高松①
2029年4月13日
高松の爽やかな朝の光が、車内を優しく照らす。
スリングに三匹を収め、まずは海沿いの高松城跡をのんびりと散策する。心地よい瀬戸内の風に吹かれながら、「さて、次はどのうどん屋に行こうか」と胃袋の相談をしながら歩くのが、なんとも贅沢だ。
ふとスマホを開くと、SNSのフォロワーさんから「いま高松なら、峰山公園の桜が満開ですよ!」と心躍る通知が届いていた。
「よし、行ってみるか」
俺たちは一度ジムニーへ戻り、ハンドルを峰山へと切る。山を登りきった先の公園は、フォロワーさんの言葉通り、見事な桜のトンネルに包まれていた。尾道で少し早かった「春」が、ここ香川でようやく俺たちを待っていてくれた。
舞い散るピンクの花びらの下、お座りをしてカメラを見つめるボス、エルヴィス、こま。俺は夢中でシャッターを切り、さっそく撮れたての一枚をSNSにアップした。
投稿を終えてふと、自分のプロフィール画面に目をやる。
アカウント名――『おじさんとフレブル』。
アカウントを作った当初はボスと二人きりだった。だが今、この画面の向こうには、エルヴィスとこまを含めた三匹の賑やかな顔がある。このままじゃ、パグのこまがへそを曲げてしまうかもしれないな。
「おい、お前たちの新しいチーム名、何がいいと思う?」
桜の花びらをフゴフゴと追いかけている三匹に問いかけてみたが、当然、彼らは鼻を鳴らして笑うだけだ。
さて、アカウント名の改名を思案しつつ、明日はどんなところへ行こうか。
うどんの出汁の香りに誘われて、もう少しこの街で遊んでいくのも悪くない。高松の夜は、まだ始まったばかりだ。




