第26話:マリーはどこに行ったんだ~ルイード視点~
すぐに母上の元に向かうと、母上もキーキー言いながら、書類仕事をしていた。
「どうしてこんなにも書類が多いのよ。あんな女の子供でも、追い出さなければよかったわ。さっさと公爵に頼んで、書類作業だけでも今までの様に、あの女にやらせましょう。とにかく公爵を呼んで!」
そう叫んでいる母上。
「母上、何を言っているのですか?そもそも、マリーに母上の仕事まで押し付けていたとは、どういう事ですか?そのせいで僕は、マリーとの時間が取れずに、寂しい思いをしていたのですよ!」
「ルイード、だってあの女の母親は、側妃や第二王子と仲良くしていたよの。そんな女の子供だもの。ちょっとくらい意地悪をしても、問題ないと思ったのよ。だから、あの女の子供に難癖をつけて無理難題を押し付けたのに、あの子、何食わぬ顔でこなすのよ。本当に腹が立つわ!」
そう言って怒っている母上。
「まさか、今まで散々マリーに色々とやらせていたのは、マリーの為ではなく、ただ気に入らないからやらせていたのですか?」
「当たり前じゃない!嫌がらせに決まっているわ。ルイードも婚約破棄を言い出すくらいあの子が嫌いだったのでしょう?なら、よかったじゃない」
そう言って笑っている母上。
「ふざけるな!僕はマリーが大好きなんだ。母上に色々と言われて辛そうにしているマリーを見て心を痛めたこともあったが、マリーの為だと思って見守っていたのに。そもそも、マリーは膨大な量の仕事をこなしていたんだぞ!この鬼!」
僕はマリーの為に、母上があえて厳しくしていると思っていた。それがただの嫌がらせだっただなんて…
「ちょっと、そんなに怒らなくてもいいじゃない。分かったわ、ルイードがあの子の事をそこまで好きなら、またあなた達の婚約を結び直すことを認めましょう。早速公爵に連絡を取りましょう。もうこの量はこなせないわ…」
そう呟く母上。僕とマリーの婚約を結び直す事には賛成だが、母上の公務をマリーにやらせるつもりはない。
「母上、悪いけれど、母上の仕事はもうマリーにはやらせないから。僕はずっとマリーとの時間が欲しかったんだ。これ以上母上のせいで、奪われるのは御免だからな!」
そう吐き捨て、すぐに部屋から出た。そしてすぐにシャラティア公爵に連絡をとり、王宮に呼び出した。
「それで、マリーは戻って来たのかい?マリーが出て行ってから、もう1週間も経っているじゃないか!」
「その…殿下、申し訳ございません。マリーはまだ帰ってきておりません。公爵家の護衛たちに密かに探させているのですが、何分王都は広くて…それにマリーの個人資産も全て引き出されておりました。もしかしたらマリーは、事前に出ていく準備をしていたのかもしれません。マリーはあの女…失礼、母親に似て頭の切れる奴だったので…」
「それじゃあ、すぐに騎士団にマリーを探してもらおう。彼女は公爵令嬢なんだ!すぐに父上に頼んで…」
「ルイード、それは出来ない。公爵とマリー嬢は既に親子の縁を切っている。平民になった女性を、騎士団を使って捜索する事は無理だ。そもそも、マリー嬢に自分の仕事を押し付け、王妃からの嫌がらせも見てみふりをしていたお前の元に、マリー嬢はもう戻りたくはないのだろう…自分で蒔いた種だ。諦めろ」
僕たちの前に現れたのは、父上だ。
「父上、どうしてそんな酷い事を言うのですか?僕はただ、寂しくてマリーに構って欲しかっただけなのです。それに公務があれほど大変だなんて、知りませんでしたし、母上の嫌がらせも、マリーの為の試練だと思っていたのです」
「何が試練だ…とにかく、もうマリー嬢は平民だ。諦めて自分で公務をしっかりこなせ。いいな」
そう言って去っていく父上。
「父上はああ言っているが、僕はマリーと結婚したいと考えている。公爵だって、自分の娘を王妃にしたいだろう?だから、どうか引き続きマリーを探して欲しい」
「もちろんです、殿下。とにかく、引き続きマリーを捜索いたします」
そう言って帰っていく公爵。僕もすぐにマリーを探す様執事に伝えたのだが…
「はぁ~、分かりました。ただ、マリー様は平民でございますので、騎士団は使えません。民間の機関にお金を払って、探してもらいましょう。もちろん、その費用は殿下のポケットマネーから支払ってくださいね」
そう言って去っていく執事。クソ、あいつ、言いたい放題言って!でも、このままマリーが見つからないと話にならない。早くマリーを見つけないと。
そう思って捜索を開始したのだが、結局3ヶ月経った今でもまだマリーは見つかっていない。一体どこに行ってしまったのだろう…




