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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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第30話

第30話です。


仲良く平和にとは思っていたのに

勝手に暴れて止まりませんでした。


今回は食堂で日本の食事と

海外の食事の融合を考えてみました。

今度、作って食べてみようと思っています。


では、楽しんで読んでください。

食堂に向かうと、カティアが食堂に入る所だった。

「カティア、今からか?」

慶次は声をかけた。

「あ、ケイジ様。そうです。

グレゴール様とのお話しの後に

ケイジ様のお部屋の掃除を終えて

昼食にしようと。」

「そうか。ちょうど良かった。

今日の付き添いはユリウス殿に頼んで

別の者にしてもらった。

用意してくれる家も

プランタンシアの中に用意してもらう事にした。」

カティアは驚いて慶次を見る。

「それでは、ケイジ様が不便ではありませんか?」

「何を言う。俺は國では傾奇者と呼ばれ、

その上に大ふへん者として生活しておった。

これぐらいの不便は不便とは言わんよ。

朝の鍛錬は城の修練場を使うでな。

こちらの方が俺にとっても都合がいいのだ。」

カティアの顔がパッと明るくなった。

「ありがとうございます、ケイジ様。

少し不安だったので嬉しいです。

ケイジ様も今から昼食ですか?

ご一緒してもよろしいですか?」

「あぁ、構わんよ。一緒に食べよう。」

カティアと慶次は列に並んだ。

昼食はいつもの様に

慶次の知らない料理が並んでいた。

「お勧めは何か?」

「あ、マエダ様。今からお昼ですか?

今日のおすすめは

野菜たっぷりのハムサンドと

鶏肉と玉ねぎのスープですよ。」

「ん?『はむさんど』?おぉ、いただくよ。」

慶次は戸惑いながら受け取った。

カティアはそれを見て笑いながら

『私も同じ物をください。

ケイジ様、食べる時に私が説明しますよ。』

と言った。慶次はホッとした顔をして

「助かる。」

と言った。そして、テーブルについた。

慶次はいつもの様に静かに手を合わせた。

カティアも同じ様に真似をする。

そしてゆっくりと説明をしながら食べ始めた。

「サンドは以前に食べておられますよね?」

「そうだな。しかし、中の物が違うな。

『はむ』とかいう物はなんだ?」

「ハムは肉を塩漬けにして茹でたものですね。

肉は豚肉ですね。」

「なるほどな豚肉とな。お、中々旨いな。

で、鶏肉と玉ねぎのスープだな。」

「そうです。これは鶏の骨と鶏肉を煮込んで、

そこに玉ねぎを入れてまた煮込む。

そして、あら?この味は初めてだわ。なんの味?」

「ん?どれ。ほぅ、これは溜だな。

いや、醤油か。

しかし、不思議だな。俺の國の味なのに、

この『さんどいっち』にも合うな。」

「そうですね。これは美味しいです。

あ、香草が入ってますね。

なんでしょう?ローズマリーかしら?」

「『ろーずまりー』とな?」

「そうです。料理に使うハーブですね。

あ、ハーブとは香草の事です。

香草は分かりますか?」

「香の事か?あれは食べられないだろう。」

「その香草ではなくて、

肉の臭みを取ったりする調味料の事ですね。」

「なるほど、

この國にはそういう物がたくさんあるのか?」

「そうですね。

魔物の肉はやはり臭みがありますから、

その臭みを香草で取ります。」

「なるほどな。

俺の國の山椒や生姜と同じような物だな。

しかし、これは嬉しい限りだな。

知らない味の中に

知っている味があるのは嬉しくなるな。」

「そうですよね。

私もケイジ様が来られてから

新しい味を味わえて嬉しいです。」

慶次は改めて

この国の人達の優しさを噛み締めていた。

「ケイジ様?今日の付き添いが

どなたになったのかお聞きになりましたか?」

カティアが尋ねる。

「いや、何も聞いておらん。

しかし、昨日の事があったのだから

女子おなごでは無いだろう。」

「そうですよね。でも、兵団の方なら。

今日はセリーヌ様がおられますよね。」

「確かに。しかしまぁ、門で会えば

良いのであろう?

