表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんとフレブル  作者: 水前寺鯉太郎
第1部 いい日旅立ち・西へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/106

唐津〜嬉野温泉

2027年4月11日


 唐津を後にした俺たちは、山あいの温泉街、嬉野へと辿り着いた。

 実は、俺にはささやかな趣味がある。毎晩、食後に熱い緑茶を淹れて飲むことだ。琴音が家を出てからは急須に触ることすら忘れていたが、本場で売られている嬉野茶の深い緑色を見ているうちに、無性にあの青い苦味が恋しくなった。

 ボスに車で留守番を頼み、自分のためだけに小さな袋の茶葉を買い求めた。

 お茶を仕込んだあと、少し贅沢をしたくなってペット同伴可の温泉宿を探した。運よく直前で一部屋だけ空きを見つけ、思い切ってチェックインする。案内された部屋には、専用の客室風呂がついていた。

 さすがに犬をそのまま湯船に入れるわけにはいかないので、まずはシャワーでボスの手足を洗ってやる。お湯の温かさが気に入ったのか、ボスはフゴーと鼻を鳴らしながら、気持ちよさそうに目を細めていた。

 相棒を脱衣所で休ませ、今度は俺が湯船に身を沈める。

「日本三大美肌の湯」と称される嬉野の湯は、驚くほどとろりとしていて、まるで化粧水のようだった。

 広島を出てから、ずっと張り詰めていた。

 けれど、温かい湯気の中で、脱衣所から聞こえるボスの健やかな寝息に耳を澄ませていると、張り裂けそうだった心の角が、ゆっくりと丸く削られていくような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