表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第1部 いい日旅立ち・西へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/106

広島県呉市③

4月27日。

 昨夜決意した通り、俺は呉の街のペットショップに足を運んでいた。

ケージの中にはトイプードルやマルチーズ、シーズーといった愛らしい仔犬たちが並んでいたが、俺の目はどうしても、ある二目から離れなかった。

フレンチブルドッグと、パグ。

 我が家の絶対的エースであるボスの遊び相手が務まるのは、やはり同じ血を引く鼻ペチャでタフな奴らしかいない。それが旅を経て得た、俺なりの結論だった。

「良かったら、抱っこしてみますか?」

 店員さんの優しい声に甘え、まずはフレブルを、続いてパグを腕に抱かせてもらう。

「……くぅ」

 腕の中で小さく鳴き、俺の指を熱心に舐めてくる仔犬たち。そのあどけない温もりが胸に触れた瞬間、言葉にできない愛おしさが全身を駆け巡った。かつて、孤独の寒さに震えていた俺の心を救ってくれた、あのボスの体温と同じだった。

パグか、フレブルか。どちらか一人を選べば、もう一人をここに残していくことになる。

 おっさんの不器用な胸の中で、激しい葛藤が渦巻いた。……いや、違う。俺は何を迷っているんだ。

 今の俺には、自分の人生を、自分の力で幸せにする自由がある。

「すみません」

 声に出してそう決めたとき、俺の心は驚くほど晴れやかだった。

「2匹ともください」

 店員は目を丸くしていた。1匹だけお迎えっていう客は結構いるが2匹ともお迎えという客は珍しかったのだろう。

「え?2匹?ほんとにいいんですか?」

「はい、2匹いればさみしくないかなと」

明日からは、ボスと、この新しい二匹のチビ達との、目まぐるしくも愛おしい毎日が始まる。

 一人ぼっちだったおっさんと一匹の犬の逃避行は、こうして、最高の『家族の物語』へと生まれ変わったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