第76話
第76話です。
冒険者ギルドに帰って来ました。
報告をギルドマスターにします。
では、楽しんでください。
慶次達は大通りをギルドへ歩いて行った。
『慶次、さっき風魔法使ったでしょ。』
『分かったか?ちょっと試したかったのだ。』
《空蝉》は
『危ない橋を渡るね〜。
失敗したらとんでもない事に
なっていたかもしれないのに。』
慶次は笑って
『そうか?存外、うまくいくもんだ。
クナイの時も上手くできていただろ?
駄目なら別の手を考えれば良いだけだ。』
《空蝉》は大袈裟にため息をつく。
『え?あの時も魔法を使ったの?
慶次ってこっちがレベル上げて
追いついたって思っても、
絶対にその先に行くよね。』
『まぁ、戦い方は慣れておるからな。
しかし、この会話も実際には
声に出しておらんのに、話せるだろ?
それなのにあの時の魔法詠唱が《空蝉》に
聞かれていなかったのは謎よな。』
『本当だね。なんでだろ?』
そんな話をしながら歩いて行く。
大通りは帰って来た冒険者でごった返していた。
しかし、慶次達が歩くと
冒険者達が道の端へ避けて行く。
まるで、モーセの十戒の様に道が開けて行く。
慶次は全く気にせず歩く。
その後ろから《松風》は頭を上げて
自分の姿を冒険者に見せつける。
その頭に《風月》が胸を張り乗っている。
普通に見れば滑稽に見えるが、
慶次の契約獣だと分かっている冒険者達は
その姿が神々しく見えた。
《風魔》も《松風》の真似をして
《松風》の背中で胸を張る。
それを見た慶次は笑って
『今はそれで良いが、
自分の強さを過信しては駄目だからな。』
と《風魔》に話す。《風魔》は
『はい、殿。分かった。』
と笑顔で答える。《松風》が
『分かったでは無い。分かりました。だ。』
と《風魔》に教える。
『ふふッ。《松風》はまるで父親だな。』
と慶次が笑う。《松風》は
『当然です、殿。
今から、きちんと教えないといけません。』
『分かりました。僕、ちゃんと言う事聞くよ。
ママも人の話は
ちゃんと聞きなさいって言ってたから。』
と《風魔》は胸を張り、答える。
それを見た慶次は笑って《風魔》の頭を撫でた。
『そうだな。母の教えは大切だぞ。
さて、受け付けで手続きをするか。』
ギルド内は帰って来た冒険者で溢れかえっていた。
慶次達が中に入ると話し声がピタリと止んだ。
みんな遠巻きに慶次達を見ている。
『ご主人様、いつもこんな感じの歓迎ですか?
少し物足りませんわ。
歓声や拍手はありませんの?』
《松風》の頭の上で《風月》は1人で話している。
冒険者の1人が、
「おい、あのカラス。
ワタリガラスじゃないか?」
と隣の冒険者に話す。
「え?あの神獣のか?いや、それは無いだろ。」
それを聞いた《風月》は
その冒険者の頭上に行き
くちばしで頭を突く。
「うゎッ。痛いじゃないか。止めてくれ。」
それを見た慶次は
「おぉ、すまん。《風月》こっちへ戻って来い。
お主がワタリガラスでは無いと
言うたから怒っておる。」
と話す。
「え?すみません。」
冒険者は頭を下げる。
《風月》はブツブツ文句を言いながら
《松風》の頭の上に止まった。
『《風月》私の頭の上に乗るのは止めてくれ。
恥ずかしい。』
『あら?ごめんなさいね。
でも、ここが一番安定しているのよね。
《風魔》では小さすぎるし、
ご主人様の肩なんか乗れるわけないでしょ。
しょうがないですわ。
《風魔》もそう思うでしょう?
ここが一番止まりやすいわよね。』
『そうなの?僕は《松風》の背中が一番好きだよ。
ママの背中みたい。』
《風魔》は《松風》の背中に鼻を押し付ける。
慶次は
『まぁ、確かに。
《松風》の頭の上ではしまらんな。
俺の肩に乗れば良い。その方が格好が付く。』
慶次は自分の方をポンポンと叩いた。
『え?ご主人様!それは…。』
お喋りな《風月》が
モジモジしているのを見て全員が笑う。
『まぁ、その方が威厳もつくだろ。』
そう言われて《風月》は慶次の肩に止まった。
『そのかわり、喋りは控えめにな。
耳元で鳴かれると五月蝿くて敵わん。』
喋りかけて《風月》はくちばしを閉じた。
受け付けから声がかかる。
「マエダ様、お帰りなさいませ。
マスターの部屋に行ってもらえますか?
報告があれば聞きたいと。」
「分かった。部屋を伺おう。
あ、それから採取した薬草とキノコだ。
鑑定を頼む。ここに置いても良いか?」
「はい、大丈夫ですよ。
持って帰って来ていただいた物は
ここで渡してください。
鑑定を商人ギルドに依頼しますので。」
慶次はアイテムBOXから
薬草とキノコを取り出し、
カウンターに置いた。
カウンターが薬草などで一杯になった。
「すまん、夢中になり過ぎた。」
慶次は笑って話す。
「農民にとっては自生したキノコは
貴重な食料だが、
武士にとってもかなりの高級品なんだ。
それが見つかったと思うたら
手が止まらなくなってしもうた。」
それを聞いたレイシアは笑って
「分かりました。
お帰りになる頃には
ある程度の鑑定が済む様にさせていただきます。
あら、薬草も持って帰って頂いたのですね。
色々と作れるので助かります。」
「うむ。では、よろしく頼む。」
いつも読んでいただきありがとうございます。
ギルドの中では慶次達は
他の冒険者に別格と思われていますよね。
帝国の外では新参者や新米と言われ
帝国内ではAランク冒険者よりも
強いと思われている感じです。
このアンバランスが、
楽しいと私自身は思っています。
次回はマスターの部屋に向かいます。
では、次回を楽しみにしてください。




