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ルカ・ブラントのギフト  作者: ゴンザレス
第一章

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2/11

ギフトをもらった




「イヤ、睡○ーンは駄目だ!!???」




 クソみたいな台詞を発しながら起きた。

 ハアハア言いながらイヤな汗を拭って周囲を見渡す。ルカの部屋だった。カーテンの隙間から見える外は暗く、すでに夜になっている。

 

「…………」


 大丈夫、前世みたいにやりたい事やらなきゃいけない事があるのに眠くて寝てしまって一日を無駄に過ごしてしまった訳じゃない。多分。まだ慌てる時じゃない。反芻してみよう。


 朝からギフトをもらいに教会へ行きました。終わり。


「……………」


 それからの事が肝心だ。

 

 ルカは神から【尻】と【石ころ】を授かったのだ。

 

 他人事ならば「何言ってんだオメェ」である。しかし美声な鼻歌をBGMに誰とも知れない声が『【尻】と【石ころ】を授ける』と頭の中で告げた。……告げられてしまった…。

 あまりの事に現実逃避してしまい、ミゼラ様とテレンス様にはご迷惑をおかけしました。カドリエールは…家に送ってくれてありがとう。

 ……ノラン、は。狙われている、と言う事でよろしいのだろうか。10年も。村の人は皆二人が恋人同士だと思っているんだけど。…だが寝込みを襲うのは駄目では?知らないうちに切れ痔になってて可哀想すぎない?チクった方が良いのだろうか……ノランのおかげで『ギフト』の片鱗が見えたのだから。


 一瞬正気に戻ったが尻から具現化された屁、もといフキダシ、大臀筋に刺さったハート型のフキダシ。全て【尻】だ。【尻】だった。脳内でギフトと繋がってしまって意識を失ったが、ちゃんと覚えている。忘れたいが。

 

 グルルルルル……………


 朝食以降何も食べてないので腹も鳴る。先ずは腹ごしらえだ。

 そっと部屋を出て厨房へ向かう。一人行動が基本のルカは、しょっちゅうおやつをせびりに行くので暗くても問題ない。今日はほぼ食べていないからおやつも余ってるだろう。

 大広間を通って時間を確認するとそろそろ日付が変わりそうだった。これから眠れるか不安になった。


 厨房に着いて早速おやつ置き場に進む。ルカが取りやすいような下の棚に焼き菓子が置いてある。いただきます。

 一応就寝前だから少なめにモグモグしていると足音が聞こえてきたので、そっと棚と棚の間に入って隠れてみた。だって倒れた子供が起きてたらすごい喜んで騒ぎになっちゃうだろ。


「………ら」

「…ですが…」

「お腹空かして起きるかも知れないわ」

「お嬢様は自力でなんとかするタイプですよ」

「……確かに」


 ルカの事をよく解っている。暗い厨房で一人お菓子をむさぼれる子供だってちゃんと理解してくれている。流石母と侍女のファニーである。あ、明るくなった。

 どうやら今まで父と家令と仕事をしていたようだ。ファニーはお湯が切れたので取りに来て、ついでにルカの腹減り具合を考慮した母も着いてきたと言う事か。忙しいのにありがとう。


「今から様子見に行こうかしら」

「二時間ほど前に確認したときはもう普通の顔に戻ってましたから御自分で目覚めるのを待った方がよろしいかと」

「…感受性ってこんなにも影響するのね…」


 心配かけてしまって真に申し訳ない。【尻】が全て悪いのだ。【石ころ】だけならここまでならなかった。だって考えてみて欲しい。こう…なんだ、異空間収納とか、なんとかの加護とか、そういうのだと思わないか?前世では殆どゲームをやらなかったのでラノベとかで出てくるようなモノしか思いつかないけど。


 まさか物理的なモノが送られるとは思わないでしょ…?なに【尻】って。


「大丈夫ですよ、お嬢様ならきっとケロッと乗り越えられますよ」

「……そうね」


 そんなに期待されてもとても困るんだが。こうなったら飛び出て驚かせて有耶無耶にしてしまおうかと頭だけ出してみた。ら



母{『病名:切れ痔(中傷)いぼ痔(重傷)』

ファニー{『病名:切れ痔(軽傷)』




「……………」


 


