表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第4部 北回り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/106

三良坂〜府中

二〇二九年十月六日


 三良坂のコインパーキングを発ったエブリイは、さらに南東へと坂を下り、府中ふちゅう市へと入った。

 この街には以前も訪れたことがあったが、あの時は肉料理を食べただけで、もう一つの重要な資産を検収し損ねていた。それこそが、地元のソウルフード「府中焼き」だ。

 お好み焼きのバラ肉の代わりに、牛や豚のミンチ肉(ひき肉)を使うという珍しいスタイル。店に立ち寄り、鉄板の上でカリカリに焼かれた香ばしい府中焼きをテイクアウトすると、俺たちはそのまま府中市内の静かなキャンプ場へと直行した。

 車を停め、さっそくエブリイの荷室からコンパクトなバーベキューコンロを取り出す。今夜はここで、贅沢な晩餐会の開店だ。

 俺の狙いは、北広島の道の駅で仕入れ、クーラーボックスの奥で出番を待っていたあの新鮮なイノシシとシカのジビエ肉である。

 炭火をおこし、網の上にジビエ肉を並べる。

 ジジジ……と脂が爆ぜる音とともに、野生の濃厚な肉の匂いが辺りに立ち込めると、後部座席で大人しくしていた三匹の態度が豹変した。

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……!」

 前回のブドウのお預けが嘘のように、ボス、エルヴィス、こまの三匹がコンロの周りを囲み、過剰なまでのポタポタとしたよだれの滝を垂らして目を輝かせている。

「よし、今回は大丈夫だ。コンプライアンス違反は一切ない。しっかり冷ましてから食えよ」

 細かくカットし、十分に熱を冷ました肉をそれぞれの器へ投入した。

 次の瞬間、ガツガツガツ! と野生の猛獣さながらの勢いで、三匹は貪るように食らいついた。あっという間の完食。満足げに皿をいつまでも舐め回す弾丸たちを見つめながら、俺もテイクアウトした府中焼きの包みを開けた。

 ミンチの脂がキャベツにしっとりと染み込み、外側の生地がクリスピーでたまらなく美味い。

 山あいに沈む、秋の静かな夕暮れ。

 美味いお好み焼きと、大満足で腹を膨らませてエブリイのマットに転がる三匹。最高の相棒と新しい愛車に囲まれて、俺たちのキャンプ場の夜は、静かに、そして温かく更けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