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ルカ・ブラントのギフト  作者: ゴンザレス
第一章

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1/11

ギフトをもらう




 アイツ…尻から…屁が具現化してやがる…




 ギフトをもらった直後の出来事である。




☆☆☆☆




「ふんふふんふふ~ん」


 今日は教会で『ギフト』を授かる日。

 二日前に五歳になったので早速行く事にした。自宅である男爵家の領主館から真っ直ぐ歩いて十分位なので一人でも大丈夫。三歳の頃から通っているのでもう慣れっこである。見晴らしがいいので危険もない道のりを気分良く歩いていると前方から見覚えのある青年がやってきた。


「おや、おはようございますルカお嬢様。朝からどちらへ?」

「おはようノラン。ごさいになったからギフトもらいにいってくる。」

「おやつみたいに言いますね…。足下に気を付けて行ってらっしゃいませ。」

「うむ」


 領主館に向かうようなので手を振って別れた。ノランは王都の学園を卒業して数年は他の領地で働いていたが、ルカが生まれた頃に戻ってきて今は村長の補佐をしている。

 

 ちなみに何故かノランについてきたというスレイ・ミースフルという友人は冒険者兼村の雑用をしてくれている。どちらも子供のルカには親切で優しかったのでいい人認定しといたが随分距離が近いな…?とも思った。

 まぁ多分できてる。前世の勘がそう言ってる。そして同性婚OKのこの世界に拍手をしてあげたい。


 そう男爵令嬢ルカ・ブラントは「身体は幼女、頭脳は貴腐人。前世の名は某呪われた家の母」な転生者です。


 生まれたときから記憶があって一年ぐらいは辛い辛い言ってニートしてた。無表情で反応が乏しい子供を見捨てずに可愛がってくれた両親には感謝してもしきれない。ありがとう。

 なので今回の『ギフト』を貰える《儀式》には期待が高まっているのだ。なんせこの《儀式》の後に魔法が使えるようになるので。


 三歳くらいになって魔法を実際に見てからはもう早く自分も使いたくて使いたくてふるえた。なんかすごい魔法が使えなくても大丈夫だ、問題なす。どんな人にでも必ず備わる生活魔法さえあれば自分の事は自分でやれるようになる。

 何故なら成人した日本人の記憶があるので、やっぱり子供扱いに戸惑う。自分でできましたよ。と言いたくなるし、できない事に歯痒くなる。観察してみてて上手く使えば動きやすくなると確信した。練習あるのみだ。


 なのでとてもわくわくしているのです。



☆☆☆☆



「おはようございます」

「おはよう、ルカ」

「ギフトもらいにきました!」

「お菓子もらいに来たみたいに言わないでくれないか?」


 教会でルカを出迎えてくれたのは司祭のミゼラ様。とても顔が良い。だって50代のD・ボ○イだ。いつも興奮して鼻血が出そうになるくらいだ。実際は鼻息を荒くして鼻水を噴き出している。


「おはよう、ルカ。鼻水出てるよ。」

「おはようごじゃりまつデレンズざま」

「拭いてるときに喋らないように。」


 ルカの鼻水を拭いてくれたのは助祭のテレンス様。死ぬほど顔が良い。だってベニスの世界一の美少年だ。いつも目を細めて直視しないようにしてる。うっかりするとバ○スを食らった状態になる。


 この教会にいる信徒は特に顔の良い者達で構成されている。何故なら顔の良さで様々な迷惑を被ったりした人間不信一歩手前な者ばかりだからだ。王都や大きな領地にいて面倒を引き起こすのが嫌な人間の集まりである。


 ブラント男爵領は過疎化まっしぐらな土地だが簡単には入れない様になっている。詳しくは今度勉強するが結界が張ってあるとか言ってた。昔のすごい人が張ったそうな。


 いやホントファンタジーだな。


 神様がいて魔法がある世界。これまでに実際目にした事で現実である事は解っていたけど、これから自分が授かる『ギフト』によって自分が魔法を使う。

 それによって異世界に居るのだと深く実感するんだろうな。


「ではこちらへ」

「はい」


 とある一室へ二人と向かう。

 そこはルカが一度も入った事のない厳かな雰囲気の美しい部屋だった。語彙力がないので壁がどうとか柱がどうとか解説しないでおく。なんかそんな部屋。

 真ん中には教壇?があって、その上に透明な板の上に水晶玉…?が乗ってる。テレンス様が踏み台を用意してくれた。これに乗って玉の前に立てという事ね。


「これに両手を乗せて」

「はい」


 言われた通りに両手を乗せた。二人がルカの後ろに立ち何かを…?唱え始めた。





「「ん~ん~んんんんん~」」

「…………」




 …………違う。決してあのテーマソングじゃない。やめろ。一体何が始まるというんだ…?

