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おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第1部 いい日旅立ち・西へ

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鵜戸神宮〜宮崎市

2027年4月18日


 夕方、鵜戸神宮を後にしたジムニーは、夜の帳が下り始める国道220号線を北上し、宮崎市内へと入った。

 車を走らせながら、道中にあったサンメッセ日南のモアイ像に立ち寄るのを忘れていたことに気づく。せっかくすぐ側を通ったというのに、琴音との一件でどこか急ぎ足になっていたのかもしれない。「見に行けばよかったな」と、ハンドルを握りながら苦笑混じりの後悔が胸をよぎった。

 だが、そんな小さな感傷は、街に入ると同時に強烈な空腹感へと上書きされた。

 今夜の目的は決まっている。俺はチキン南蛮の発祥の店として知られる名店、「おぐら」の暖簾をくぐった。

 運ばれてきたのは、たっぷりのタルタルソースが惜しげもなくかけられた大ぶりのチキン南蛮だ。

 ナイフを入れ、一口大にして口に運ぶ。甘酢の絶妙な酸味と、秘伝のタルタルソースの濃厚なコク、そして溢れ出る鶏のジューシーな旨味が、ドライブで疲れ切った身体の細胞ひとつひとつに染み渡っていくようだった。夢中で平らげると、最高の満足感とともに息を吐き出した。

 もちろん、ジムニーでお留守番をしてくれていた相棒へのフォローも忘れてはいない。道中の物産館で、宮崎地鶏のささみを使った犬用の特製おやつを仕込んでおいたのだ。

「悪かったな、ボス。お前のはこれだ」

 車に戻り、ささみを目の前に差し出すと、ボスの目がらんらんと輝いた。

 袋を開けた瞬間に引ったくるように食らいつき、無我夢中で咀嚼し始める。一心不乱に宮崎の恵みを堪能する相棒の姿を見つめながら、俺たちはそれぞれのやり方で、この南国の夜を満喫していた。

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