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平民になった元公爵令嬢ですが、第二王子と幸せになる為に戦います  作者: Karamimi


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第6話:ルーマさんの優しさが嬉しくてたまりません

「さあ、この家だよ。定期的に掃除はしていたのだけれど、やっぱり埃っぽいね。すぐに掃除をしないとね。ある程度の家具はそろっているから、そのまま使っていいから。足りないものは、後で買いに行こう」


「何から何まで、ありがとうございます」


「お礼を言うのはまだ早いよ。とにかく掃除からだ。待っていてくれるかい?家から掃除道具を持って来るから」


 そう言って一旦部屋から出て行ったルーマさん。その間に、部屋を見渡す。1人で暮らすには十分すぎる家だ。こんなに簡単にお家が見つかるだなんて。


「さあ、マリアナちゃん。掃除をしよう。掃除の仕方はわかるかい?」


「はい、大丈夫ですわ」


 これでも平民として暮らしていた時期があるのだ。掃除洗濯お料理、家事ならある程度出来る。どうせなら完璧に平民の生活を再現してやろうと、必死に勉強して、全てマスターしたのだ。早速掃除をスタートさせた。


「マリアナちゃんはとても手際がいいね。これなら、いつでも嫁に行けるわ」


 そう言ってルーマさんが笑っている。


「ありがとうございます。そう言って頂けると、嬉しいですわ」


 掃除が出来る貴族なんて、きっと国中探しても私くらいだろう。と言っても、もう私も貴族ではないのだけれどね。


 掃除が終わると、ルーマさんが日用品を買うため、街の中心部に連れて行ってくれた。


「ここには何でも売っているから、必要な物はすべてそろうよ。それでその…マリアナちゃんはお金はあるのかい?なければ私が出してあげてもいいのだよ」


 本当にルーマさんは優しい。すぐに私を気遣ってくれるのだ。


「ありがとうございます。お金は当分生活に困らないくらいは持っておりますので、大丈夫ですわ。ただ、すぐにでも働きたいと考えておりまして」


「そうなのかい、ちゃんと計画を立てて家を出て来たのだね。偉い子だ!仕事か、食堂もあるけれど、あそこは荒くれ者たちがたくさん来るから、マリアナちゃんにはあまりいい環境じゃないね。そうだ、いい場所がある。あそこなら、マリアナちゃんも安心して働けるだろう。一度聞いてみてあげるよ」


「それは本当ですか?ありがとうございます」


 どうやらルーマさんが、私の働き口まで斡旋してくれるそうだ。何から何まで、本当に申し訳ない。


 その後も必要な物を沢山買い込んだ。さすがに運べないので、わざわざ馬車を借りて家まで運ぶ。


「ルーマさん、今日は何から何までありがとうございました。それでこの家のお家賃は、おいくら支払えばよろしいでしょうか?」


「何を言っているんだい。こんなぼろ屋敷、タダでいいよ。元々空き家だったんだ。誰かに住んでもらえて、こっちも嬉しいんだ」


「でも、それは申し訳ないですわ。少しだけでも…」


「私にもマリアナちゃんくらいの娘がいるんだよ。家の娘はよく食べるからか、丸々太っていてね。それなのにマリアナちゃんは、随分やせ細っているじゃないか…きっと食べる事すら苦労する暮らしをしていたのだろう?マリアナちゃんを見ていたら、なんだか胸が痛くてね。だから、お節介なおばさんだと思って、私に甘えて欲しい」


 そう言ってほほ笑んでいるルーマさん。彼女の優しさに、気が付くと涙が溢れていた。


「ルーマさん、ありがとうございます…私…私…」


「随分苦労してきたのだろう。みればわかるよ。可哀そうに…」


 そう言って涙が止まらない私の背中を、ルーマさんが優しく撫でてくれる。今までこんな風に心配してくれる人なんて、誰1人としていなかった。実の父親や婚約者ですら、私の事を全く理解していなかったし、何よりも理解しようとしてくれなかった。


 それなのに、今日会ったばかりのどこの誰だか分からない私に、こんなにも親切にしてくれる人がいるだなんて…


 そう思ったら、今まで抑えていた感情が一気にあふれ出す。


「ルーマさん、今日出会ったばかりの私に、ここまで良くして頂きありがとうございます。私、嬉しくて…」


「好きなだけ泣けばいいさ。今まで溜め込んできたものを全部出して、すっきりさせてしまいな」


 私が落ち着くまで、ルーマさんがずっと背中をさすってくれた。


「少し落ち着いた様だね。さあ、もうひと頑張りだ」


 ルーマさんと一緒に、購入したものを部屋に並べていく。2人で行ったからか、あっと言う間に立派な部屋になった。


「なんて素敵な部屋なのでしょう。ルーマさんのお陰ですわ、ありがとうございます」


「私もお手伝いが出来て楽しかったよ。マリアナちゃん、疲れただろう?今日は家で晩御飯を食べていきな」


「でも…」


「家は家族が多いから少しうるさいが、許しておくれ。さあ、行こう」


 ルーマさんに連れられ隣のルーマさんのお家に向かうと、娘さんたちが既に晩御飯の準備をしてくれていた。


 そして、皆で晩御飯を頂く。


 ルーマさんの家には、2人の娘さん、旦那さんに加え、反対隣に住んでいる息子さん夫婦とお孫さん2人も一緒に食事をしているらしい。皆とてもいい人で、特に娘さんやお嫁さんとはすぐに打ち解けた。お孫さんも私に懐いてくれて、とても幸せな時間だった。


 初めて知る、家族の温かさや温もり…きっとルーマさんの人柄がいいから、こんなにも素敵な家族に恵まれているのだろう。そう感じたのだった。

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