 

 薄ら水晶玉が光ってきた。辛い。この鼻歌をトリガーに儀式が始まるなんて…どうして…?





「「んん~んん~」」

「…………」




 誰か…助けてくれ…。

 

 笑えば良いのか突っ込めば良いのか分からずに只々時間が過ぎていく。

 何故、どうして、といった疑問と二人の良すぎる声にそろそろ奇声を上げたくなった頃、



『………を』


  

 なんか聞こえた。



『………を……る』



 申し訳ないんだがもうちょっと大きな声でお願いしたい。二人の美声に負けないでくれ。



『………を…ける』



 もう一声!!




『【尻】と【石ころ】を授ける』

 


 

 ……………?







□■□■□■□■□■


「………大きな取引で財産を失った人間の顔をしている…。」

「私も王都でこんな顔した商人を見たことがあります。」

「我々はギフトを授ける儀式をやったんだよな……?」

「他の儀式はあんな事しませんよ。」

「…………」

「…………」

「見覚えのない文字だが……二つある。」

「やっぱり転生者でしたね。まあ、普通の子供とは違いますしね。」

「転生者がこの様な反応をするギフトとは……?」

「……えっ怖い。」


□■□■□■□■□■







「………ンハッ!?」

「うわっ……目が覚めたのか?」

「………????」

「どうなってんだコイツ…顔がヤベェまんまだ。」

「………??」

「さっさと帰そう………」


 教会からの帰り道を歩いてる気がする。横には信徒のカドリエールくん。いつの間に帰路についたのかも分からない状態だった。???


「あ、ノランさん。こんにちは。」

「こんにt…ヒェエ…ギャンブルで全てを溶かした顔してる…!」

「………???」

「ギフトもらいに行ってどうしてこうなるの?」

「感受性が強いともしかしたらこうなるかもしれないって司祭様が言ってました。」

「聞いた事ないけど???」


 二人が何か話してるのは分かる。しかし内容がどうしても頭に入ってこない。

 わたしのみになにがおこったのだ……?????


「今日はもうこのまま寝かせてしまった方が良いって領主様には伝えます…。」

「そ、そうだね。目が覚めたら戻ってるかも知れないしね…。」

「それじゃ、失礼します。」

「うん…お嬢様をよろしく…。」


 ノランが小さく会釈してルカの横を通り過ぎた。


「……????????」


 ところでルカの身長は五歳児の平均身長よりも低めの80㎝ほどである。ノランは170㎝あるので目線は股間辺りになる。

 今は視界の情報しか頭に入ってないルカが、横を通り過ぎるモノを目で追うのは当然の結果なのだ。




──────尻から、何か出てる……





 

 ここで冒頭に戻る。





「キェェェェェェェェェェッ!!!!」

「ウワーーーーーッ!!!!」

「エッなになになになに!!???」



 阿鼻叫喚である。



 ノランは飛び上がりカドリエールは身構える。絶叫したルカは目がイッてる。しかもずっとノランの尻を凝視している。大人二人にとってはまさに地獄であった。


 しかし身を以てファンタジーを実感する初めての経験がこれだった五歳の転生者はもっと地獄である。

 朝に会ったときには確実に無かった尻の異物。

 頭をよぎる【尻】の文字と言葉。

 授けるの意味とは…?


「オボボボボボボボ」

「こわいこわいこわい」

「教会に…いや、こんなの持って帰りたくない…!」


 ルカは混乱しながらも屁が具現化したノランを心配していたので、覚束ない足取りで尻を見ようと後ろに回り込もうとした。ノランは逃げたくて仕方なかったがこんなにヤバい状態のルカを放置できないので、その場で待機していた。ちなみにカドリエールは自分の方には来なさそうなので様子を見ていた。


 後ろに回り込んで具現化されたモノを見てみると、大きさ的に屁ではなくフキダシではないかと思った。触るのはちょっと遠慮したかったのでジッと観察してみると…



ノラン{『病名:切れ痔(軽傷) 原因:弄りすぎ』


 

 そ、そっか~。プライベートな事だもんな。ごめんな。でも痔になるほど弄るのはどうかと思う。ルカは一瞬正気に戻った。が、尻の割れ目から出ているフキダシの横の大臀筋に何か刺さってるのに気付いた。ハート型のフキダシだ。



『スレイ・ミースフル(27)片思い歴10年:夜襲犯(切れ痔の原因)』



「…………」

「お、お嬢様…?」




「ヅギア゛ッデナ゛イ゛ン゛ガイ゛!!!!?????」

「ワアアアア!!????」

「あっ倒れた!」


 


 絶対できてると思ったのに…。



 この言葉を最後にルカの意識は飛んだ。






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