 そっと頭を引っ込めるだけの余裕は残っていた。




□■□■□■□■□■




「重傷はヤバいのでは…?」


 部屋に戻って考える事は一つ。二つの痔を併発している母の事だ。

 ノランの時とは違って原因は記述されていなかったけど、多分色々重なってあそこまでいったのなら書き切れないだろう。

 前世の記憶では、痔の原因とされるのは便秘や下痢、食生活、冷え、その他諸々だったはず。残念ながら痔になった事がないので、本当に分からないのだ。

 ただ痛みは分かる。怪我も病気も経験したので場所の違いはあれど、痛みがひたすら続くのは本当にきつくて辛い。いっそ意識を失いたいと思うのに痛みでそれができない、ずっとずっと我慢しながら痛みが引くのを待つしかないのだ。


「思い出したらイヤになってきた……」


 前世は病死なのであの辛さを思い出すと気分が悪くなる。死ぬまではいかなくても痛みに苛まれる状態で毎日を過ごしてると思うと…辛い…。

 毎日食後に飲んでる薬はもしかしなくても痛み止めか何かなんだろう。…んっ?父も飲んでた気がする。もしかして父も…?


 本当に待って欲しい。洒落にならなくなってきたんだが。痔の人口数どうなっているんだ?我が家だけで三人いるんだけど。今日だけで一体何回尻と痔って言った?


「全て儀式のせいでは?」


 そもそもあのBGMは一体どう言う事なのか。アレに呼ばれてお告げに来る神様ってどう言う気持ちでいらっしゃるの?あとギフトの事もうちょっと詳しく説明をくれても良いんじゃないか?【尻】と【石ころ】を授けるって言われたらそれが降ってくるとか勘違いしてもおかしくないと思う。特に【石ころ】。小粒の石が降る合間に生尻が降ってくるってどういう状況だと思う?

 【尻】とは正に、尻の状態が分かるギフトなんだろう。でもそれって【鑑定】と何が違うのか?見えるだけなら【尻】なんてそのものじゃないだろ。



 そう、ルカは尻をもらったんだ。それは尻の全てを司ると言う事では……?



「そうだ、口にしよう」


 神頼みをしよう。口に出してみないと駄目なアレかも知れないじゃないか。転生者あるあるのステータスオープン的なアレだ。



───この時点でルカは自分がちょっと疲れている事に気付いてる。五歳児が一日の内に二回も気を失うというダメージを負っているのである。精神的にも肉体的にもとても疲れていた。

 しかも家族が痔で重傷を負っている事がさらに心にダメージを加えた。それがメンタルに来た。でなければこんな事を言い始めなかっただろう。

 

 ファンタジー初心者な転生者が五年程度生きたぐらいでファンタジーに馴染める訳がないのである。三つの元号を生き抜いた人間は未だに半分くらいこれって夢か?とか思っている。

 だから突拍子もない事を言ってそれがまるっきり見当違いであったと笑いたいのだ。疲れていてもやらずにはいられなかった、口に出して自分の黒歴史を笑いたいのだ───


 


「神様、尻を司る神様。どうか両親の尻を治療するための何かを授けてください」




 言った後で思った。尻を司る神様って何だよ。……本当何?  

 日本にはいっぱい神様がいたから一柱ぐらいはいるのでは?しかしここは異世界なのでもっといるかも知れない。文字通り尻神様が……いるのか?


 口にしたら少し落ち着いた。何かが起きるわけがないのだ。は~はじゅかちいはじゅかちい。やべえ独り言かましてしまったナ!




 ポス……



「……………」



 何もない所からベッドの上に座っているルカの前に鞭が落ちてきた。


「……………」


 ホヨヨ?みたいな顔で鞭を見た。知ってる、コレ。キャットオブナインテイル……えっ?

 触らずに血とか液体とか付いていないか確認してから拾い上げると



『その杖で患部を叩きなさい』



 杖とは……?元に戻らないホヨヨ顔で首を傾げるが棒状のモノはこれ(鞭)しかない…えっ?これ(鞭)で患部(尻の穴)を叩く……叩く?!痛みで苦しんでるのに更に追撃しろと!?


「もうちょっと私にも患者にも優しい方法を授けてください……!!」


 さっきよりも真剣さを増した願いに間も置かずに返ってきた。



『呪文を叫びながら尻をつつきなさい』



 ルカにだけ優しくなくなった指令にチベスナ顔になる。しかし呪文とは…?



『痔・attack』



 目をつぶり上を向いて深呼吸した。六秒数えます。落ち着くんだ。



『痔とTheをかけている』



 聞いてもいない事を聞かされて杖(鞭)を床に叩き付けた。

 何もかもをなかった事にしてしまいたいが、痔が悪化する事が良くない事ぐらいは理解している。自分が……呪文?を叫びながら……尻をつつけば、全ては解決……だ。本当か……?





 何一つ笑えない事態になってしまったので即入眠した。意識を失ったとも言う。






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