい、こっそり覗いてしまった……
「はい……自分でテストしてみました……モデルは使える状態です……」
どうやら電話会議中のようだった……
[へえ……で、君が言ってたサプライズって何なんだ?]
アキトさんだ……
「これです……」
ユウタは立ち上がり……体を動かした……でも彼はノートパソコンの画面を遮る位置にいたので、シャーロットには彼が何をしているのか見えなかった
[うわ……よくこんなモデル作れたな……]
「アキラちゃんとハルが手伝ってくれたおかげです……それでなんとか完成しました……」
へえ……この人、意外と友達多いんだな……
[アキくん……私もあんなモデルほしいですぅ……]
[無理なこと言うなよ……]
[え……]
待って……この声って……シャクちゃんだよね!……
[まあね……このモデルの持ち主は結構払ってくれてるからさ……俺たちも彼女くらい稼げるようになってから考えような……]
嘘でしょ!……ララちゃんもいる!キャー!!
私たち……本当にこのチームに入れるんだ……
「おっ……ホリカワ先輩がメッセージくれました……こういうモデルは動きがあってこそいいよね、好きだな……でもここまで作るには」
ホリさんもいる……早く話したいなぁ……
シャーロットはそっと部屋に入っていった……でも足がユウタの工学の本の山を踏んでしまった……
「あっ!!」
「あれ……」
二人の目が合った……シャーロットは彼と目が合った瞬間、ユウタから頼まれたあのことを思い出した……
恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になった……
「……おかえり」
彼女はずんずんとユウタに歩み寄って……そして彼の顔を思い切り叩いた
「このヘンタイ!!!!!」
「なんでだよ!!」
そして彼女はすぐに自分の部屋へ走って戻った……
[おっ……夫婦喧嘩か?]
アキトがからかった……
「そんな関係じゃないですから!!」
[今の彼女の声か!?かわいいな!]
[そうですね……]
どうやらチームの女の子たちは、シャーロットのことがかなり気に入っているようだった……
「はいはい……仕事の話に戻りましょう……」
[照れちゃって……]
「黙れよハル……」
夜八時……夕食を終えて……ユウタは部屋に戻った
「ユウくん、九時に映画見ましょうね……」
娘とお笑い番組を見ていたアメリアが声をかけた……
「はい……ちょっとモデルのチェックしてくるだけなので……」
シャーロットは彼の後ろ姿を見つめながら、そわそわと落ち着かない様子で座っていた……それを見たアメリアは、そっと微笑んだ……
「……お母さん、私トイレ行ってくる……」
「はいはい……行ってらっしゃい……」
アメリアは「まあ、トイレなんて言っちゃって」というような口調で言った
シャーロットは二階へ上がった……ユウタの部屋の扉は閉まっていた……彼女の心臓は陸上選手よりも激しく高鳴っていた……
「うぐ……」
本当にあの服、着なきゃいけないの?……
彼女はずっと看護師になる夢を持っていた……だからこそ、看護師の衣装を一着だけ買っていた……
「……でも、約束したから……」
彼女は部屋に戻り……着替え始めた……
「これはただの報酬なんだから……」
ゆっくりと服を脱いだ……白く滑らかな肌が現れた
「……別に好きでやってるわけじゃないんだから……」
短パンを脱いだ……どうやら黒いレース下着が好みのようだった
「バカ野郎……」
彼女は服がぎっしり詰まったクローゼットを開けた……長い間服を選んだ末、彼女が持っている唯一の看護師の衣装を手に取った
「このヘンタイ……こんなお願いしてくるなんて……」
それは19世紀のヨーロッパの看護師が着ていたようなヴィンテージデザインの衣装だった。淡い緑色の長袖のふんわりしたドレスに、上品な白いエプロンを重ね、胸には看護師のマークが縫い付けられている。白い看護師キャップと白いロングソックスも身につけた……
一ヶ月間実習してきたおかげか、髪もきちんとまとめて整えていた……
「恥ずかしすぎる……」
彼女はゆっくりと部屋を出た……お母さんが何をしているか、こっちを見ていないか確認した……
