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門司〜博多
2027年4月9日 午後
ジムニーを西へと走らせ、辿り着いた博多は、眩暈がするほどの熱気に満ちていた。
博多駅前の横断歩道を埋め尽くす、無数の背中。誰もが迷いのない足取りで、それぞれの目的地へと急いでいる。妻に置いていかれ、会社からも逃げ出した五十二歳の男が、犬一匹を抱えて立っていい場所ではないような気がして、ほんの少し気後れした。
駅近くのパーキングに車を止め、ボスに留守番を頼む。遅めの昼食に選んだのは、牧のうどんだった。運ばれてきた麺は、驚くほど柔らかく、優しかった。食べても食べてもスープを吸って一向に減らないその麺を黙々と啜っていると、張り詰めていた肩の力が、ゆっくりと抜けていくのを感じた。
腹を満たしたあと、海沿いの福岡タワーへ向かった。ペットは館内に入れないため、隣接するシーサイドももち海浜公園でボスを歩かせた。
どこまでも広がる海から、心地よい潮風が吹き抜けていく。ボスの短い毛が風にパタパタと揺れていた。
公園のベンチに腰を下ろし、火をつけないまま煙草を指に挟んで、海を見ていた。




