表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第2部 東回り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/106

高松②

2029年4月14日


 今日は高松市内から少し足を伸ばし、ジムニーで「こんぴらさん」こと金刀比羅宮へ。これからの長い旅の無事を願っての参拝だ。

 だが、SNSで仕入れた情報に愕然とした。本宮を越え、最奥の奥社まで登ると、その数はなんと一三八六段。

「……おいおい、正気か」

 五十を過ぎ、鈍りきった俺の足には拷問のような数字だ。とはいえ、引き返す選択肢はない。スリングに三匹を詰めて登れば、俺の肩と腰がバラバラになるのは明白だ。今回は三匹の運動も兼ね、自前の足で歩かせることにした。

 午前十時、登頂開始。……が、いきなり躓いた。

 初めて見る石段の景色と匂いに、三匹の「クン活」が一斉に暴走したのだ。あっちの石垣をクンクン、こっちの路地をフゴフゴ。まったく前に進まない。他のお参り客の邪魔にならぬよう、石段の端を「ほら、行くぞ」と宥めながら進む。

 結果、二時間がかりの死闘の末、正午ちょうどにようやく奥社へとたどり着いた。

 汗だくの身体で、これからの旅路の安全を静かに祈願する。足元を見ると、ボス、エルヴィス、こまが「やり切った」と言わんばかりの顔で、ブフッ、フゴーッと満足げに舌を出していた。

 下山後、ご褒美はもちろん讃岐うどんだ。

 店内に漂ういりこ出汁の香りに、三匹の目がキラーンと輝く。口元からは信じられない量のよだれが滴り、無言の圧をかけてくる。

「わかった、わかったから。ちょっとだけだぞ」

 コシのある麺を指先で少しちぎり、口元へ運ぶ。その瞬間、「ガツガツッ!」と猛烈な勢いで食らいつかれた。三匹の吸引力に、危うく指ごと持っていかれるかと思った。

 へとへとの体に、お冷やが冷たく染み渡る。

 高松の夜は更けていく。明日の筋肉痛が今から恐ろしいが、この充実感があれば悪くない。さて、次はどちらへ向かおうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