「大丈夫……」
そしてユウタの部屋のドアを小さくノックした……ユウタが急いでドアを開けた……
「わ……わあ……その……」
「……………」
彼女は何も言わず、すぐに彼を部屋の中へ引っ張り込んだ……
今、ユウタの部屋はすっかり片付いていた……シャーロットが着替えるのを待っている間に片付けたようだった……
「……………これって……その……」
「何よ……もごもご言ってないで……あとジロジロ見るのやめてよね……私だって恥ずかしいんだから……」
彼女は完全に恥ずかしさを隠せていなかった……顔がさらに熱くなっていた……
「くるっと……回ってみてくれる?」
「私、人形じゃないんですけど……」
口では文句を言いつつも……彼女はその通りにした……
「……………」
少年は照れながら相手を見つめた……心臓の鼓動がどんどん速くなっていった……
彼女はいい匂いがして……それに……
この子……可愛すぎる……
「ねえ……」
「あ……何?」
「褒めてくれないの?……」
「え!?……」
彼女は彼の顔をじっと見つめた……ユウタは唾を飲み込んで、彼女を褒めた……
「生まれてこのかた……看護師服がこんなに似合う女性、見たことないよ……」
「そ……そう……」
二人はお互いの体温をはっきりと感じていた……バラの香りも……お互いの息遣いの温もりも……
シャーロットはユウタの胸に頭を預けた……
「ありがとね……私の願い、叶えてくれて……」
「うん……」
彼女は彼の腕を引いてベッドに座らせた……そしてどんどん近づいていった……もっと、もっと……
「あなたは……私が今まで出会ったことのないタイプのお客さんね……」
「……君も、俺が今まで出会ったことのない“彼女”だよ……」
シャーロットはうつむいた……そしてゆっくりとユウタの肩に寄りかかった
「五分だけ……」
「え?……」
シャーロットはゆっくりと、柔らかい左手をユウタの硬い手に重ねた……
「五分間だけ、あなたの本物の“彼女”になってあげる……いい?」
ユウタは呆然とした……彼女をベッドに押し倒す自分の姿を一瞬想像したが、すぐに首を振ってその考えを打ち消した……
「じゃ……じゃあ……キス、してもいい?……」
「……………」
彼女は目を大きく見開いた……以前だったらもう彼の顔を叩いていただろう……でも今は……彼女は彼の「彼女」だった……
「いいよ……」
二人はゆっくりと見つめ合った……交わる瞳が……徐々に……お互いに近づいていった……
近づいていく息遣い……
そして唇が……そっと重なろうとした瞬間――
「夜の映画の時間よぉ!!!!!」
アメリアが勢いよくドアを開けて入ってきた……シャーロットは驚いて悲鳴を上げ、思わずユウタを突き飛ばしてしまった……
「あら……お邪魔しちゃったかしら?」
「ちょっと待ってお母さん!お母さんが思ってるようなことじゃないから!!」
それを聞いたアメリアは、のんびりとした口調で言った
「はいはい……いやらしいことするのは別に構わないけど、避妊はちゃんとしてね……」
「いやらしいことって!?」
「あ、それと……静かにやってね。お母さん寝つき悪いから……」
「お母さんってば!!!!」
アメリアは娘の言い訳などまったく気にせず、そのまま階下へ降りていった……
「痛っ……」
壁に顔をぶつけたユウタが、そっと体を起こした……
「ごめんね……痛かった?」
シャーロットはハンカチを取り出し、頬ににじんだ血を拭った……
そして彼女がまだ血を拭っている間に……ユウタは彼女の手を掴み、心の準備もできていないうちにそのままキスをした……
彼女はまた、顔を真っ赤にして動揺してしまった……
「な……あなた……」
「ファーストキスだったよ……」
「私も、ファーストキスだったんだけど……」
彼は彼女の手を引きながら部屋を出て……そっと囁いた……
「まだ五分経ってなかったからさ……キスしても、ルール違反じゃないよね……」
シャーロットはただ、うつむいた……
「うん……」
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