108 :青山美冬 プロローグ
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私は毎朝起きると、玄関の前の椅子に座ってお母さんを待っていた
「お兄ちゃん....行ってくるね お昼ご飯も忘れずに食べるんだよ」
「いってらっしゃい」
お兄ちゃんは朝も昼も夕方も、私の顔を見るたびにいつも微笑んでくれた もちろん私も微笑み返して...お母さんが帰ってくるのを待っていた
もともと私は普通の人のように学校には通っていなかった....八歳の私のわずかな記憶の中では、ずっと独学で勉強してきたことしか覚えていない
お父さんはいつもお母さんを責めて殴っていた
どうして彼があんなことをしなければならないのか、私には全く分からなかった
お母さんがどれだけ手を合わせて謝っても彼は止めなかった でも不思議なことに...お父さんは私を殴ったことが一度もなかった
私には分からなかった
一度、近所の子と遊んではいけないというお父さんの言いつけを破ったことがあった......でも私が罰を受ける代わりに
殴られたのはお母さんだった
私はいつも止めようとした...でも彼は止まらなかった
お母さんの体はしばらくの間見ていられないほどボロボロだった でもお父さんはお母さんの顔だけは殴らなかった
彼は服で隠れる場所だけを傷つけていた
結局ここへは私物を何一つ持たずに来た
身一つと服だけで
「................」
毎日....私はいつもここに座っていた
でも...毎日座っていると言っても、八歳の私は飽きっぽい子で....
お昼になるとお腹が空いてくるし飽きてもくる......ご飯を食べながらテレビを見て、平日にこんなにたくさん番組があることを初めて知った
でも見ているうちに飽きてきて.......こっそりお兄ちゃんの部屋に入ってパソコンで遊んだ
いけないことだと分かっていた...でもテレビは退屈だったんだもの
私はパソコンの電源を入れて...お兄ちゃんがやっていたようにインターネットに接続した
あっちのサイトをクリックして、こっちのサイトをクリックして、色々なものに出会った
子供が見るべきじゃないものも含めてね
「お兄ちゃんのえっち!」
しばらくして元の椅子に戻って座り...お母さんが帰ってくるよう祈り続けた
でも結局
「ただいま」
「おかえりなさい...お兄ちゃん」
ドアを開けて帰ってくるのは、いつもお兄ちゃんだった....
「今日は何を買ってきたの?」
「えっと...今はアジの旬だからね....たくさん買ってきたよ」
私はお兄ちゃんの顔を見つめた、あることを待っていたから
「チーズケーキも買ってきたよ」
「やったー!!」
お兄ちゃんはいつも夕方六時にきっちり家に帰ってきた......それは...今日という日が終わったということだった
お兄ちゃんは優しい人だけど、謎めいた人でもあった....私はお兄ちゃんのことをあまり知らなかった
「夕飯作り手伝う?」
「いいんですか!?」
私のお兄ちゃんはいつも色々なことを教えてくれた
一緒に暮らし始めてまだ一週間だけど...私は本当にお兄ちゃんのことが大好きになっていた
お母さんとは違う...でもお母さんといる時よりもずっと温かく感じた
私の思い込みかもしれないけど...この一週間、私はこれまでのどんな時よりもお兄ちゃんにたくさん微笑んでいた
「よし...魚をさばくのはお兄ちゃんがやるから....味噌汁はお願いしてもいい?」
「うん! 任せて」
水色のニットの制服を着て片耳にピアスをした青年と、椅子の上に立つ八歳の少女の姿は、この家でよく見かける光景になっていた
私は....この雰囲気がすごく好きだった
できることなら....お母さんにも見てほしい
今の私と...私の笑顔を
「いただきます」
「いただきます」
お兄ちゃんは私が作った味噌汁をすすった.....私は彼の顔をじっと見つめた
「うん....十点満点で八点」
「本当ですか!」
私はまた笑った....一日に何回笑ったかなんて分からない
いや違う、お兄ちゃんといる時に何回笑ったか、というべきだった
「お兄ちゃんが作ったアジも美味しいです」
「じゃあ僕たち二人とも料理上手ってことだね」
「そうですね」
でもどれだけ幸せでも....私はやっぱりお母さんに会いたかった
「美冬」
「はい?」
「学校に行きたい?」
お兄ちゃんは夜のアニメを見ている最中にそう聞いてきた
「学校.....」
「うん....行ったことないんだよね?....行くなら手伝ってあげられるよ」
今流れているアニメはちょうど学校の日常を描いた作品だった.....
「学校に行ったら友達がたくさんできますか?」
「まあ....いい子にしていれば、たくさんできるよ」
「本当ですか! 行きます! 私学校に行きたいです」
「そう?...明日学校のことは僕が手続きしてあげる、それから買い物に行こう」
「やったー!!」
お兄ちゃんは....いつも私のことを思ってくれていた
お母さん...お母さんも見に来てね