別段、1人でも門までなら困らんがな。」


慶次の後ろから声がする。

「あら、カティア。今日も1人でも食事なの?」

声をかけた後ろにも数人いてクスクス笑っている。

カティアは涼しい顔で答える。

「えぇ、ケイジ様の部屋の掃除と

グレゴール様へお聞きしたい事があったから

寄っていたので 遅くなったのです。」

「クスッ。どの時間でも1人じゃないの。

時間が変われば誰かと一緒にいるなんて言い方、

よした方がいいわよ。」

慶次は立ち上がり、その声の主を真っ直ぐに見た。

カティアと同じような服を着ている。

「お主はどこの侍女だ。

カティアにその様な事を言うのは俺が許さん。」

「え?まぁ、召喚者様でしたか。

これは大変失礼いたしました。

では、私は失礼します。」

そのままその場所を離れようとする

侍女の腕を掴み。慶次は再度尋ねる。

「俺の言った事が聞こえなかったか?

お主はどこの侍女だ?」

カティアが慌てて慶次に言う。

「ケイジ様。良いのですよ。

腕を離してあげてください。」

カティアに言われ、慶次は腕を離す。

食堂の中は静まり返った。

それを見ていたアルドリックは

慶次のそばまで来て頭を下げた。

「マエダ様、お許しください。

侍女の躾が行き届いておりませんでした。

アルドリックは侍女を見て

「デリア、この事は君の父上にも話をする。

このままで済むと思ったら大間違いだぞ。」

名前を呼ばれたデリアは

「だから何です?

私が何か間違った事を言ったとでも?」

と譲らない。

慶次はそれを聞いて腹が立った。

「お主、カティアに何の恨みがある?

