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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第56話

第56話です。


いよいよ、明日は引っ越しです。

引っ越し準備は万全です。


では、楽しんで読んでください。


ソルメラの門へ行くと

「あ、マエダ様。お帰りなさい。

今日の活躍もお聞きしましたよ。」

と声をかけられた。

女性が嬉しそうに立っていた。

「お、今帰った。俺は前田慶次だ。そなたは?」

「あ、すみません。

私は第2兵団所属の

カタリナ ノルベラと申します。」

「そうか。よろしく頼む。」

慶次は身分証を提示し、

プランタンシアへ入っていった。

門の向こう側には昼と同じくヴェルダーが居た。

「あ、マエダ様。お帰りなさい。

武勇伝、聞きましたよ。

陛下も嬉しそうにされておられたと聞きました。」

「おぉ、今帰った。そうか?それなら安心だ。

俺の仕事をちゃんとしていると実感するな。」

慶次はそのまま城へ向かった。

城に入るとカティアが待っていた。

「カティア?この様な場所でどうした?」

「あ、ケイジ様。お帰りなさい。

魔物に遭遇したと聞いて心配で。

それから、グレゴール様が

一緒に部屋へ来る様にと。」

「あぁ。何、大丈夫だ。

《松風》もおったしな。

グレゴール殿に執事を紹介すると

言われておったからな。

カティアにも会わせたいのであろう。」

《松風》が誇らしげに胸を張る。

カティアは《松風》の鼻先をポンポンと叩いて

「そうですね。《松風》がいるから大丈夫ですよね。

《松風》、ケイジ様を護ってね。」

《松風》は嬉しそうに鳴いた。

「《松風》明日からは一緒に住めるからな。

明日の朝、朝食あさげが終わったら

迎えにくる。」

慶次は《松風》を馬舎に預けて

カティアと共にグレゴールの待つ部屋に向かった。

カティアがドアをノックする。

「どうぞ。」

グレゴールの声がする。

部屋に入ると3人の男女が立っていた。

「待たせたか?すまんな。」

慶次がグレゴールに声をかけた。

「大丈夫ですよ。

先程までこの3人にマエダ様の家の話を

していたところです。

まずは執事のオズワルド フェルナーク。

料理人のマルティナ エルシェ。

厩務員のローディン ファルクです。

明日からはこの3人がカティアとミレーナと

一緒にマエダ様の家で生活をしますので、

よろしくお願いします。」

「前田慶次だ。よろしく頼む。

俺は1日殆ど家に居らんから

みんなで仲良くやってくれ。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

3人は頭を下げて挨拶をした。

「明日はマエダ様の新居への引っ越しになります。

家に入って生活してみて不便な事があれば、

遠慮なく私に報告してください。

その都度改善いたします。」

「そうか?まぁ、俺よりもカティアを含めた

他の者達が不便かどうか決めてくれ。

俺はそこまで気にならないからな。

カティア、お前がきちんと

みんなの事を見て決めてくれ。」

慶次がカティアに言う。

「え?私ですか?

いや、その役目は執事のオズワルド様の役目では?」

カティアが焦って話す。

「いやいや、カティア。

マエダ様に一番長く使えているのは君だからな。

君の意見はマエダ様の意見として聞くつもりだ。」

オズワルドの提案にカティアは益々縮こまる。

慶次は笑いながら、カティアに言う。

「前も言うた通り俺は家に殆ど居ない。

カティアが好きにしてくれるのが

一番良いと思うんだがな。

家の掃除や洗濯はカティア達の仕事であろう?

執事にも料理人にも

一つの場所でしか仕事をしないだろ?

