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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第40話

第40話です。


偉い立場の人達は

今も昔もあまり変わっていませんよね。

我が立場が一番大切で

他の人達の立場や暮らしには

見向きもしませんよね。


そんな中で民の生活をと考えている人に

国の安定を望みます。


では、楽しんで読んでください。

ドアをノックすると中から声が聞こえた。

「入れ。」

慶次がドアを開けると

アシュレインが机の上で

何やら忙しそうに書いている。

「アシュレインどの。忙しい時に済まんな。」

その声を聞きアシュレインは顔を上げる。

「おぉ、マエダ様でしたか。

昼間のソルメラの一件、聞きましたぞ。

中々の武勇伝をまたまたやってのけたと。」

アシュレインは机から立ち上がり、

ソファーへ手をかざす。

慶次はソファーに腰掛ける。

「いやいや、カインとの

手合わせは実に楽しかった。

やはりあの男ぐらいの実力が無いと

やったという実感は持てないな。」

慶次は楽しそうに笑った。

「いやいや、子供の様にあしらっておられたと

聞いておりますぞ。

それで、冒険者、商人登録は

無事にお済みになられたと。」

「あぁ、ここに。」

慶次は登録証をアシュレインに手渡した。

「ふむ。これは素晴らしい。

しかし、商人の結果は驚きですな。

そういうものなのですか?」

「らしいな。

まぁ、俺には商いの才能は無いのは

分かっておった。

でもまぁ、冒険者と違い商人は経験を積む事で

レベルアップするらしいから、

ある意味楽しみではあるが。」

慶次の言葉にアシュレインは頷く。

「なるほど、商人とはそういうものでしたか。

ところでマエダ様。昼の食堂での一件ですが、

一応、方が付きました。」

「早いな。して、どの様に方を付けた?」

「はい。カティアに話しかけた筆頭侍女ですが、

父親が…。」

アシュレインが言いにくそうに話す。

「ゴホン。聖女様召喚に

反対しておる貴族でして。

他の侍女の父親も同じ考えの者でした。

そこで、ドラグレイヴへの帰国を提案しました。

あそこなら聖女様は居られませんから。」

「ほう、帰国とな?それが可能なのか?」

「はい、それぞれの相手が

ドラグレイヴ出身の者ですから、可能です。

ドラグレイヴ王国の国王には手紙での承諾をと

思っております。」

「しかし、あの國の決まりでは

その者達は後々苦しい思いをするのではないのか?」

「ふふ。マエダ様はお優しいですな。

まぁ、その通りです。

本人達がどの程度まで

理解しておるかは分かりませぬ。

一旦は貴族として迎え入れされるでしょう。

しかし、今年の武道大会での結果次第ではと

言ったところでしょうか。致し方ありません。

この帝国の歴史や国法を

理解できぬ者はこの帝国には必要ありません。」

アシュレインの毅然とした態度に慶次は感服した。

「なるほどな。

この國にはこの國の自尊心がある。

それを蔑ろには出来まいな。」

アシュレインは深く頷いた。

「その通りです。

どんな時でも帝国国民の安全が第一です。

今の現状で他国同様、聖女様召喚は絶対に

成功させなければならない事です。

そして、その根底にある原因を

解明する事も大切です。

マエダ様の様に素晴らしいランクの

冒険者の召喚は私は原因を解明する為に

精霊のどなたかが起こしたものだと

私は思っております。

この世界は良くも悪くも魔物との

共存は避けられませんので。」

「そうだな。

そう思う方が辻褄は合うかもしれんな。」

慶次も頷いた。

そこまで話し終えるとアシュレインは

目をキラキラさせて

「で、マエダ様。今日の武勇伝は…。」

と言いかけた時、ドアが叩く音がした。

アシュレインはガッカリした顔で

「少しお待ちください。誰だ?」

と不機嫌そうに話す。

ドアを開けてヴェイルが入って来た。

「陛下、ヴェルナー侯爵の件ですが、護衛は…。」

部屋を見てヴェイルは

「申し訳ありません。

マエダ様がお越しとは、失礼致し…。」

と言葉が続かずに慶次を凝視する。

「マエダ様?何か変わられましたか?」

「おぉ、ヴェイル殿ではないか。

俺か?いや、何も変わらんよ。」

