謁見、そして進言
やがて、レーミアの言葉通り、国王軍がやって来た。
人々は保護され、見張りの者たちは捕縛された。
城に戻ったレーミアを待っていたのは、国王への謁見だった。
戦いでボロボロになった服を着替え、ムルとともに謁見の間に通された。
「〈聖女〉レーミアよ」国王が呼びかける。
「この度のそなたの働き、誠に尊きものだった」
故に、と続けた。
「望むものを渡そう。何が良い?」
レーミアは片膝を着いた姿勢のまま、言葉を紡いだ。
「ありがたきお言葉、身に余る光栄です」傍らのムルにちらりと視線をやる。
「こちらのムル様にはご相談したのですが…私が望むのは〈人間と魔族〉の対等な関係です」
国王が、ふむ、と声をあげる。
「それは傷付けられた国民たちを蔑ろにする、という事にならないかな?」
ムルが声をあげた。
「お言葉ですが、王様。いまこそ、〈イルファス〉は生まれ変わる機会ではないでしょうか!かつて、神がこの世界を創造なさった時は、人と魔族はともに生きていた、と文献にも記されています。〈聖女〉様のお言葉は正しい、わたくしは思います」
レーミアも声をあげた。
「歴史の積み重ねにより、難しい部分…王様の仰る通り、民心もありましょう。ですが」
レーミアは顔をあげた。その眼に王の姿が映る。
「魔族もまた、国民なのではありませんか?」
場に沈黙が落ちた。
しばらくしてから、国王が
「参ったな」と言った。
「魔王が倒され、治安維持や、民への補償など、やる事が山積みだ。だから―ひとつくらい、問題が増えても構わぬ。解決出来るならな」
それからのレーミアは東奔西走した。魔王を屠った〈聖女〉であると同時に〈吸血鬼〉である事を公表し、人と魔族が対等な関係になれるよう―法律を制定するところから始めなくてはならなかったからだ。
予想されていた通りの民心の反発。
国の重臣たちの妨害。
様々な事をクリアーする事に腐心した。