そこまでの事をしている自覚はあるのか?」

食堂がざわつき始め、デリアの顔が歪む。

「マエダ様、この侍女の処分は

こちらできちんと対応しますので、

ここは一旦…。」

その言葉をカティアが遮り、話しだす。

「別に私は大丈夫です。

ケイジ様、グレゴール様を

お待たせする訳にはいきませんから

もう行きましょう?」

それでも、慶次は譲らない。

「カティア、この事を

有耶無耶にするのは間違っている。

お主、俺の質問に答えろ。」

ここまで怒っている慶次を見るのは

初めてだったカティアとアルドリックは

全く動けない。

デリアも慶次の気迫に押されて後退りをした。

その時、食堂のドアが開いた。

「マエダ様はおられ…。」

グレゴールが慶次を探しに来た様だが、

食堂のただならぬ雰囲気に声が止まる。

状況が把握できずにグレゴールは固まった。

それを見ていた料理長のアルドリックは

グレゴールのそばに行き耳打ちする。

事態を把握したグレーゴールはデリアの前に立ち。

「デリア、以前も伝えたと思うが、

侍女が全員で食事に行くのは辞めなさい。

仕事が止まる。」

その言葉を聞いてから慶次は再度、デリアに言う。

「もう一度、言う。俺の質問に答えろ。

何故ゆえにカティアにその様な事を言うのだ?」

グレゴールはそれを止めずにデリアを見る。

デリアは今の状況に困惑しながら、

「平民がこんな所で働くのは…。」

そこまで言った時にグレゴールは

デリアの腕を掴んだ。

「アルドリック、この女を

アステリアの間へ連れて行け。

陛下にご相談の上、この女の父親にも話をする。

それが終わるまでそこで待っている様にさせろ。」

「分かりました。」

アルドリックは待っていたお盆をテーブルに

置きデリアの腕を掴んで連れて行った。

デリアは屈辱からか声も出ない。

デリアが連れて行かれ

グレゴールはため息を付き

慶次の方へ向き頭を下げた。

「マエダ様、この度は本当に申し訳ありません。

この問題はきちんと対処し

ご報告させていただきます。」

慶次はグレゴールの対応に頷き、深呼吸をし

「グレゴール殿はどうされた?」

とグレゴールに声をかけた。

「マエダ様が遅かったので、お迎えに参りました。

伺って良かったです。

この様な醜態を晒してしまい申し訳ありません。」

慶次はグレゴールを見て

「俺は大丈夫だ。言われ慣れておるし、腹も立たん。しかし、カティアへのあの態度は絶対に許せん。」

「当然の事です。

他の者達も暫く自室にて謹慎しておけ。

後日、陛下の決定を伝える。」

それを聞いた残りの3人は慌てて謝罪する。

「申し訳ありません。

親への報告は勘弁していただけますか?」

泣きそうな声で懇願する。

それを見た慶次は3人に

「この様な事態になってからの謝罪など

謝罪とは言わん。」

と冷たく言う。

それを聞いた3人は顔を真っ青にして涙を流した。

「グレゴール殿。

この侍女の処遇はグレゴール殿に任せる。

カティアが納得できる形で収めてくれ。」

「分かりました。

当然ですが、その様にいたします。」

その言葉を聞いた3人は泣き崩れてしまった。

泣き崩れた3人をグレゴールは兵団に託した。

「食事時間を台無しにして申し訳ないが、

3人をそれぞれの部屋に連れて行ってくれ。」

「分かりました。それでは、失礼いたします。」

セリーヌ、ダリウス、アドリアンの3人は

侍女の腕を掴み、各自の部屋に連れて行った。

食堂はいつもの騒めきが戻った。

騒ぎが終息した後に

グレゴールは慶次へ声をかけた。

「マエダ様、本当に申し訳ありません。

今後はこの様な事の無いように指導します。」

「グレゴール殿、何度も頭を下げるのはよせ。

お主の気持ちは分かっておる。

カティアもここでの食事は

最後にしても良いのだから。」

当然の提案にカティアは驚く。

「え?ケイジ様、それはどう言う…。」

「俺の侍女として俺の家に

来てくれるのであろう?

その家で食事をすれば良い。」

涼しい顔で慶次が言う。

「それはそうですけど…。」

「ん?嫌であったか?

まぁ、俺は家での食事は殆どしないからな。

その方がカティアは気が楽ではないか?」

突然の話に食堂が別の意味でざわめき始めた。

「え?どういう事?」

慶次は声がした方を見た。 

カティアによく似た女性が立っていた。

「あ、ミレーナ。これは…。」

カティアは俯いて黙り込む。

慶次が慌てて

「まだ言ってはいけなかったか? 

それはすまん。

もう既にみなが知っておるものと。」

カティアは慶次の慌てぶりに

思わず笑ってしまった。

「そうですよ、ケイジ様。

話すのは段階があるのですよ。

あ、この子は妹のミレーナです。

一緒にここで働いているのです。」

ミレーナと言われた女性は

慶次に向かって頭を下げる。

「初めまして、マエダ様。

マエダ様の事は姉からいつも聞かされております。

でも、マエダ様の家にって?」

グレゴールはその問いに答える。

「ミレーナ、カティアは今、マエダ様の

専属侍女として働いたくれているのは

知っているな?

今後、マエダ様がこの城を出られたら、

一緒に行ってもらい、

侍女として働いてもらう話になったのだ。」

グレゴールがミレーナに話す。

「あ、そうなのですね。

急な事で驚いてしまって、すみません。」

「カティアには妹がおったのか。」

慶次はしばらく考えてグレゴールに尋ねる。

「グレゴール殿、ミレーナも

一緒に俺の家で働くという事はできまいか?」

しばらく考えてグレゴールが

「そうですね。

いくらマエダ様1人とはいえ、全ての家事は

カティア、1人では無理でしょう。

陛下にお伺いを立てねばなりませんが、

前向きに検討しましょう。

マエダ様、食事は終られましたか?」

慶次は慌てて返事をする。

「あ、いや…。俺は大丈夫だ。

既に終わっておったんだ。

カティアは食べたか?」

カティアも頷き

「もう食べ終わっています。」

「そうか。ではグレゴール殿、行こうか。 

カティア、後はよろしく頼む。」

慶次はカティアを残して食堂を出た。

食堂を出た後に慶次はグレゴールに尋ねた。

「カティアはいつもあの様な仕打ちを?」

「そういう訳ではありません。

ただ、やはり平民と貴族の隔たりは

お恥ずかしい限りですが、

こちらが何度言っても変わらないのが現状です。」

「そうなのか。

まぁ、俺の國でも身分の差はあるからな。

それは致し方ない。」

「マエダ様のお国でもですか。そうですね。

しかし、この帝国の始まりを考えると

貴族や平民やと言っているのは

私はおかしいと思っています。

この現代でたまたま貴族であったり、

平民であったりするだけですから。」

「そうだな。俺の國とは成り立ちが違うからな。」

2人はそのまま黙って城の外へ出た。


いつも読んでいただきありがとうございます。


食堂でも問題を起こしてしまいました。

勝手に問題が起こるので

少し慌てています。


もう少し仲良く平和にしたいのですが、

それはそれで面白くないかと勝手に進みます。


お醤油とマリーゴールドが

合うとは知りませんでした。

どぶろくの材料が日本のお米で作ろうか?

別の物で作ろうか?

実はまだまだ思案中です。


では、次回をお楽しみにしてください。

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