第57話
第57話です。
今回は食堂での最後の晩餐です。
最後とは大袈裟かもしれませんが、
ここから慶次は武士から
冒険者へと変貌します。
では、楽しんで読んでください。
慶次とカティアは2人で食堂に入った。
入った瞬間、みんなが一斉に慶次の方を見る。
「あ、マエダ様。お帰りなさい。
今日の活躍も聞きましたよ。
明日からは寂しくなりますけど、
時々、ここも使ってくださいね。」
みんなが口々に慶次を歓迎した。
ヴァレンがカウンターまで寄って来て
「マエダ様、お帰りなさい。
今日はシルヴァディア王国の料理を用意しました。
マエダ様のお国の味が堪能できますよ。
この間の様に床に座って食べられますか?」
と聞く。慶次は嬉しそうに
「では、そうするか。
まぁ、俺はここを出ると言っても
朝の鍛錬で修練場には通う。
今宵はここを出ていく
カティアとミレーナの宴だな。」
と話す。
慶次とカティアはミレーナを見つけて声をかける。
「カティアもだが、ミレーナ。
お主達が今日は主役ぞ。」
ミレーナも恥ずかしそうにカティアの横に並ぶ。
「ソルメラの街で出会うかもしれんが、
そうそう機会も無いだろう?
みんなで楽しく食べるか。」
慶次は床に座り酒を呑む。
料理人達も料理を全て並べて話に入って来た。
その騒ぎを聞きつけた
アシュレインが食堂に顔を出す。
「おぉ、マエダ様。
今日はお疲れ様でしたな。
魔物の件は冒険者ギルドからも
商人ギルドからも入っております。
これからの活躍も期待しております。
今日はみんなで楽しんでくれ。」
と部屋を出ようとした。慶次が
「アシュレイン殿も一緒にどうだ?
もう、食べ終わったのか?」
と尋ねる。アシュレインが慌てて
「いやいや、私が居ればみんなが楽しめまい。」
慶次が笑って
「そんな事はあるまい。
無礼講といこうではないか。」
と言う。
「それではお言葉に甘えるかな。」
アシュレインは照れ臭そうに
慶次の横に座った。みんなの顔が輝いた。
それをみてヴァレンが
「陛下は昔、こんな風にみんなで
食事をされるのが好きだった。
いつの間にか出来なくなってしまわれた。」
と独り言の様に呟く。
食堂に入ってきた人達は
何の疑いもなく床に座る。
噂を聞きつけ
いつもなら食堂を使用しない
グレゴールやユリウスも入って来て、
みんなの輪に当たり前の様に入る。
しばらくすると
ドアが開き当然の様な顔をした
セラフェナが入って来た。
横にはレオニスが照れ臭そうに
皇女アウレリアの手を引き入ってくる。
その後ろには第2皇子のアルヤリオと
第3皇子のアウレリアが入ってくる。
その姿に食堂の人々は驚いた。
普段なら絶対にあり得ない光景だからだ。
「皆さんが、楽しくお食事をされていると
聞きましたの。
マエダ様は冒険者として外に出る機会が
増えるとも聞きましたので、
お茶会は無理だと思いましたの。
食堂の話を聞きましたので、
今日は子供達全員を連れて来ましたの。
皆さんの中に入れていただいてもよろしいかしら?」
アシュレインはは驚いて立ち上がる。
「君も参加するのか?」
「昔はよくみんなでこうしてここで
話をしながら食事をしておりましたでしょう?
最近は全くしなくなり、
寂しく思っておりましたのよ。
こうして皆さんと以前の様に食事が出来るなんて、
夢にも思いませんでしたわ。
これはマエダ様のおかげですわね。」
アシュレインは恥ずかしそうに
「昔は良く街も2人で歩いたな。
マエダ様、妻のセラフェナと皇太子のレオニスは
会っておられると思いますが、
他の子達を紹介させていただきます。
第2皇子のアルヤリオと第3皇子のアウレリア、
そして一番下の皇女のアウレリアです。」
と話す。セラフェナは嬉しそうに笑い
「マエダ様、今後も
子供達共々よろしくお願いしますね。
そうでしたね。懐かしい。
あの頃は貴方は皇太子でしたから
自由に街の中を歩けましたわね。
マエダ様、今夜は楽しみにしております。」
レオニスが
「母上?俺は…。」
と聞こうとし、セラフェナに睨まれ
「私はどこに座ればよろしいですか。」
と言いなおす。
「マエダ様の隣が空いていますよ。」
セラフェナは涼しい顔で話す。
それを聞いたレオニスは
困った顔をする。
対照的にアウレリアはパッと顔を赤らめて
「母様、マエダ様のお隣りに
私が座ってもよろしいですか?」
と聞く。セラフェナは笑いながら
「その様な事を言うとマエダ様が困られましてよ。
嫌とは言えないでしょう。
そういう話し方はしては駄目よ。
マエダ様、申し訳ありません。
強制になってしまうのでしょうが、
よろしいですか?」
慶次は笑いながら
「大丈夫だ。姫、隣に座るか?
俺の膝の上でも良いぞ。」
ウレリアは満面の笑顔で
「本当に良いの?嬉しい。
私ね、マエダ様とお会いしたかったの。
城の中はいつも誰かがマエダ様の話をしていたのよ。
私ね、どんな方かしらって思っていたのよ。
お会いするのが楽しみだったの。」
と慶次の膝の上にチョコンと座る。
レオニスは青ざめて
「おい、止めろよ。」
と制するが遅かった。
ウレリアはここは譲らないという顔で
「兄様は好きな場所に座れば良いじゃない。
私はここが良いのよ。」
と返す。レオニスはため息をつき慶次の隣に座る。
それを見ていたアルヤリオとフェリクスも
「父様、僕達もマエダ様の隣がいいです。」
とアシュレインに頼む。アシュレインは笑いながら
「マエダ様、騒がしくて申し訳ない。
それなら2人とも
マエダ様の隣に座らせて貰えば良い。」
アシュレインと慶次の間にアルヤリオが
レオニスと慶次の間に
フェリクスが嬉しそうに割り込んだ。
食堂の空気が今まで以上に和んだ。
料理は慶次の好きな和食で彩られ、
色々な話に花が咲き宴会は夜遅くまで続いた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
明日からいよいよ慶次は
用意してもらった家に引っ越しします。
冒険者・前田慶次の誕生です。
次回は引っ越し当日の朝の鍛錬です。
では、次回を楽しみにしてください。




