第36話
第36話です。
いよいよ、商人ギルドでの
登録と鑑定が行われます。
どんな結果が出るのか。
楽しんで読んでください。
商人ギルドの中に入り、
ヴェルダーが商人ギルドの説明をする。
「商人ギルドは物を買い取ったり、
販売したりしています。
登録さえすれば物の売買ができる様になります。
勿論、この街の商店の方々も登録しています。
自分が欲しい素材を冒険者ギルドで依頼し、
ここで受け取るのです。」
「という事は、自分の作りたい素材を
ここで買ってゼフィールエンポリウムに
待って行けば、好きな物が作れると。」
「そうですね。服なども同じです。
お店には出せない商品もやはりありますから。」
「なるほどな。これは色々と楽しみだな。」
「そうですね。
武器や防具もいい素材が入れば
もっと防御力や攻撃力が上がりますから。」
慶次達は受け付けの前に来た。
ギルド内には沢山の人達が物を持ち込んでいる。
「この時間が一番混んでいます。
帰って来た冒険者が素材やらを
鑑定してもらうので。」
ヴェルダーはそう言って
受け付けにいる男に声をかけた。
「ノクティス、精が出るね。
ギルドマスターは居られるかい?
マエダ様が来られたと伝えてもらえるか?」
声をかけられたは頷き、挨拶をする。
「初めまして。マエダ様。
ノクティス ラークレと申します。
少々、お待ちください。」
慶次達が受け付けで立っていると
用事を済ませた冒険者達が声をかけて来た。
「ヴェルダー、そちらの方は?」
「お、カインじゃないか。
いつ、こっちに戻って来た?
無事に討伐したのか?」
ヴェルダーが尋ねる。
「無事といえば無事だな。
かなりの被害が出たが
まぁ、大した事はない。
で、そちらの方は?」
「あぁ。召喚者のマエダケイジ様だ。
そういえば、お前も槍使いだったな。」
「マエダ様、俺はカイン エルバートと言います。
よろしくお願いします。」
とカインは手を差し出した。
慶次はその手を握り
「前田慶次ともうす。よろしく頼む。」
と答えた。
そして
「いい手だな。槍使いの手だな。」
と笑った。
「ありがとうございます。
マエダ様も武器は槍ですか?」
ニコリと笑ってカインが答える。
慶次は澄ました顔で答える。
「如何にも。
ただ、この世界で別の武器に出会ってな。
槍も使うが、違う物の使い手になりそうだ。」
と答えた。
それを聞いたカインは笑って
「それは残念だ。
マエダ様が槍使いなら
手合わせをしたかったですね。」
それを聞いたケイジは目をキラキラさせて
「手合わせか。それは良いな。やるか。
しかし、今日は持って来ておらんな。
模擬刀もここには無いだろ。」
と残念がる。
それをていたヴェルダーは
ヒヤヒヤして慶次の顔を見る。
(え?手合わせって。マジで言ってる?この人。
あ、マジな目だ。俺では止められん。)
それを聞いた他の冒険者が歓声を上げる。
「カインと召喚者が手合わせするってよ。
これは面白い。誰か模擬刀を持ってないのか?
