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平民になった元公爵令嬢ですが、第二王子と幸せになる為に戦います  作者: Karamimi


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第12話:奥様やお坊ちゃまが私に構ってくれます

 何とも言えない夕食が終わった後、旦那様と一緒にお部屋に戻ってきた。


「マリアナは随分と過酷な生活を強いられていたのだね。君は確かにメイドだが、僕たちは使用人たちも家族と思っている。だからどうか、何か困った事があったら、遠慮せずに相談して欲しい。特に君は、使用人の中でもずば抜けて若い。僕とも歳が近いし、僕に出来る事は何でもするよ」


 真剣な表情でお坊ちゃまがそう伝えてくれた。


「ありがとうございます、でも私はこの街に来て、人の温もりや優しさを嫌というほど実感しております。確かに昔は辛い事も多くて、心が折れそうになった事もありますが、あの人たちからも逃げ出すことが出来ましたので…て、申し訳ございません。今言った事は、忘れて下さい」


 つい調子に乗って、ペラペラと自分の事を話してしまった。公爵令嬢だった頃は、常に気を張っていていたのに、この地に来てからは、あまりにも皆が親切にしてくれるから、ついつい気が緩んでしまうのだ。


「それなら良いのだが…そう言えば、マリアナはまだ晩御飯を食べていないよね?僕の方はもういいから、食事をしてそのまま上がっていいよ」


「でもまだお休みの準備が…」


「僕はこの後、少し勉強をして眠るから大丈夫だよ。あまり遅くなると危険だからね。ゆっくりお休み」


「ありがとうございます。では私はこれで失礼いたします」


 お言葉に甘えてそのままお坊ちゃまの部屋を後にする。そして厨房で美味しい晩御飯を頂いた後、その日は少し早めに帰る事になったのだった。




 翌日

「おはようございます、お坊ちゃま、ジャミン様」


「おはよう、マリアナ」


「キャンキャン」


 私の元に嬉しそうに駆け寄ってきたジャミン様を抱きしめる。やっぱり可愛いわね。お坊ちゃまと一緒に、朝からジャミン様の散歩に出かけた。私1人で散歩に行くのでお坊ちゃまはゆっくりして欲しいと伝えたのだが、自分も散歩がしたいからとの事で、皆で行く事にした。


 今日はせっかくなので、屋敷の裏にある小さな丘まで散歩をする事にした。丘の上に屋敷が建っていると思っていたが、まさかその裏にもまだ丘があっただなんて。


 嬉しそうに駆け回るジャミン様を、2人で見守った。


「ジャミンは本当に走るのが好きだね。あまり遠くに行くと危ないよ。戻っておいで」


 お坊ちゃまが声を掛けると、嬉しそうに戻ってくるジャミン様。本当に頭の良い方だ。おっといけない、ついジャミン様に気を取られてしまったわ。そろそろ朝食の時間だ。


「お坊ちゃま、そろそろ朝食のお時間ですわ」


「そうだね、そろそろ戻ろうか。ジャミンもお腹を空かせているだろうし」


 お坊ちゃまと一緒にお部屋に戻ると、すぐにジャミン様の食事を準備する。そして、急いで食堂へと向かった。昨日みたいに、奥様をお待たせする訳にはいかないものね。そう思ったのだが…既に奥様が待っていた。


 またやってしまったわ。もっと早く、お坊ちゃまを連れてこないといけないのね。ひとり反省をする。そして食後は、お坊ちゃまはお勉強と剣の稽古を行うとの事で、私は自由時間…という訳ではなく、今のうちにお坊ちゃまのお部屋の掃除を行う。


 もちろん、ジャミン様のベッドも綺麗にした。ただ、私が掃除をしている間、遊んで欲しいジャミン様にちょこちょこ邪魔されて中々進まなかったが…これは仕方がない事。それでも、我ながらピカピカだ。


 掃除が終わると、洗濯を手伝う。


「マリアナちゃんは本当に働き者だね。マリアナちゃんが来てから、仕事が一気にはかどって助かるよ」


 いつもそう言って私を褒めてくれる先輩メイドたちのお陰で、増々私のスピードはアップしていく。あっという間に洗濯が終わると、今度は別の部屋の掃除を手伝おうとした時だった。


「マリアナさん、奥様がお呼びよ」


「えっ、奥様がですか?」


 メイド長と一緒に、奥様の元へと向かう。もしかして、私がお坊ちゃまの専属メイドになった事が気に入らないのかしら?そうよね、どこの馬の骨かもわからない私に、大切な息子を近づかせたくはないわよね。


 もしかして、私、クビ?せっかく皆とも仲良くなって、仕事も楽しくなってきたのに…でも、クビなら仕方がない。ルーマさんに頼んで、食堂のお仕事を紹介してもらおう。そんな事を考えていると、なぜか中庭へとやって来た。


 そこには美しいお花たちに囲まれ、優美にお茶を飲んでいる奥様の姿が。


「奥様、マリアナを連れてきました」


「ありがとう。マリアナちゃん、呼び出してごめんね。昨日あなたが、エドワードとお茶を楽しんだと聞いて、私もあなたとお茶をしたくなったの」


 そう言ってほほ笑む奥様。どうやらお坊ちゃまの名前はエドワード様という様だ。て、今はそんな事はどうでもいいわよね。


「あの、私は…」


「さあ、座って。一緒にお茶を飲みましょう」


 笑顔で私を促す奥様。ふとメイド長の方を見ると、早く座ってあげて!と言わんばかりに、目で訴えている。私…本当にメイド失格ね。そう思いながらも


「それでは失礼いたします」


 と断りを入れ、イスに座った。


「さあ、お茶とお菓子を食べて。このお菓子、王都から取り寄せたのよ。とても美味しいから」


 そう言ってほほ笑んでくれる奥様。早速なので、お茶とお菓子を頂いた。この味は…


 お菓子を食べた途端、どうしようもなく泣きたくなった。このお菓子…亡くなったお母様が大好きだったお菓子だわ。お母様が亡くなってからは、一度も食べる機会がなかったのだ。まさかこんな形で食べる事が出来るだなんて…


「どう?美味しいお菓子でしょう?このお菓子は私の大切な人が、大好きだったお菓子なの」


 奥様の大切な人が大好きだったお菓子…このお菓子は色々な人の心に残っているお菓子なのね。


「とても美味しいですわ。実はこのお菓子、亡くなった私の母も好きだったのです。母が亡くなってからは食べる機会がありませんでしたが、まさか今日頂けるなんて…」


「そう、あなたのお母様もお好きだったのね…」


 なぜか奥様が切なそうに微笑んだ。


「申し訳ございません、暗い話をしてしまいまして」


「いいのよ、さあ、今日は女同士、ゆっくりお茶にしましょう。そうだわ、リースも一緒にどう?」


「そうですわね、私も参加させていただきますわ」


 当たり前の様に私と奥様の間に座ったメイド長。どうやらこのお屋敷では、本当にメイドと主人が一緒にお茶をする様だ。メイド長の姿を見た私もなんだか吹っ切れて、その後は女3人で話に花を咲かせたのだった。

次回、エドワード視点です。

よろしくお願いします。


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