カティア達は家の全てを移動するからな。

それにそれぞれの役目がある故に

この家を取り仕切るのは

カティア達の2人だと思うてくれ。」

しばらく考えてカティアは

「朝食はみんなで食べたいです。

ケイジ様が居られない昼食と夕食も 

みんなで食べたいです。

台所は3人で入っても狭くない様に

なってると嬉しいです。」

カティアの願いにみんなが微笑み、慶次は頷く。

「それが良い。

俺はギルドから凶暴化した魔物の調査を依頼された。

朝から城を出れば夕方まで帰らん。

夕方は報告が済めばで酒を飲んで帰るからな。

朝はみんなで必ず顔を合わせよう。

《松風》も俺と一緒だから、

そのつもりで世話をしてやってくれ。」

そこまで話し終えるとグレゴールが慶次に

「陛下がマエダ様にお会いしたいと。

今日のスライムの件で。」

と伝えた。

「そうか。分かった。

では、みんな明日からよろしく頼む。

明日の夕食ゆうげはみんなで食べようか。」

と慶次が言い、カティアの顔が明るくなった。

「そうですね。

マルティナさん。一緒に作っても良いですか?」

マルティナは笑いながら

「そうね。

一緒に作ってマエダ様のお帰りを待ちましょう。

マエダ様、初めまして。

わたしの祖国はシルヴァディアなのです。

マエダ様のお国の味も

料理長からお聞きしましたので作れます。

これからよろしくお願いします。」

慶次は嬉しそうに

「そうなのか。

では、朝食あさげにはご飯と味噌汁を

用意してくれ。これは楽しみだ。」

と話す。オズワルドも

「私は執事として働きます。

オズワルド フェルナークです。

これからはマエダ様とお城との

連絡役としてお仕えしますので、

何なりとお申し付けください。

家は安心してお任せください。」

と頭を下げた。

厩務員のローディンは恥ずかしそうに頭を下げた。

顔が真っ赤になった。

オズワルドが

「ローディンはかなりの人見知りでして。

私の家で厩務員として働いてくれていましたが、

馬が居なくなり本人がとても困っていたのです。

知らない人が怖いと言われまして。

その時、ちょうどマエダ様の家の

執事の話と馬を所有されるから

厩務員を探していると聞きまして。」

「なるほど、オズワルドは家に誰も居らんのか?

ここに住み込みという事になれば

家族が困らんのか?」

「ご心配していただき、ありがとうございます。

我が家はちょうど代が変わり

息子夫婦が伯爵家を継いでおります。

妻は去年、亡くなりました。

息子は一緒に住もうと言ってはくれたのですが、

何分にもローディンが知らない人間を怖がり

仕事にならなくなり解雇する話が出た時に

ここの話をいただきローディンに話しました。」

オズワルドはローディンを見る。

ローディンは顔を益々真っ赤にし俯く。

「私の馬が引退し、

息子夫婦の馬には厩務員が付いておりましたので

別の仕事をと考えていたのですが、

何分にもこの性格で…。」

オズワルドは困った顔をして汗を拭く。

その話を聞いていた慶次はローディンに

「ローディン、お主は今まで通りに

厩務員として《松風》の世話を頼めるか?」

と優しく問いかける。

ローディンはパッと顔を上げて

しっかりと頷き

「は、はい。」

と答えた。慶次は満足そうに

「《松風》も俺と一緒に家を出る事が多い。

仕事の手が空いたら

自分の好きな事をしておけば良い。

家に帰った《松風》が気持ちよく

次の日を迎えられるようにしてやってくれ。

知らない人なぞ、後は3人だけだからな。

じきに慣れるであろう?」

これを聞いていたオズワルドが泣き出した。

それを見た慶次は驚いて笑い出した。

「オズワルドが泣く事ではあるまい。」

「そうなのですが。私は嬉しくて。」

オズワルドがあまりにも泣くので

部屋にいたみんなが笑い、

ローディンも恥ずかしそうに笑った。

グレゴールが

「では、明日から

マエダ様の為に仕事に励んでもらいましょう。」

笑いながら話した。


いつも読んでいただきありがとうございます。


慶次の家の使用人が決まりました。

貴族のオズワルドと

その家に支えていたローディン。

そして、料理人である

マルティナ。

楽しく生活が出来そうな人達を選びました。


ちょっとした家族ですね。


次回は城での最後の夕食です。

料理長のヴァレンが腕を振るうと

張り切っていたので私も楽しみです。


では、次回を楽しみにしてください。

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