高松②
2029年4月14日
今日は高松市内から少し足を伸ばし、ジムニーで「こんぴらさん」こと金刀比羅宮へ。これからの長い旅の無事を願っての参拝だ。
だが、SNSで仕入れた情報に愕然とした。本宮を越え、最奥の奥社まで登ると、その数はなんと一三八六段。
「……おいおい、正気か」
五十を過ぎ、鈍りきった俺の足には拷問のような数字だ。とはいえ、引き返す選択肢はない。スリングに三匹を詰めて登れば、俺の肩と腰がバラバラになるのは明白だ。今回は三匹の運動も兼ね、自前の足で歩かせることにした。
午前十時、登頂開始。……が、いきなり躓いた。
初めて見る石段の景色と匂いに、三匹の「クン活」が一斉に暴走したのだ。あっちの石垣をクンクン、こっちの路地をフゴフゴ。まったく前に進まない。他のお参り客の邪魔にならぬよう、石段の端を「ほら、行くぞ」と宥めながら進む。
結果、二時間がかりの死闘の末、正午ちょうどにようやく奥社へとたどり着いた。
汗だくの身体で、これからの旅路の安全を静かに祈願する。足元を見ると、ボス、エルヴィス、こまが「やり切った」と言わんばかりの顔で、ブフッ、フゴーッと満足げに舌を出していた。
下山後、ご褒美はもちろん讃岐うどんだ。
店内に漂ういりこ出汁の香りに、三匹の目がキラーンと輝く。口元からは信じられない量のよだれが滴り、無言の圧をかけてくる。
「わかった、わかったから。ちょっとだけだぞ」
コシのある麺を指先で少しちぎり、口元へ運ぶ。その瞬間、「ガツガツッ!」と猛烈な勢いで食らいつかれた。三匹の吸引力に、危うく指ごと持っていかれるかと思った。
へとへとの体に、お冷やが冷たく染み渡る。
高松の夜は更けていく。明日の筋肉痛が今から恐ろしいが、この充実感があれば悪くない。さて、次はどちらへ向かおうか。




