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冒険者 傾奇者  作者: 豊葵 月


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3/8

プロローグ

慶次が異世界に無事に召喚されました。

知らない國、意味が分からない言葉。

それが慶次の心に火を付けた様です。


3 慶次、誕生


「これは私の『名』だ。剣を収めよ。」

後ろの人物がそう叫んでいるのが聞こえる。 

(急に聞こえるようになったぞ、

何だこの状況は?どういう事か全く分からん。)

利益は辺りを見渡しながら尋ねた。

「ここは何処だ?

どの國が俺の首を狙っているんだ?」

「待ってください、召喚者様。

首を狙うなどとんでもない。

私達は貴方様がこの国に必要で召喚したのです。」

「召喚?聞いた事もない言葉だな。

何だ?召喚とは?で、一体、ここはどこの國だ?」

「私は、エグザリア帝国の

アシュレイン・ザイファルと申します。

召喚者様のお名前を伺ってよろしいですかな?」

「某は前田…。」

利益は一瞬、考えた。

(もしかすると、この世界で

生きて行かねばならないという事も考えられる。

新しく生まれ変われって事かもしれん。ならば)

「某、前田慶次と申す。

エグザリア?聞いた事のない國ですな。」

「おぉ、マエダ様と申されるか。

そうでしょうな。

詳しくは後程、落ち着いて話せる部屋にて

ご説明しましょう。

ヴェイル、マエダ様をソレイユの間へ。

グレゴール、レオニスとカイラスもソレイユの間に

呼んできてくれ。」

「承知致しました。マエダ様、

宰相のグレゴール・ヴァンダームと申します。

また、後程。」

グレゴールは一礼し、部屋を出ていった。


部屋の空気が少し和らいだ。


ヴェイルが慶次の服を見て

アシュレインに尋ねる。

「陛下、マエダ様に上着を

お持ちしてもよろしいですか?

今日は冷えます故、

前田様の服装では些かお寒いのではと。」

「おぉ、確かに。

今日は一段と冷え込んでおるし、

何か上着を持ってきて差し上げなさい。」

「ほぅ、この國の着物と。」

慶次はその場に居る者の服を見渡し、

目をキラキラさせながら言った。

「自分で選ばせてもらえると嬉しい。

この國の着物に興味がある。

見た事の無い着物だ。」

「服をご覧になられますか?

と言っても私たちの着ている物になりますが、

宜しいですか?

マエダ様には

後日、マエダ様用に揃える予定ではおりますので。」

「着物を揃えてくださるのか。

それは助かる。

この着物だけだと心許ないと思っていた。」

アシュレインは頷きながらヴェイルに声をかけた。

「ヴェイル、マエダ様を

ヴェトティの間へ案内して差し上げてくれ。」

ヴェイルと呼ばれた男が慶次の前に立つ。

先程、殺気を放った男だった。

「承知しました。先程は失礼いたしました。

私は近衛隊長のヴェイル・アーディスと申します。

ではマエダ様、ご案内させていただきます。」

「前田慶次と申す。

あの状況なら仕方ない。俺でも同じ行動を取る。

案内、よろしく頼む。」


慶次はヴェイルの後ろを歩きながら、

建物を珍しそうに見ていた。

見た事の無い建築物。

真っ直ぐに線を引いた様に切られた

石が積まれている。

灯りがあるのはあるのだが、

火ではなく壁が光っている様に見える。

(どの様に造るのだろう。

しかも、あの灯りはヒカリゴケか?

壁には何か付いている様には見えないが、

何が光っているんだ?)

「ヴェイル殿、この様な建物は、

どの様にして建てるのだ?

全てが石で出来ているようだが?」

「この国建物は生産系魔法で建てます。

私達エグザリア帝国の者は魔力量が少なく、

日常的に使う魔法以外を

使えない者が多いので無理ですが、

グラネイド王国の者達は魔力量が多く

物作りの魔法に長けていますので。」

「ほぅ、魔法?それは何だ?聞いた事もない。」

「そうですね。

知らない方には説明が難しいです。

私自身も魔力が多くは無いので、

日常魔法以外は使えないのです。

一言で言うと、

言葉が実現化すると言いますか。」

慶次はキラキラした目でヴェイルを見る。

「言葉が形になると?

