第94話
第94話です。
山の散策をして他に薬草などが
無いかと下山しました。
何が採れるか?
魔物はどんな物が居るのか?
では、楽しんでください。
山から出ると木が多く生えている草原に着いた。
「ここはまたいい感じだな。
薬草が沢山、採れそうだ。《空蝉》どうだ?」
『えっと〜。
女郎花と藤袴と
桔梗がここに。それと、あそこに沼があるでしょ?
水面に菱が密集しているよ。』
《空蝉》は地図にランプを点す。
「中々、あるではないか。
では、薬草採取をするか。」
慶次達はあちこちの薬草を採りながら沼に近づく。
『あ、沼にケルガザルとティターンがいるよ。
ケルガザルは硬いから打撃が効かないよ。
そうだね。いつもの氷漬けが良いかも。
素材を傷付けない様にするにはそれが良いと思う。
甲羅が高値で売れるから。
ティターンは陸に揚げちゃう?
肉が美味しいんだよね。淡白な白身だけどね。』
《空蝉》に言われて慶次はエルネーゼに
「エルネーゼ、
沼にはケルガザルとティターンがおるらしい。
最初に沼から陸に揚げるか?」
「そんな事が可能ですか?」
「出来るぞ。魔法はイメージだろ?」
慶次はニヤリと笑う。
「陸に揚げて全て氷漬けにすれば楽であろう?」
「そうですね。え?えっと…。」
エルネーゼは慶次が言った意味が理解出来ていない。
《空蝉》が
『あぁ、そうだね。そうする?』
と慶次に話す。慶次は頷き、沼の菱を採っていく。
ある程度、採取したら
「ゲイル」
と詠唱する。
風が何本もの糸の様に水面に
向かって吹いて突き刺さる。
水面が激しく揺れ、ケルガザルとティターンが
大量に浮き上がってきた。
ケルガザル達が暴れるので
岸が水でベチャベチャになった。
慶次は気にせずにケルガザル達を陸に揚げた。
ティターンは苦しそうに暴れ回っている。
ケルガザルは慌てて沼に戻ろうとしている。
慶次は続けて
「フロストランス」
「ゲイル」
と詠唱する。水が一瞬で凍った。
『慶次、最近凍らすの上手になったよね。』
『そうだな。
最近、魔物狩りにこの魔法しか
使うておらん気がするな。』
『まぁ、体を傷付けない様にするには
凍らすのが一番だからね。氷漬けにすれば
簡単に殺せるし。』
「しかし、獲り過ぎたな。半分は返すか。」
「ゲイル」
慶次は風魔法で半分を温めて戻す。
ティターンとケルガザルが驚いて固まっている。
ティターンは風で沼に戻す。
ケルガザルは自分の足で慌てて沼に戻って行った。
その様子をエルネーゼは驚いて見る。
「慶次?これはどういう事なの?
私は何を見せられたの?」
慶次はニヤリと笑って
「いや、獲り過ぎたなと思うてな。
半分は帰ってもらった。」
「いや、そうじゃなくて。
今の魔法は何?そんな事、誰も出来ないわよ。」
慶次は不思議そうに
「俺の魔法を見ると誰もがそう言うな。
そんなに難しい事では無いぞ。
魔法はイメージだろ?」
「確かにイメージですが、魔力が持ちません。
しかも、同時に2つも発動出来ませんよ。」
「ん?
そう言うたら、カインも
そう言うておった気がするな。
まぁ、良い魔物が手に入ったではないか。
エルネーゼの報酬分もこれで大丈夫だろ?」
「え?あ、まぁ。そうですけど。」
(何なの、この人。
え?ゼノンよりも強いのではないかしら?
怖すぎるわ。
慶次の居た世界って
慶次みたいな人がたくさん居るのかしら?)
驚いて固まってしまったエルネーゼを見て
慶次は笑う。
「カインと同じだな。
あやつも俺の魔法を見て固まりよったぞ。
そんなに珍しい事なのか。なるほど。」
慶次は手に入れた魔物と
菱をアイテムBOXに入れた。
「さて、ここはのんびり歩くか。」
慶次達は草原をのんびり歩いて行く。
《風魔》はヴェンの隣から離れない。
魔物を探して歩いているとは思えない光景だった。
(こういうのも良いもんだな。
ここに危険が潜んでおるとは到底、思えん。)
慶次はキセルを燻らせながらのんびりと空を見る。
空には雲が流れている。
遠くの雲は少し灰色がかっていた。
「ふむ。雨が来るな。まだ、先の様だが。」
慶次が呟く。エルネーゼが
「雨が降りますか?」
と驚く。空を見渡し
「あの雲がそうですか?」
と灰色の雲を指差す。
「そうだ。
風がこちらへ向かって吹いているのが、
雲の流れで分かるであろう?
