第54話
第54話です。
凶暴化した魔物の生態が中々難しい様です。
凶暴化した魔物の状態が
その個体によって様々です。
では、楽しんで読んでください。
慶次は商人ギルドの受け付けで声をかけた。
「前田慶次と申す。」
「あ、マエダ様。お帰りなさいませ。
私は受け付けのティリア ルームといいます。
これからよろしくお願いします。
マスターが帰られたら部屋へと。」
「そうか。では、尋ねてこよう。」
「はい。お帰りになる時に
魔物討伐の報酬はお支払い出来ると思います。」
慶次は《松風》とロゼハンドの部屋を訪ねた。
ドアをノックする。
「どうぞ。」
部屋から声がする。慶次は部屋に入った。
部屋にはマスターのロザリンドと
女性と男性が待っていた。
「ロザリンド殿、お待たせしたな。この者たちは?」
ロザリンドは満面の笑みを浮かべ
「お疲れ様でした。
魔物の討伐、おめでとうございます。
この者たちは解体師のガリック ヴォルンと
判定士のエルミーネ クァルタです。
今後もマエダ様にお会いする機会が
多くございますので。」
「そうか。前田慶次だ。よろしく頼む。」
慶次は手を差し伸べた。
ガリックとエルミーナは慶次の手を握り話す。
「こちらこそ、よろしくお願いします。
判定士のエルミーネ クァルタです。」
「俺は解体師のガリック ヴォルンだ。
よろしく頼む。」
ロザリンドは
「マエダ様がお持ちになった
エレッカロスとヴァルグレイスは
非常に良い品です。
帝国近くで現れたのは頭が痛い事ですが、
素材としては最高です。」
と興奮気味に話す。
「特にエレッカロスの皮は非常に強く
防具や鍛冶場の火除けにも大変貴重な品物です。
これはこの帝国、
そしてそれぞれの国でも喜ばれるものです。」
その興奮したロザリンドを抑え付け
エルミーネが尋ねる。
「マエダ様、この魔物は
帝国周辺に居たという話ですが?」
「そうだな。カインが驚いておった。
この魔物は普段はどういう所で生活を?」
「エレッカロスとヴァルグレイスは
行動を共にする魔物です。
本来は山の奥深くで静かに生活しています。
ヴァルグレイスは肉食ですが、
山の中にはヴァルグレイスの獲物は
ここ周辺よりも沢山、居ますから
平地に出る必要は無いのです。」
「なるほど、それが平地に現れたのは
いささか疑問が残るな。
凶暴化したスライムに関係するのか?」
「それは分かりません。
そういう話は冒険者ギルドの管轄ですから。」
エルミーネが答える。
「確かにそうだな。
スライムの件にしてもエレッカロスの件にしても
不可解ではあるという事に変わりないのか。」
「そういう事になりますね。
マスターは素材の話しか頭に入りませんので。」
エルミーネは答える。
「ちょっと待っていただきたい。それは違うと。」
ロザリンドが言っても
エルミーネもガリックも冷ややかな目で
ロザリンドを見る。ロザリンドは顔を赤らめて
「そうかもしれないが、大丈夫ではないかな。」
と消え入りそうな声で話す。
それを見て慶次は笑う。
「まぁ、エレッカロスとヴァルグレイスは
凶暴化しておらんかったと思う。
《空蝉》が何も言うておらんかった。
鑑定ではそこまで分かるのか?」
「そうですね。過去の凶暴化した魔物には
普通の魔物と少しだけ違いがありますが、
毎回、同じ部位が違う訳ではないので
冒険者の情報も大切になります。
何も聞かされていないと
見落とす可能性がある
本当に僅かな変化なのです。
しかし、今回のスライムは
明らかに違う点があったのですよね?」
「そうだな。
本来の魔石の色を俺は知らんから
何とも言えないが、
魔石はレオナ殿に渡すまで赤黒く光っておった。
それをレオナ殿に渡した瞬間に消えたな。
そういった情報が無かったらしく
こちらに鑑定依頼を出すとは言うておったぞ。
それから、個体の色が赤だったのも変らしい。
確かに、スライムを冒険者ギルドに
連れて帰ったが、赤色は居なかったな。」
「なるほど。
何故、光が消えたか分からないという事ですね。
それと個体の色が他のスライムには無いと。」
ロザリンドは頷く。
エルミーネはしばらく考えてから
「という事は以前の魔物にも
実はそういった現象が
起こっていた可能性があると?
凶暴化した魔物の魔石も
普通の魔物の魔石も鑑定をしましたが、
別に違和感は感じられませんでした。
どの魔物の魔石も魔道具等に
加工し普通に使われております。」
「なるほど、使用していて
何も問題が起きていないと?」
慶次が尋ねる。
ロザリンドもエルミーネも頷いた。
ガリックも続ける。
「解体自体も何も問題は無かったな。
ただ、凶暴化した魔物の肉は
何かあっては困るから全て廃棄処分している。
解体の最中に内蔵等に
変色した部分があったからな。」
それを聞いて慶次は頷き
「その方が良いであろうな。
魔石なども使わん方が良いかもしれん。
まぁ、武器にすれば
もしかすればと考えられるがな。」
「と、言いますと?」
「今回のスライムは打撃が全く通じなかった。
手応えがまるで無かったのだ。
そこにおると分かっておるのに
居ない様な手応えだったな。
《風牙》が空を
切ったという感覚だったな。
それを凶暴化した魔物の魔石を
武器に使う事で
補える事もあるやも知れぬと思うてな。」
「なるほど。そういう体験談を聞いて
まとめる事は私達、商人ギルドの管轄では
ありませんが、冒険者ギルドと連携して
冒険者達に通達しなければなりませんね。
まだまだ、絶対にそうだとは言い切れない以上、
冒険者全員に渡してしまうのは
危険では無いかと。
しかし、もう作り終わっている魔道具は
どうしたものか。
国民の生活にも使われておりますから。」
ロザリンドは頷く。慶次も
「そうだな。凶暴化の魔物調査は
ある程度の規則を設けて
調査対象として討伐していかねば
正しい情報収集は無理だろうな。
魔石に関しても俺がそう思っただけ故、
簡単に渡せないのは当然だ。そうか。
それはアシュレイン殿に報告すれば
何らかの策を考えてくれるやも知れんな。
今更回収しても混乱を招くだけではないか?」
「そうですね。
とりあえずは陛下に報告しましょう。」
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は商人ギルドでの話でした。
凶暴化した魔物の状態が
鑑定士や解体師の目線から話を進めました。
私は当たり前ですが、
鑑定も解体も出来ませんが、
不思議な出来事が
いつもの仕事に入ってくると
身構えて行動しますよね。
しかし、何も知らないと当たり前ですが、
いつも通り仕事をこなすのではないでしょうか。
こんな事があったと事前に知っているのと
知らないとでは天と地の差があると思います。
次回も商人ギルドでの話が続きます。
では、次回も楽しみにしてください。




