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宮島〜山口県岩国市
2027年4月5日 夜
岩国に入ったのは、日が落ちてからだった。
ビジネスホテルに泊まるつもりだったが、ボスがいる。
結局、いつも通りジムニーのシートを倒し、車中で夜を明かすことにした。
スマホを開くと、着信がいくつも溜まっている。
見る気がしなくて、課長に「しばらく休みます」とだけ短く送って、電源を切った。
エンジンを止めると、静寂の中にボスの気配だけが残る。膝の上に乗ってきたそいつは、小柄な癖にじんわりと重い。それが嫌じゃないのが、少し腹立たしい。
翌朝、四月六日。俺たちは錦帯橋の前にいた。
独特の反りを持った木組みの段差を進むたび、ボスは立ち止まる。
慎重というより、毎回「本当にこれでいいのか」と、構造を疑うような顔をしてこっちを見上げるのだ。
そのたびに、こっちも足を止める羽目になる。
橋を渡りきって、息を吐いたところで小さな店に入った。
バニラアイスを買う。
当然のように、ボスがじっと見てくる。
ほんの少しだけ、指先につけて舐めさせた。
思ったより騒がなかった。