風の強さからここにあの雲が来るのが
申の刻(15時〜17時)ぐらいだろうな。
エルネーゼ、
ここから城まではどれくらいで帰れる?」
「そうですね。
ヴェンに乗れば30分ぐらいですね。」
「なるほど。では、もう少しは歩けるな。
《空蝉》時間の管理もしておいてくれ。
雨が降る前には帰りたい。」
『分かった。じゃ、14時半ぐらいか。
その時間になったら言うね。』
『うむ。』
「俺達は暫く歩くか。
魔物が居れば先ずは話して情報収集だな。」
「そうですね。とりあえず、歩きましょう。」
草原を当ても無く歩いて行く。
風が心地よく吹いている。
《風月》が
『ご主人様、その先に何か居りますわよ。』
『慶次、《風月》の記した場所に印を点けたよ。』
《空蝉》は地図にランプを点す。
かなり前方にランプが点る。
「エルネーゼ、何かが居る様だ。」
『《風月》何が居るか、見に行ってくれ。』
《風月》は目的地を目指して飛んで行く。
慶次達はその後ろを歩いて着いて行く。
《風月》が戻って来た。
『ご主人様、
あの先にルファゼルの群れが居りましたわ。
リーダーと見られるモノに声はかけてきましたわ。』
「エルネーゼ、ルファゼルの群れだそうだ。
話を聞きに行くか。」
「そうですね。行きましょう。」
慶次達はルファゼルの群れのいる場所へ歩いて行く。
《風月》が群れの上を旋回している。
慶次達は群れの前に到着した。
《松風》がルファゼルのリーダーの傍に行く。
2匹で話をしている。
『殿。ルファゼルの群れは
この先の山から獲物を求めて来たらしいです。
凶暴化した魔物には
会った事が無いと話しております。』
慶次は
『会った事が無いとな?』
《松風》はリーダーに話をする。
『殿。そうらしいです。
ルファゼルは行動範囲が広いので、
ここら辺には居ないと思います。』
『ふむ。なるほど。
ルファゼルは凶暴化した魔物に
出会った事は無いのか?』
『はい、無いそうです。
何だか狐に抓まれた様ですね。
確かに存在しているのに
ここまで行動範囲の広いルファゼルの耳に
凶暴化した魔物の情報が入らないなどと。』
『そうだな。おぉ、褒美をやらんとな。
どれ、これをやろう。ルファゼルは魚は喰わんか?』
慶次はアイテムBOXからティターンを取り出した。
それを見たルファゼルは大喜びしている。
『大丈夫そうだな。ちょっと待ってくれ。』
慶次は解凍してルファゼルに
ティターンを4匹渡してやる。
『足らんかもしれんが、これで勘弁してくれ。
情報は助かった。』
『殿。礼を言うております。』
貰ったティターンを咥えて
ルファゼルは草原から山へ帰って行った。
その光景を見てエルネーゼは驚く。
「慶次、何が起こったの?
ルファゼルがティターンを咥えて
帰って行ったけど。」
「おぉ、忘れとった。
ルファゼルに凶暴化した魔物の話を聞いておった。
教えてもらった礼に褒美として
ティターンを渡してやった。
しかし、厄介な事になったぞ。
ルファゼルの群れでは
凶暴化した魔物に出会った事が無いと言われたわ。」
「え?本当ですか?変ですね。
見かけた情報が上がってきているのに
全く見た事が無いなんて。」
「そうだな。
レオナ殿に話した方が良さそうな案件だな。
少し早いが帰るとするか。」
「そうですね。帰りましょうか。」
慶次達はルファゼルからの情報を
報告する為に城へ戻った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
薬草には秋の七草を揃えてみました。
四季それぞれの七草があるみたいですね。
ルファゼルの群れとも出会いました。
謎が一つ増えましたね。
次回はその謎を報告しに行きます。
次回を楽しみにしてください。




