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おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第3部 グランドサークル大縦走

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朝来〜加古川

 2029年7月15日


 今日は朝から激しい雨が降っていた。フロントガラスを叩く雨音を聞きながら、俺は苦笑交じりに溜め息を吐く。

「くそっ、リベンジならずか」

 楽しみにしていた竹田城の雲海は、完全に白い雨霧の向こうに隠れてしまっていた。まぁ、旅にアクシデントは付き物だ。またいつか、季節を変えて来ることもあるだろう。そこは元経理マンらしく、即座に損切りをして気持ちを切り替えることにした。

 朝来市を出発し、播播ばんばんの山あいを抜けて丹波市を通過、ジムニーの進路を南へと固定して一気に加古川市まで下っていった。山を降り、市街地を抜けると、車窓の向こうに久しぶりの眩しい瀬戸内海が見えた。

 加古川に到着した頃には、ちょうど腹が鳴った。俺は地元の名物である「かつめし」を食べに、お目当ての店へと向かう。もちろん、ここもペット同伴は禁止。エアコンの温度を最適に設定し、三匹にはジムニーでお留守番を頼んだ。

 歴史を感じる佇まいの店に入り、かつめしを注文する。

 しばらくして運ばれてきた一皿は、皿に盛られたご飯の上に牛カツがドンと乗り、その上から並々とデミグラスソースがかけられた独特のビジュアルだった。

「なるほど……岡山で食べたデミカツ丼に、どこか似ているな」

 箸ではなくスプーンで一口、カツを齧る。

――美味い。サクッとした衣の中から溢れる肉汁と、お店秘伝の濃厚なデミグラスソースの味わいが、長距離運転で疲れた体にじわじわと染み渡っていく。茹でたキャベツの付け合わせが良い箸休めになり、夢中で平らげてしまった。

 すっかりお腹を満たしてジムニーへと戻る。ドアを開けると、そこには変わらない平和な世界があった。

 ボス、エルヴィス、こまの三匹は、外の雨音を子守唄代わりに、重低音のいびきをかいて気持ちよさそうに眠りこけていた。

「お前たちは気楽でいいな」

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