敗戦国の定め
第32話 敗戦国の定め
導入
第Ⅲ次ハドラリアー総襲撃は、わずか3時間にして勝敗が決した。
その後3日間、ヒュラは意識を失い病室へ送られた。
ヒュラは、電気を送り込まれ、栄養を管に通されて治療されていた。
意識を取り戻した今、ナーク達の近況報告を受ける。
ナーク
「条約については、こっちが全面的に受け入れる形となった。10日ほどすれば、手始めにバリリオンズ軍部がウラニス7の全国家及び住人に、食糧統制を行うだろう。
餓死者が出ないギリギリのところで耐え忍んでもらう。
僕らも例外じゃない。
これは、少なくとも4ヶ月は続く。というか、半年は想定すべきだ」
山場1
その後、想定されるウラニス7の状況は、
3割の地域が無法地帯と化す
自殺率が月単位で%代に乗り上げる
餓死者が数十万人以上は発生する
デマの出回りと、ネット上の大氾濫
貧困家庭の実質的生活圏の隔離
過労死者とストライキの集団発生
これは想定しうる中で比較的、最善に近いシナリオであった。
そして、犯罪の取り締まりもまたバリリオンズ軍部の任務の一環であり、ヒュラ達は地方管轄も任される。
ウラニス7 の民の生活風景
4割近い地域がスラム化してしまい、1割の富裕層の住む地域だけが飢えとは無関係に、笑い声の飛び交う街の様子。
半数の地域で、自殺率が数%に乗り上げていた。
(列を成して海へ飛び込む民。[海はウラニス7のガス部分])
山場2
大量の書類を渡され、内心すべての紙を粉々に破り捨てて火を付けたい衝動に駆られながらも、ヒュラはグッと堪える。
頭がまるで回らないヒュラは、話半分にナークの説明を聞いていた。
ナークの説明は続く。
ヒュラ
「要するに?」
ヒュラ
(あっ、言っちゃった。
つい思ってた事が言葉に。)
ナークが一瞬「えっ?」と言ったか言ってないかわからないが、そういう目をしていた。
ナーク
「悪い。色々あり過ぎてな。
とりあえず、3日以内にこの書類にすべて目を通して、状況を飲み込んでほしい。
欠席中のお手紙だ」
バリリオンズでは、師となる者が新人などを弟子にとって実戦での立ち回りや戦い方を教えるのが基本だ。
大戦争や、集団的な兵を用意する必要のあるときは、そのようにして形成された戦闘員集団の兵士が、隊を組む。
そして、隊長を務める戦員は、実質的に後輩や新人にとって、教員とほぼ同等の存在であった。
全員が目を丸くする。
ナークの冗談は理解されなかった。
9人は、ナークを残して病室を後にした。
引き
ヒュラは、寮へと帰宅するところであった。
他の連中も、寮を持っていたので、ほとんど同じ道を共に辿りながら家路に向かう。
ネラ
「ヒュラ、君が翌日になっても訓練室に来ないから、ナークが君の部屋にやって来たんだ。それで君が意識不明なのを見て、君は病院に運ばれたんだ。」
ヒュラ
「それは迷惑をかけたって事か?」
サマンダー
「にしても、翌日から訓練とか酷過ぎない?
みんなよく耐えれるわね」
ケラ
「戦争翌日から訓練なんてしないわよ。
精神と感覚を研ぎ澄まし酷使するなんて。
そんな事をするのは、ヒルやナークみたいな一部のバカだけよ。
みんな2日は安静にするのが原則。
訓練室に集合するのは、反省会みたいなものよ」
ネラ
(そういう君も、1人で勝手に体操とかジョギングとか筋トレとか、基礎鍛錬めちゃくちゃやりまくってたよね!?)
ザン
「あれを反省会とは言わないんじゃないか。
開始早々、解決案だらけで、頭が痛くなる。んでから説教だ。
って言っても、ナークはすぐに説教なんて辞めて、裏で発狂してたぜ。
自分の実力不足だって嘆いてたの、全部筒抜けなんだよな」
アレン
「途中からやって来たルークって奴、めちゃくちゃムカつくんだぜ?
俺たちの事をおとりにしておきながら、ボロクソ言いやがったぜ。
自分はバカみたいに大敗してるくせによ。」
ヒュラ達は全員で訓練用施設に向かっていた。そこで、ルークが門番をしていた。
「すまないね。バカみたいに大敗したルークです。
ご機嫌よう、みなさん。
んで、君、誰だっけ?ボロクソ言ってごめんね。
お詫びに、君たちに、僕の役回り教えてあげるから、思う存分戦わせてあげよう。なんなら、僕が手合わせしてもいいよ?」
アレン
「アレンです。すみません。遠慮しときます」
ザン
「おいおい、いつもの威勢はどこに行った?」
ヒュラ
「ルークさんと手合わせできるなんて………。
光栄です。ぜひお願いします」
ヒル
「抜け駆けするんじゃない!
もし手合わせができるんなら、俺が先だろ?」
ルーク
「また今度、2人同時に相手してあげるよ。
なんなら、ナークと3人でかかって来な。
ほら、ちょうどナークが戻って来たよ」
振り返ると、ナークが歩いてやって来たところだった。