ヴェイルは慶次の雰囲気が

何処となく今までの『氣』ではない感じがした。

「そうですか。私の勘違いでしたか。

陛下、この話は後の方がよろしいですか?」

「そうだな。いや、マエダ様にも聞いていただこう。

ご本人が関わった事柄だ。」

「分かりました。

では、ヴェルナー侯爵の護衛ですが、 

帝国にはその様な人材はおりません。

兵団は裂けませんし、近衛の役割とも違います。

兵団も近衛もこの帝国を守る人材です。

冒険者に依頼するのが本来の形ですが、

ご本人が良しとしません。」

「そうなのか。困った男だな。

自分で何とか見繕ってもらうしかあるまい。

他の者達は何と言うておる?」

「はい。伯爵達はそれぞれの私設隊での

ドラグレイヴ入りを検討されてます。」

「なるほど。

では、ヴェルナーにもそう伝えてくれ。

私設隊ぐらい持っておろう。

それから、それぞれの屋敷で働いておる者達で

こちらに残りたいと申す者達は

連れて行かぬ様に再度、釘を刺しておいてくれ。

情報収集も忘れずにな。

あいつらの事だ、強制的に連れて行くやもしれん。」

「心得ました。では、マエダ様。失礼します。」

「本当に困った男だ。

ここの守りには難色を示す癖に

出る時の自分の身の安全はしっかりしたいなど。」

アシュレインは呟く様に話す。

「人とはそういう者だ。

自分の身は何よりも大事であろう。」

慶次は話す。

「そうでしょうな。

あぁ、それとマエダ様は馬を所望しておられたな。

まだ、時間的に夕食には早いでしょうし、

見に行かれたらどうであろう?

ヴェルダー、マエダ様を馬舎に

連れて行って差し上げてくれ。

お前はそのまま戻って良いぞ。」

「分かりました。では、失礼致します。」


ヴェルダーは慶次を連れて馬舎に向かった。

「マエダ様はお国でも馬に乗られたのですか?」

「そうだな。俺達の國でも移動は馬だな。

まぁ、牛の場合もあるが、

殆どない。牛車に乗るのは公家ぐらいだ。

早くないだろ?」

「確かに。公家と言われる人達は

のんびりしておられたんですね。」

「そうだな。公家はここの貴族といった感じか。

のんびりゆったりと生活しておられたな。」

慶次が思い出して笑う。

「武士と公家では生活の時間が違う。

俺達、武士もののふ

武士と公家でも時間の進み方は違うな。」

「なるほど。公家は貴族ですか。」

「そうだな。

まぁ、ヴェルナーという侯爵の事しか知らんが、

公家も自分の立場を守る事しか考えておらん。

自分の時間でしか生きておらんな。

都の外で人々がどんな生活をしているかなぞ、

考えておらんな。武士でも同じ事よ。

まぁ、まだ武士の方が公家よりもましか。

民との生活の密着具合は

公家よりも武士の方が近いからな。」

「なるほど。そういうものですか。

まぁ、民に近いのは

ウチの陛下ぐらいかもしれませんね。」

「そうだな。

アシュレインは本当に民の事を考えておるな。

まぁ、そういうお方も俺の國のにもおられる。

民が一番の武将の國の民は暮らしが辛くても

本当に幸せそうだったな。

俺はその方のためならと思うておった。

アシュレイン殿も一緒だな。俺もと思えるお方だ。」

ヴェルダーは頷いた。

「そうですね。

陛下は帝国の成り立ちをよくよく

理解されておられます。 

ご自分のご先祖様ですから。」

「ほぅ。この國は

アシュレインのご先祖さまの國か。」

「そうです。

この帝国は陛下のご先祖がお創りになったのです。

逃げた人々の先頭に立ち励まして

この土地に国を創ると決められたのです。

確かにヘリアデス様のご加護で創られたのは

間違いはないのです。

しかし、この土地まで連れて来て下さったのは 

間違いなく陛下のご先祖なのです。」

ヴェルダーはその言葉を

自分に言い聞かせる様に話した。


いつも読んでいただきありがとうございます。


こういう人に国のトップを任せたい

と思ってしまいます。

国の運営には色々な犠牲は付きものです。

しかし、大半の国民の思いを考えて

行動してくれる主導者は今の日本にも必要かなと

しみじみ考えてしまいます。


次回は慶次に馬が。

私的には、最強の馬を慶次に渡したいと

思っています。


では、次回を楽しみにしてください.


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