↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラニス戦記  作者: 7s9
第4章 戦後騒乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/5

挫折と飛躍

第33話

挫折と飛躍 



導入


それから、ルークは本題に入る。


「実は、第Ⅲ次戦敗北後、条約交渉の際に承諾内容の緩和を要求していたんだ。

それと引き換えに、ハドラリアー軍からは、バリリオンズ側の武力軍備拡張にかかる費用等へ、経済的制裁の要項が追記される事になった。

それで、ここぞとばかりに隣国の衛星国家を中心とした小規模な侵略攻撃や図々しい要求が急激に増えた。」





ゲート発生



山場1


ルーク


「今から約4ヶ月は、この地域で紛争が絶える事は、まず無いだろう。

こちらとしては、国家再建の任務や秩序維持の課題に尽力しながら、襲撃者達と交戦する事になれば、かなりの軍事的権威を落とす事になりかねない。



だが、君たちのような新人たちにとっては、ここが正念場だ。

むしろ、こんな具合に実践経験を短期間で存分に積める好機を、逃す手はない。

そもそも、我々バリリオンズは、結成から数年間、7割から9割を、訓練用の戦闘対策に割り当てて来た。

実戦の方が本来なら少ない。実戦経験は貴重なものだ。

きみたちはこれから激務が続くだろうが、ここを踏ん張り抜いて、より強くなってもらいたい。

敗北した屈辱と、これから身に染みるであろう多くの苦難や怒りに対し、然るべき形で報いることができるよう、精進してくれたまえ。」


「ところで、ナーク。今回の戦いから、君をA級に昇格することが決定した。良かったな。これで念願のA級仲間入りだ。」


ナーク

「どうしてですか?今回の実戦結果からではA級には昇格できないって………」


ルーク

「その代わり、ヒュラ達を期間条件付きで、いずれB級に上げることが確約されたんだ。だから、有望なC級生達を強くなるように戦闘の稽古を付けてくれよ」山場2




第Ⅲ次世界戦終結から3日後。

戦場だった平原は静まり返り、戦争の傷跡だけが残っていた。

一方、バリリオンズ本部の地下演習施設。

巨大な訓練フィールドには、ナーク隊の隊員たちが集められていた。

ルークは演習場中央に立ち、腕を組む。

「今日は戦争の反省会だ。」

周囲が静まり返る。

「お前たちはよく戦った。特にC級としては異例の戦果だ」

モニターが点灯する。

そこには戦争中の映像が映し出された。


偵察映像

上空数千メートル。

無人偵察機が撮影した映像。

ヒュラがスコーピア数十体を斬り伏せながら前進する姿。

敵に囲まれた味方を助けるため、一歩も退かず剣を振るう姿。

クラッド出現時も最後まで前線を維持していた様子。

0級メレピー相手に優位に戦闘する様子。

映像が止まる。

ルークがヒュラを見る。

「これがお前だ。」

ヒュラは黙ったまま画面を見る。

「判断速度、前進のタイミング、ニューオン消費率。」

「全部計測した。」

画面には数字が並ぶ。

戦闘継続能力 A

状況判断   A-

成長率    S

危険察知能力 A

ルーク

「戦争開始から終了まで、お前の能力は約13.7倍まで伸びていた」

隊員たちがざわつく。

ケラ「戦争中にそこまで?」

ヒル「あり得ない成長速度だ」

ナークも少し驚いた表情を見せる。

ルーク「だが——。」

画面が切り替わる。

ヒュラが無駄に大きく剣を振っている場面。

敵を深追いする場面。

クラッドを見た瞬間、一瞬だけ動きが止まる場面。

「まだ甘い。」

ルークの声が低くなる。

「本物の強者相手なら、その一瞬で死ぬ」


模擬戦

ルーク

「だから今日は俺が教える」

「全員まとめて来い」

ヒュラ

「……全員?」

ルーク

「ナーク、ヒル、ヒュラ、ケラ、ネラ。」

「5人同時だ。」

全員が驚く。


ナーク 「本気ですか?」

ルークは笑う。「もちろん。安心しろ」

「俺は片手しか使わない」

ヒュラ

(片手……?)


開始

開始と同時にヒルが上空へ。

ネラは遠距離射撃。

ケラが右側から接近。

ヒュラは正面。

ナークが後方から針状フィールドを展開。

五方向からの同時攻撃。

しかし、ルークは、一歩も動かなかった。

次の瞬間。

全員の視界から消える。

「え?」

ヒュラが振り返る。

ルークは既にナークの背後。

ナーク「速い!」針を放つ。

ルークは指一本で軌道を逸らす。

そのまま軽くナークの頭部を殴る。

「はい、1人。」

ナークのステレオが解除される。戦線離脱。

ヒルが上空から急降下。

ルークは視線すら向けず、二本指で弾く。ヒルが地面を何十メートルも滑る。

「はい、2人目。」

ネラが巨大な雷撃を放つ。

ルーク

「威力は十分」

「でも撃つまでが長い。」

雷が発射された後にすぐ交わし、懐へ入り、額を軽く弾く。

ネラ戦闘不能。

ケラが背後から大振りの蹴りを入れる。

ルークは右腕だけで受け流す。ケラはその後右背後から殴りにかかるが、ルークに頭部を吹き飛ばされる。

残るはヒュラ。

ルーク「来い」

ヒュラは全力で踏み込む。

今までで最速。

戦争中より速い。剣を振りかざす。

ルークの頬をかすめる。

隊員全員が目を見開く。


ルークは笑う。

「いい成長だ」

しかしその直後。

ヒュラの首元に、ルークの指先が触れていた。

ルーク「終わり」

ヒュラは頭部が跳ね飛ばされた。

が、本体がルークを切りかかりに行く。

ルーク「ヒュー」

ルークはヒュラの頭部をそのまま木っ端微塵にしたその腕で剣を受け防いだ。















引き


誰も一撃も入れられなかった。

だがルークは満足そうに笑う。

「お前たちは弱くない」

「今の実力なら、戦争前のお前たちとは比べものにならない」

「だからこそ、次は”本当の強さ”を教えてやる」

隊員たちは、自分たちとS級との間にある圧倒的な差を思い知らされる。しかし同時に、ルークはヒュラの成長速度と潜在能力に大きな期待を抱き始めていた。


犯罪の取り締まりもまたバリリオンズ軍部の任務の一環であり、ヒュラ達は地方管轄も任される。










ヒュラが任された地域は、複数あるがどれも小さな村であった。見回りに出ていたヒュラは、そのうちの1つの村が、自分の見知った土地である事に気付いた。



目覚めてから5日後


ヒュラ

「ここは………。」


ヒュラはネラと昔、魚釣りをした崖を見つけた。山と森の風景は記憶の中のそれと、そこまで大きくは違わなかった。


ヒュラ

「そういえば、ここで村人達と魚釣りしたっけなぁ。

僕が1番くらいに魚釣りがうまいはずなのに、いっつも、みんなネラに教えてもらおうとするんだよな。

ネラは僕が適任だってみんなに説明してるのに。

ネラに聞いても、僕が言ったことしか教えられないのに」


ヒュラは、懐かしみながら、回想した。





ヒュラは、次の瞬間ギョッとした。

今にも雲の海の世界へと飛び降りようと、行列を成している民を見つけた。

先頭の者が突き出た縁の部分から、飛び降りた。



痛みなき苦痛。

この社会、空想的な世界大戦を課した、この社会が、

民に課した精神暴力の形態………。

 

それは、思い尽き得る限り、最も残虐で非道なものに、

他ならなかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。