第7話:仕事が決まりました
翌朝、目が覚めると早速お家の掃除をし、朝食の準備をした。昨日ルーマさん家族と楽しく食事をしたためか、なんだか1人の食事は少し寂しい。
でも、公爵令嬢だった頃は、こんな風にのんびりと食事が出来ること自体幸せな事だったのだから、あの時の事を思えば幸せなのだろう。
そう思いながら、食事を済ませた。そして、洗濯をして外に干す。今日もとてもいい天気だ。
「マリアナちゃん、おはよう」
「おはようございます、ルーマさん。昨日はありがとうございました」
「お礼を言われる事なんて、何もしていないよ。そうそう、マリアナちゃんは仕事をしたいと言っていたね。あの丘の上に、立派なお屋敷があるだろう?あそこにはお金持ちの奥さんと坊ちゃんが住んでいるらしいのだけれど、あそこで働いてみるつもりはないかい?」
ルーマさんが指さす方向には、確かに立派なお屋敷がある。私が言うのも何だが、こんな田舎にあんな立派なお屋敷があるだなんて。もしかして、どこかの貴族かしら?
「もしかして、どこかのご貴族様がすんでいらっしゃるのですか?貴族の方ですと、ちょっと…」
気になってルーマさんに聞いた。すると
「いや、平民と伺っているよ。何でも貿易かなにかで旦那さんが大儲けをしたそうなのだけれど、その旦那さんが亡くなって。さらに坊ちゃんが体が弱く、空気の綺麗なところでひっそりと暮らしたいとかで、13年前に移り住んでいらしたんだよ」
「まあ、そんなに長い期間住んでいらっしゃるのですね」
13年前という事は、当時私は3歳か。それにどうやら平民の様だし。特に問題ないだろう。
「マリアナちゃん、そんなに難しく考えなくていいのよ。マリアナちゃんには主に洗濯や掃除のお仕事をやってもらうそうだから。奥様や坊ちゃんと関わる事もない様だし」
私が考え込んでいたせいか、すかさずルーマさんが仕事内容を教えてくれた。
「わかりましたわ、それでしたら、ぜひ働かせていただきたいのですが」
「よかった。それじゃあ、早速今から、屋敷に向かいましょう。メイド長には、今朝話しをつけて来たから」
「まあ、もうお話をしてきてくださったのですね。ありがとうございます。では、よろしくお願いします」
急いで洗濯物を干し、そのままお屋敷へと向かう。新しいお家から屋敷まで、歩いて15分くらいで着いた。
すると、ルーマさんくらいの女性が対応してくれた。
「あなたがマリアナさんね。とても美しい女性だ事。それで、この屋敷で働きたいと聞いたのだけれど」
「はい、ぜひ働かせて頂けたら嬉しいです」
「分かったわ。でも、朝は早いし、夜は遅くなるけれど大丈夫?ただ朝と夜、使用人の為に奥様が馬車を出してくれているから、暗い夜道を歩く事は無いわよ」
「はい、大丈夫ですわ。ぜひよろしくお願いいたします」
メイド長にぺこりと頭を下げた。
「そう、それじゃあ、早速今日からお願いできるかしら?」
「ちょっと、さすがに今日からは厳しいだろう。マリアナちゃんも何も準備をしてきていないし」
隣ですかさずルーマさんが声を上げた。でも、せっかく雇って下さるとおっしゃってくれているのだから、期待に応えたい。
「ルーマさん、私は大丈夫ですわ。よろしくお願いします」
メイド長に頭を下げた。
「ありがとう、マリアナちゃん。改めて私はメイド長のリースよ。ちなみにこのお屋敷には、他にメイドが3人いるわ。ただ皆、私たちくらいの人間ばかりで。こんなに若い子が入ってくれると、私も嬉しいわ」
そう言ってほほ笑んでくれたメイド長。その後他のメイドたちも紹介してくれた。メイド長が話していた通り、皆私のお母様と同じくらいの歳の人ばかりで
「可愛らしい子が入ったわね。まるで娘の様だわ。マリアナちゃん、よろしくね」
そう笑顔で歓迎してくれた。
早速メイド服に着替えて、掃除や洗濯を行う。ここでは私が一番若いのだ。私が一番頑張らないと!特に高い窓ふきなどは、積極的に行う。
有難い事に、この仕事には賄いというものが出るそうで、朝昼晩、全て食事を食べさせてもらえる様だ。それも料理長が作った美味しいお料理を頂ける。
ただお仕事で来ている為、ゆっくり食べられないのは残念だが、早食いは慣れているから、特に問題ない。
とにかく早く仕事に慣れたくて、必死に働いた。皆とても親切で、私に丁寧に教えてくれるし、疲れたら休んでもいいと言ってくれる。さらに料理人たちからも
「こんなに可愛くて若い子が、この屋敷にいてくれるだけで俺たちも力がみなぎるよ」
そんな嬉しい事を言ってくれた。皆とてもいい人たちばかりで、楽しくてたまらない。
その日は夜遅くまで仕事をしたが、それでも充実した1日を送ったのだった。