まぁ、真剣でも俺は構わないが。」
ギルド中が冒険者達の怒号と笑い声が響き渡る。
「やれ!やれ!」
煽る者まで現れる。
慶次は嬉しそうに
「こうなったらするしかあるまい。やるか?」
カインも後には引けない。
「そうですね。やりますか?」
「ここでは狭かろう?外に出るか。」
慶次はギルドの外に出た。
《空蝉》が作動する。
『前田様、
今回の手合わせをサポートさせていただきます。
前田様には不要かと思いますが、
今後の魔物との戦いでは
私を活用していただこうと思っていますので、
その為の練習と思ってください。』
『そうだな。
今回の手合わせには
前の俺の経験もあるから必要は無いが、
今後は《空蝉》が必要になろうな。分かった。
とりあえず、どんなものかやってみよう。』
ヴェルダーは冷や汗が止まらない。
(いやいや、この御仁。
何してんの?もう、滅茶苦茶だよ。)
慶次とカインはギルドの外で向かい合う。
男が1人、模擬刀を持って来た。
「ゼフィールエンポリウムで借りて来た。
これを使え。」
男が模擬の槍をカインと慶次に渡す。
慶次はそれを確認し
「では、参ろうか。」
『カインが打ってきます。』
と言った瞬間にカインが攻めて来た。
慶次はそれをいなす。
『前田様、そこから好きな様に
打ち込んでください。』
慶次は《空蝉》が言い終わる前に
走り出していた。
《空蝉》は慶次の動きを学習し、
即座に修正をする。
双方の槍が空を切る。
『カインが横に薙ぎ払って来ます。
それを受けるふりをして、
それよりも早く打ち込んでください。』
カインと慶次の周りには
風が巻き起こり、砂ぼこりが舞う。
カインは横に薙ぎ払おうとしている前に
慶次が打ち込んできたので、
慌てて槍を構え直す。
鈍い音を立てて槍同士がぶつかり合った。
それを見ていた周りの人達は
あまりの激しさに息を呑む。
槍が激しくぶつかり合い、しなる。
油断をすれば怪我をしそうな勢いで
ヴェルダーも止められない。
慶次は事も投げにカインをあしらっている。
《空蝉》が
『レベルアップしました。
前田様の頭の中にシュミレーション映像が
送れる様になりました。』
と告げる。
慶次の槍のスピードが速くなる。
カインが押され気味になってきた。
それでもカインは必死に喰らいつく。
あまりの激しさに
周りの人達が目が開けられない状態になった。
「一同、止めい。」
その場の空気を遮断する声が響き渡る。
レオナが慶次とカインの間に立った。
慶次とカインはピタリと動くのを止めた。
「カイン、これはどういう事だ?」
レオナがカインに尋ねる。
カインは肩で息をしながら
「えっと、出来心で…。」
と話す。
慶次は涼しい顔で
「いや、何。楽しもうかと。」
と話す。
レオナは頭を抱えて笑いながら
「マエダ様、
冒険者を甚振る(いたぶる)のは
止めていただきたい。
貴方はここにいる冒険者の誰よりも強いのだから。」
その言葉を聞いて見ていた周りの人達は驚いた。
(カインはA級冒険者だぞ。
子供扱いってなんだ?)
カインは額の汗を拭い
「俺もまだまだだ。」
と笑う。
「いやいや、楽しい手合わせだった。」
と慶次はサラリと話す。
「みんな、これで満足か?立ち去れ。」
レオナは周りの人達に声をかける。
慶次とカインは握手をして
「中々、楽しかったぞ。」
「マエダ様、今度は負けませんよ。」
と別れた。
レオナは慶次に
「マエダ様、
揉め事を解決していただくのは構いませんが、
こういう事は無しにしていただきたい。」
と言った。
慶次は照れ臭そうに
「申し訳ない。
カインと手合わせしたら楽しそうだったからな。」
と笑った。
レオナとヴェルダーは大きなため息をつき
「二度とやらないでくださいね。」
と声を揃えて言う。
「すまん、すまん。
次は修練場でする事にする。」
慶次は怒られた子供の様にしゅんとした。
その姿はヴェルダーにとっては
新鮮で可笑しくもあった。
「マエダ様、可笑しすぎて困りますよ。」
「ん?どうした?大丈夫か?」
「ここで、大丈夫か?は無いでしょう。」
レオナはその様子を見て笑いが止まらなかった。
人とやり合う時の慶次と対照的で
まるで子供の様な慶次がいる。
違いすぎて怒る気も削がれる。
「マエダ様、
今後は修練場やギルド内の練習場で
行ってください。
周りの歓声がお好みなのは
今ので分かりましたから。」
慶次は照れ臭そうにヴェルダーを見る。
「いや、私を見られても。」
レオナは慶次に
「商人登録は済まれたのですか?」
と聞く。
「お、忘れとった。ギルドマスターに怒られるか。」
慶次はニヤリと笑って商人ギルドへ入って行った。
ヴェルダーが慌てて追いかける。
レオナは笑いながら冒険者ギルドに入って行った。
いつも読んでいただきありがとうございます。
商人ギルドでの鑑定と登録を
しに入った先でまたまた、一悶着。
慶次は本当に武士なのです。
何もかもが、遊びになってしまう。
でも、この世界で慶次の存在を
アピールするにはいい機会かなと。
次回こそ、鑑定と登録をします。
では、次回をお楽しみにしてください。




