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おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第3部 グランドサークル大縦走

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長船〜倉敷

2029年7月20日


 倉敷へ向かう途中、コンビニでマルボロの赤に火をつけた。 そういえば最近、本数が減った気がする。 禁煙するつもりはないが、昔みたいに一日一箱ということもなくなった。

 「倉敷美観地区」の近くの駐車場にジムニーを停めた頃には、時計の針はすでに午後八時を回っていた。昼間は暑かったが今は涼しい。

 エアコンの効いた車内から三匹を外へと連れ出すと、待ってましたとばかりにボス、エルヴィス、こまの鼻がクンクンと忙しく動き始めた。

「よし、今夜はとっておきの散歩コースだぞ」

 川沿いに並ぶ美しい白壁の蔵屋敷が、柔らかなオレンジ色の街灯に照らされて水面にゆらゆらと映り込んでいる。

 川べりに植えられた柳の葉が、夜風に揺れてサラサラと音を立てる。

 昼間の登山ではあれだけ抱っこを要求してきた末っ子のこまも、この涼しさと幻想的な雰囲気が気に入ったのか、短い尻尾をピコピコと振って実にゴキゲンな足取りで歩いている。

 ふと見ると、長男のボスが川面に映る光をじっと見つめていた。ぼーっと見ているので何を考えてるのかわからない。

 夜の美観地区をたっぷり散歩してジムニーへ戻る。

 今夜は近くの静かなコインパーキングに腰を落ち着け、車中泊の準備を整える。

 心地よい夜風を車内に取り込みながら、俺はコンビニで買ってきた冷たいお茶を喉に流し込んだ。足元からは、早くも三匹の満足げな、そして少し高音の混じった幸せそうないびきが聞こえ始めていた。

 さて、明日はどこへ向かおうかね。

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