灯りも道具も無いのに点いているし、

最初の部屋など、

天井の1つの場所にしか光っている場所が

ないのにあの明るさ。不思議だった。

やはり、知らない國は面白いな。」

慶次はニヤリと笑った。


ヴェイルの目には慶次が

今の状況を本当に楽しんでいるように見えた。

それを見ていたヴェイルも

思わずクスっと笑ってしまった。

(この人はこの状況であっても、

悲観したりしないのだな。不思議お方だ。

本来なら慌てふためいて

この現状を受け入れるのに

時間がかかると思うのだが。)

「マエダ様にはこの廊下や先ほどの部屋の

灯りの場所が見えるのですか?」

「見えるぞ。こことここが光っている。」

慶次は壁の光っている場所を指した。

「マエダ様は魔力量が

かなりあるかもしれないですね。

私や他の者たちは何とか感じる程度です。

勿論、明るさは分かりますが、

光っている場所はあまり分かっていません。

ハッキリと見えるのは

陛下ぐらいではないでしょうか。

魔力の量がこの国の誰よりも多いので方なので。」

「ほぅ、魔力によって見え方が違うと?」

「そうです。王族の方々は

魔力の量が一般の者より多いです。

中でも、陛下は群を抜いています。

そういった場合、魔法が使われている場所が

ハッキリと分かるのです。

なので、マエダ様の魔力量も

かなりおありになると考えられます。

そう言えば、マエダ様は剣士ですか?」

「剣士?俺がそういうふうに見えると?」

「そうですね、

先ほどの構え方や状況判断の速さなどを

見ていると、という事ですが。」

「ふむ、なるほど。俺は武士もののふだ。

そなたの国にはいないのか?

俺に言わせれば、ヴェイル殿は

武士もののふだがな。」

ヴェイルは少し考えて

「私がですか?という事は、

武士もののふとは国を守る仕事ですか?」

「少し違うな。

一言で言うと、君主の為に戦さに出て

敵を倒して君主に勝利をもたらす。

そして、君主の領地を増やす。」

「戦さですか?敵とはなんですか?」

「そうだな。戦さで勝てば領地が増えるだろう?

自分が仕える君主の領地が増えると

自分の生活も豊かになる。

君主の領地を分け与えてもらい

管理している者もいるが、

俺の性には領地管理なぞ合わんから

俺は領地を貰わないがな。

敵というのは…。

君主の味方以外って事かな。

まぁ、味方が寝返って敵になる場合もあるが。

大切なのは、いかに領地を増やす事だな。

領地が増える事は一国の主にとって

凄く大切な事だからな。」

「領地を奪い合う為に戦さをするのですか?

我が国では考えられない。

隣国とは、協力し合いながら

支え合っていくものだと。」

慶次は頷きながら答えた。

「我が國もそうなりつつあったんだ。

天下統一を掲げ、執行された方が。

しかし、掴んだ瞬間、

手からこぼれ落ちてしまった。

油断をすると寝首を掻かれる。

それが俺が生きていた國だな。

まぁ、今は別の方が統括しているが、

それもまだまだ安心できん状況だ。」

「成程、この世界の状況と同じ様に

なりつつあるのですね。」

「そういう事だな。俺にしてみたら、

そういう世界はつまらん。

しかし、農民達にしてみたら

嬉しい事だろうて。」

「マエダ様は人を殺す事が

お好きだという事ですか?」

ヴェイルは恐る恐る尋ねた。

「難しい質問だな。

別に殺し合いが好きという事ではない。

ただ、己の死を感じる緊張感と

勝った後の仲間と感じる達成感は

他の何にも変え難い。」

ヴェイルは慶次に見つからない様に

自分のブレスレットをそっと触る。

そして何事もなかった様に

一つのドアの前に立った。

「マエダ様、ここがヴェトティの間です。


読んでくださってありがとうございます。

慶次が異世界へと無事に召喚されました。

この世界を慶次はどの様に生きていくのでしょう。

楽しみにしてください。

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