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おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第1部 いい日旅立ち・西へ

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広島県呉市③

2027年4月27日


 ペットショップのガラスケースの前で、俺は腕組みをして立ち尽くしていた。

 ボスの遊び相手という条件を考えれば、同じフレンチブルドッグか、あるいは近しいパグが妥当だろう。そう理屈をこねながら、俺は二つのケースを交互に眺めていた。

 一方は愛嬌たっぷりの黒パグの女の子。もう一方は、白と黒のコントラストが凛々しいパイド柄のフレンチブルドッグの男の子。

 どっちも捨てがたい。いや、どっちも魅力的すぎる。悩み抜いた末、俺はある結論に達した。

「……店員さん」

「はい?」

「この子とこの子、2匹とも迎えます」

 店員の若い女性が、まるで化け物でも見るかのように目を丸くした。

「……2匹? えっ、2匹ですか?」

「ああ。2匹ともだ」

「あ……はい、承知いたしました。2匹同時に連れて帰られるお客様なんて、本当に珍しいものですから」

「ハハハ、そうだろうな」

 俺は笑い飛ばしながら、契約書にサインを走らせた。

 手続きの間、ケースの中の2匹は早くも先住犬のボスの気配を感じ取ったのか、窓ガラスに鼻を押し当ててソワソワしている。

 俺のマンションはペットOKだ。これからは、今まで以上に賑やかで、騒がしく、そして愛おしい毎日が始まることになる。

 帰り道、後部座席でケージに入った2匹と助手席のボスを見比べながら、俺はハンドルの上で指を叩いた。

 人生は何があるかわからない。だが、間違いなく言えることは、今日から俺の人生は今まで以上に最高に忙しくなるということだ。

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