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おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第3部 グランドサークル大縦走

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安芸高田〜世羅〜三次

2029年7月3日 

  

 朝の湯治村を三匹と軽く散策したあと、俺はジムニーを動かす前に、昨晩買った鯖の押し寿司の折を開いた。

 助手席と後部座席から、ダラダラとよだれを垂らした三匹の視線が突き刺さる。しかし、人間用の酢飯をそのまま食べさせていいのか判断がつかなかったため、代わりにいつもの高級ジャーキーをそれぞれの口へ突っ込んだ。三匹は「フゴフゴ」と不満げに鼻を鳴らしつつも、美味そうにそれを咀嚼していた。

 午前十時、安芸高田市歴史博物館を訪れる。

 毛利元就の展示を見ていたが、歴史は詳しくないので全部理解できたわけではない。それでも面白かった。

 博物館を出たあとは、近くの「道の駅 三矢の里あきたかた」へ。喫煙所に立ち寄り、赤いマルボロに火をつける。紫煙を吐き出しながら、これからのルートを頭の中で組み立てた。

 タバコを吸い終え、ジムニーのギヤを入れ、一路、世羅町を目指して車を走らせる。

 日の高くなった午後、世羅の高原にある「花夢かむの里」に到着した。高原だから少しは涼しいかと期待していたが、現実は甘くない。やはり、暑いものは暑い。

 お目当ての紫陽花の時期はとうに終わっていたが、代わりにピンクや赤のタチアオイの花が満開を迎えており、見事な美しさだった。ここでボス、エルヴィス、こまを並べ、ベストショットを狙ってスマホのシャッターを切る。SNSにアップすると、瞬く間に「いいね」の通知が跳ね上がった。

「夕方のうちに、三次まで入ってしまうか」

 西日が傾きかける頃、俺たちは三次市に向けてジムニーを走らせた。

 市内のセルフスタンドでガソリンを満タンに給油し、今夜の宿となる三次駅近くのコインパーキングに滑り込む。エアコンを適温に設定し、シートを深く倒した。

 三次観光は、明日だな。

 心地よい疲労感に包まれながら、俺は三匹の寝息と共に眠りについた。


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