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おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第2部 東回り

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神戸〜高松

2029年4月12日


神戸まで東へ進んできた俺たちだったが、ふと「高松の讃岐うどんが食いたい」と猛烈に思い立ち、一度来た道を引き返すことにした。

 効率やルートの正解なんて、今の俺たちには関係ない。行きたいと思った場所へ行く。それだけが、俺たちのルールだ。

 明石市まで戻り、いざ明石海峡大橋へ。

 ジムニーの窓を全開にすると、瀬戸内海の荒々しくも雄大な海風が、車内に勢いよく流れ込んできた。その圧倒的な開放感に感化されたのか、助手席と後部座席から、ボス、エルヴィス、こまの三匹が一斉に顔を突き出した。

 耳を風になびかせ、目を細めて潮風を浴びる鼻ペチャたちの横顔があまりに愛おしく、俺はハンドルを握りながら、思わず声を上げて笑った。

 巨大な橋を渡りきり、淡路島を縦断して徳島県へ突入。そこからさらにアクセルを踏み込み、四国の背骨を越えて一気に香川県・高松市を目指す。

 さすがに移動距離が長かったせいか、高松の街灯が目に飛び込んできた頃には、あたりはすっかり夜の帳に包まれていた。

「よし、今日の移動はここまで。うどん巡りは明日だな」

 そう心に決め、俺は静かなエリアを探してジムニーを停めた。今夜はここで、車中泊をすることにする。

 三匹は長旅の疲れからか、すでに俺の腕や足に身体をぴったりと寄せ、安らかな寝息を立て始めている。

「フゴフゴ……ブフ……」

 静かな車内。狭いジムニーの空間が、今は世界で一番温かい場所に感じられた。

 四国・高松。明日の朝、どんなうどんが俺たちを待っているのだろうか。

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