第27話
第27話です。
毎日の鍛錬でお互いが学ぶ事も多いだろうなと。
もっと色々な兵団と鍛錬させたいなと思っています。
ただ、慶次が他の街に行ってくれたらの話ですが。
では、楽しんで読んでください。
慶次は昨日と同じ時刻に目を覚まし、
修練場に向かった。
(昨日の食事は懐かしいのや新しいのや
色々と楽しかったな。
しかし、こうも宴が続くとちと重いな。)
戦国時代の食事は基本は1日2食の簡素な物。
それで十分だった。
(確かに京の都では贅沢な食事を
食べる時もあったが。)
それでも、この国の人達との交流は
慶次には有り難く愉しかった。
(まぁ、鍛錬を少し増やすか。)
そんな事を考えながら修練場のドアを開けると、
昨日の宴の兵団参加者全員が揃っていた。
「なんと。お主達、早いな。」
「いや、今日こそはマエダ様よりも
早くに来ようと頑張ったのですよ。」
アルドリックが誇らしげに話す。
「しかし、これは毎日では体が持ちませんが。」
慶次は思わず笑ってしまった。
「俺に合わす必要は無いぞ。
無理をすると國の守りが疎かになるではないか。」
「大丈夫ですよ。
マエダ様同様、鍛えてますから。」
それから、『アップ』を行い、
武器の型を順番にこなしていく。
「そうだ。マエダ様、
対練に加わっていただけますか?
どうしても、マエダ様の強さを実感したいのです。」
「それは良いが。武器は何を用いる?
あ、そうだな。この國の刀の使い方を
教えてくれまいか?
俺が昨日、出会った『風牙』は
両刃なのだ。
俺の國の刀は片刃だから勝手が違ってな。
こいつを使いこなしたい。」
「なるほど、バスケットヒルツソードですね。
しかも、この素材…。
もしかして、オリハルコンですか?」
「みたいだな。
そのオリハルコンとやらの
素材で出来ているらしい。」
「しかも、それは…。」
アルドリックは少し考えて
「分かりました。
片刃の剣の使い方などはよく分かりませんが、
両刃ならこの様に持ちます。
しかし、バスケットヒルツソードなら
騎乗して戦う剣ですから、
片手で剣、片手で手綱を持ちます。」
「なるほどな。これは俺でも今すぐに使えるのか。
ほぅ、両刃はその様な構えか。」
「そうですね。両方に刃が付いているので、
咄嗟の行動に制限がないと思います。
片刃は使った事がありませんが、
見せていただく限り、
刃が片方しか無いので、
切る方向を考えて使いませんか?」
「考えた事が無かったが、確かにな。
少しやってみても良いか?」
「どうぞ。模擬刀はこちらです。」
慶次はそれを受け取り
教えられた構えをしてみる。
「こんな感じか?」
そのまま振り下ろしたり横に払ったりしてみた。
「そうですね。角度的にはこうです。」
アルドリックが手を添えて角度を変える。
「なるほど、こうだな。」
慶次は教えられた通りに横に払う。
そのまま縦横無尽に振り回す。
昨日と同様に風が起こる。
その場にいた全員が驚いた。
(昨日も思ったが、本当にバケモンだよな。
何故、すぐに使いこなせるんだ?)
慶次が納得した様に
「では、対練をしようか。
俺は両刃に体を慣らしたいから、
このままこれでやってみる。
それで、誰とやるんだ?」
みんなが顔を見合わせて考えている。
(一番手にだれがいく?)
それを見たアルドリックは笑って
「遠慮をしていたら鍛錬の時間が
無くなるではないか。
では、私がマエダ様のお相手を
させていただきます。」
アルドリックは自分の模擬刀を持って来た。
それを見て他の者達もそれぞれ自分の模擬刀を持つ。
「では、マエダ様。やりましょうか。」
「そうだな。最初は軽くやってみよう。」
2人は向き合い対練を始めた。
(軽くって言葉の意味が分かってんのか?
この人達。)
2人は段々とスピードを上げていく。
上から下から横からと剣が舞う。
まるで演武だった。
あまりの美しさにみんなの手が止まり
2人の鍛錬を見ていた。
(え?この後に誰がマエダ様とやるんだ?
これは無理だろ?)
ダリウスが他の2人の顔を見る。
2人とも首を横に振る。
(だよな〜。俺には無理だ。
こんな人と戦いたくない。)
数分後に慶次とアルドリックは動きを止めた。
「マエダ様、ありがとうございます。
良い鍛錬になりました。」
「俺も久しぶりに良い鍛錬が出来たよ。
これは毎日やりたいな。
他の者達ともやれると面白いやも知れぬな。」
慶次は周りを見渡す。みんなは目線を下げて俯く。
「おいおい、それでは鍛錬にならんではないか。」
アルドリックはみんなに言うが、
みんなは頑なに顔を上げない。
「仕方がない。俺が決めてやろう。」
その言葉にみんなの体が硬くなる。
アルドリックはその様子を見て
ニヤニヤ笑いながら立っている3人の前を歩く。
「お前から、していただけ。」
とセリーヌの肩をポンと叩いた。
泣きそうな顔を上げて首を振る。
「いやいや、鍛錬をしに来たんだろ?
マエダ様ならその者の実力に見合った
動きをしてくれるさ。」
セリーヌはおずおずと慶次の前に立つ。
「マエダ様、よろしくお願いします。」
と頭を下げた。
慶次はその様子が可笑しくて大笑いした。
「まるで死にに行く様ではないか。
最初は軽くやるから安心しろ。」
慶次は刀を構えた。
「はい。よろしくお願いします。」
セリーヌはガチガチに固まっている。
「戦さ場ではそれでは勝てないぞ。
セリーヌ殿。その方から来てくれてかまわん。」
「はい。」
セリーヌは剣を横から薙ぎ払う。
慶次はそれを簡単にいなす。
「セリーヌ殿は女子なのだから
力任せでは男には勝てんぞ。
しなやかに相手から動きが読まれない様に。」
「はいッ。」
セリーヌは少しずつ動きが滑らかになっていく。
「そうだ。その動きを忘れてはならんぞ。」
慶次は軽くあしらいながら、セリーヌに教えていく。
数分後、セリーヌが剣を下に下げて頭を下げる。
「ありがとうございました。」
セリーヌは清々しい表情で、肩で息をしている。
「セリーヌ、良い鍛錬だっただろう。」
アルドリックはセリーヌに言う。
「はい。これは毎日欠かさず続けると
強くなれるかもと思いました。」
それを聞いた2人は
慶次との鍛錬をしたくなってきた。
「マエダ様、次は私がお願いしても良いですか?」
アドリアンが気恥ずかしそうに手を挙げる。
慶次はふと考えて
「2人同時にやってみるか?
魔物との戦いや喧嘩を諌めたりするのに
一対一では無いであろう?」
そう言われて、2人は顔を見合わせる。
(2人同時なら或いは。)
アルドリックが心配そうに尋ねる。
「マエダ様は大丈夫ですか?
私とセリーヌとの鍛錬の後ですが。」
「問題なかろう。
戦さ場ではゆっくり眠れない状況でも
戦う事など日常茶飯事だからな。」
それを聞いてみんなの動きが止まる。
(眠れない状況での戦いってなんだ?
規格外過ぎて頭が追いつかん。)
「そうですか?
では、遠慮なくやってもらいましょう。」
アルドリックは悪魔の笑顔で2人の肩を叩く。
「しっかり、鍛錬してもらってこい。」
慶次はゆっくりと刀を持ち上げ
「では、参ろうか。」
と言った。
その言葉を合図に2人が同時にかかってきた。
「どりゃー!」
「おりゃー!」
慶次は2人の刀を事も投げに薙ぎ払う。
「2人ともが同じ動きをしても敵には勝てまい。
連携するのなら2人の息を合わせねば。」
それを聞いて2人は顔を見合わせ動きを変えた。
「お!それだ。そうだ。良い具合だぞ。」
慶次は笑顔でその攻撃も薙ぎ払う。
「男だからな。手加減はせんぞ。」
ニヤリと笑った慶次の刀のスピードが上がった。
2人とも、その攻撃を躱す(かわす)ので
精一杯だった。
(え?それって有り?無しだろ!)
と、慶次が2人の刀を薙ぎ払い
刀は床に叩き落とされた。
その光景をアルドリックとセリーヌは
驚愕の表情で見ていた。
(これはどういう事だ?
みんな、マエダ様に遊ばれていた?)
慶次は大笑いし
「いやはや、良い鍛錬になったぞ。
あの『あっぷ』とやらは本当に良いな。
体が軽くなる。」
兵団のみんなは慶次の圧倒的な強さと
適応力に驚いて声が出ない。
「マエダ様。マエダ様はお国では
どんな鍛錬をしていたのですか?」
アルドリックは尋ねる。
「俺か?そうだな。
今日の鍛錬とあまり変わらんかな。
まぁ、対練は家の庭でやったりだな。
刀は勿論、槍、弓、馬術もやっておったな。
後は体術もいい鍛錬になる。
それと、俺は前から言っておったが、
『忍』の鍛錬を
子供の頃にやっておったからな。
他の者よりも武具はもっと色々な物を扱えるんだ。
色々な武具を扱えるのは
この世界でも大きいかも知れんな。
それと、体術だな。この世界にはあるか?」
その言葉に一同は納得した。
(確かに、臨機応変に対応するのなら
その方がいいかもしれない。)
「えっと、格闘家が
やっているかもしれないですね。」
「格闘家?それは?仕事か?」
「そうです。冒険者の職業にあります。
素手で魔物を倒すと。」
「ほぅ。その者に鍛錬を頼む事は可能か?」
「どうでしょう?
頼める事は可能かもしれないですね。
ギルドで確認してしてもらわないと
分かりませんが。」
「そうか。では、今日は、俺が聞いてこよう。」
「そうですね。よろしくお願いします。」
それから慶次達は『ダウン』を行った。
そうして、朝の鍛錬は終了した。
「マエダ様、朝食は食堂へ行かれますか?」
アルドリックが尋ねる。
「その予定だ。
アルドリックが朝に味噌汁を作ってくれると
言うておったのでな。楽しみにしておるんだ。
湯浴みが終われば着替えて食堂へ行く。」
「それなら、食堂でまた会いましょう。」
修練場を後にし、慶次は自分の部屋に戻った。
修練場での鍛錬で慶次も兵団にも
強くなってほしいなと思っています。
慶次はどんな時にも誰よりも
強くあってほしいと思っています。
圧倒的な強さを鼻にもかけずに
みんなに平等に優しいのが
慶次ではないかなと。
では、次回は鍛錬が終われば楽しい食事タイムです。
日本食は慶次の思っていた食事でしょうか?
では、次回をお楽しみにしてください。




