第92話
第92話です。
山奥で薬草やキノコの採取を再開します。
山の主からも依頼を受けましたね。
さて、どうなりますか。
では、楽しんでください。
『《空蝉》この状況をどう読む?』
『そうだね。
闇雲に歩いても体力を消耗するだけだから
出来るだけ避けたいね。
ケルヴァーンのお願いもあるから
色々と歩きたいけど。
まぁ、今は薬草採取をしているから
闇雲には歩くんだけどね。』
『俺達が歩く事によって標的になるのも一興だな。』
『慶次らしいね。
じゃ、警戒モードを発動しておくよ。
どんな魔物にも反応する様にしておくから、
安心して。』
「エルネーゼ、疲れてはおらんか?
ヴェンに乗せてもらっても
ヴェンが低いから大丈夫だと思うぞ。」
ヴェンも頷く。
エルネーゼはヴェンの上にまたがる。
『《風魔》は体力作りのために歩け。
俺の傍からは離れん様にな。』
慶次は《風魔》を抱き上げて下へ降ろす。
『殿。分かりました。僕、頑張って強くなる』
慶次達は薬草を探しながら山奥へ入って行く。
「今日はやけに静かね。
魔物も動物も居ないなんて。」
「ふむ。《空蝉》どうだ?」
「何にも居ないね。
薬草はあるから困らないけど、
動物も居ないなんて変だね。」
慶次達は周りを見渡したその時
『ご主人様、アンカリスの大群が来ますわ。
何かに追われているみたいですの。』
『アンカリスは水属性の魔法が効かないよ。
火属性を使うと良いんだけど、
羽も身も良い素材だから、氷漬けにしちゃう?』
「エルネーゼ、
アンカリスの大群が何かに追われて来るそうだ。
ヴェンは空を飛べるか?
《風月》話はどうだ?出来るか?」
「はい。ヴェンが自分で風魔法を使います。」
「なんと、風だけで飛べるのか。
《松風》教えてもらってくれ。
《風魔》ヴェンの戦い方、魔法の使い方、
ちゃんと見ておけ。お前はここに来い。」
慶次は《風魔》を《松風》の背中に乗せた。
《松風》はヴェンと話をして
『殿。風魔法を詠唱するだけだそうです。』
『ふむ。という事は。』
慶次はイメージを膨らませる。
風に乗る《松風》のイメージを膨らませる。
同時に自分も出来るかと思ったら試したくなった。
『《松風》お主は《風魔》を守ってやってくれよ。
一緒に空に行くがちょっと試したい事がある。』
『分かりました。《風魔》しっかり乗ってくれよ。』
『分かりました。
ここに乗ってしっかり掴まっとく。』
慶次は足元に風を起こす。フワリと体が浮く。
『《空蝉》サポートしてくれ。俺以外にもな。』
『慶次?何するの?まぁ、分かった。
みんなと話す様にする。
ヴェンはどうする?
多分、今までの会話も
全部、聞こえていたとは思うけどね。』
『ん?《空蝉》の声はヴェンに届くか?
届くならそうしてやってくれ。』
《空蝉》はヴェンに話しかける。
ヴェンの耳がピクピクと動く。
『慶次、大丈夫だよ。やっぱり聞こえてたみたい。』
『そうか。では、情報共有してやってくれ。
その方が後手にならないからな。』
慶次達は空に浮かび
アンカリスの群れに向かって飛んで行く。
《風月》が
『ご主人様、アンカリスは
気が動転していて上手く話せませんわ。
どうしましょうか?』
「そうだな。落ち着かせるのも面倒だな。やるか。」
慶次はアンカリスの前に立つ。
アンカリスは突然現れた慶次達に戸惑う。
群れの列が乱れる。
「エルネーゼ、お主の属性はなんだ?」
「私は水属性です。」
「では、アンカリスの足元に水を貯められるか?
俺が凍らせる。」
「分かりました。やってみます。」
エルネーゼは
「フロストランス」
と詠唱する。アンカリスの足が水で満たされる。
アンカリスは突然の水溜まりに
飛ぶのを止めて羽を閉じた。それを見た慶次は
「ゲイル」
と詠唱する。ピキピキと音を立てて水が凍っていく。
アンカリスが慌てて飛び立とうとするが、
遅かった。動けずに羽ばたきだけが虚しく響く。
そして、そのまま墜落した。
大きな音を立ててアンカリスの群れの氷漬けが
地面に落ちた。
慶次はそのまま急降下し《松風》に
『《松風》この状態でアンカリスと話せるか?』
『殿。無理ですね。
完全にパニックになっております。』
『そうか。空を飛ぶモノの情報は欲しかったがな。
致し方あるまい。』
慶次は《風牙》を一振りし
アンカリスの首を落とした。
そこへ冒険者が慌てて駆け寄る。
「それは俺達の獲物…。」
言いかけて慶次と空の上のエルネーゼを見て
黙ってしまった。慶次はエルネーゼに
「こやつらの敵は冒険者だったみたいだな。
どうする?」
エルネーゼは冒険者達の顔を見て
「この者達は初心者に近い者達です。
渡してやりましょう。」
慶次は頷いて
「そうか。では、そのまま渡してやろう。」
エルネーゼが地面に降りて
「アンカリスを倒すには
まだまだ経験が足らないと思うけど、
今日は特別に渡してあげる。
このままギルドに持って帰って鑑定を受けなさい。
自分達の手柄には出来ないと思うけどね。
貴方達では無理だと分かってしまうから。」
それを聞いた冒険者が
「す、すまない。ありがとう。
ちゃんとギルドで報告する。」
と氷漬けのアンカリスを持って
いそいそと帰って行った。慶次は笑って
「エルネーゼの報酬は無くなるが良いのか?
この世界でもそんな感情を持っていては
生きていけまい?」
エルネーゼは笑って
「今日だけですよ。
慶次に良い格好を見せたいんです。」
と話す。慶次は笑って
「そういうものなのか?
では、報酬が貰える様に俺達も頑張るか。」
と答えた。
《空蝉》が
『あ、自然薯がある。行者大蒜もある。
これは良い物が手に入ったよ。』
慶次は《空蝉》に言われた場所で
自然薯をそれから行者大蒜も手に入れた。
エルネーゼが
「それは滋養強壮に良い物ですね。
冒険者達に重宝されています。」
「そうか。
それなら商人ギルドでも喜んでくれるな。
薬草と言うても色々とあるからな。
この山は本当に良い物が自生しているから驚いたな。
もう少し秋が深まれば
松茸も手に入るからな。楽しみで仕方ないな。」
慶次の嬉しそうな顔に
エルネーゼも自然と笑みが溢れる。
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は冒険者の獲物を横取りしそうになりました。
凶暴化した魔物に重点を置くと
やはり通常いる魔物は
話し相手かエルネーゼの報酬目当てになりますね、
次回は山を降ります。
では、次回をお楽しみにしてください。




